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米機爆破未遂「裕福」もテロの温床…「テロリストは富裕層から」

12月28日17時58分配信 産経新聞

 【ニューヨーク=松尾理也】「理想的な生徒」「とても素直な子供」。デルタ機爆破テロ未遂事件で拘束されているナイジェリア国籍のウマル・ファルーク・アブドルムタラブ容疑者(23)について、周囲の見方は一致している。著名な銀行家を父に持ち、なに不自由なく育った同容疑者がなぜテロリストに転落したのか、周囲がいちように首をかしげる一方で、専門家は「テロリストはむしろ、富裕層から生まれる場合が多い」と今回の犯人像が決して例外ではないと受け止めている。

 ロイター通信などによると、著名銀行家を父に持つアブドルムタラブ容疑者は、中等教育をナイジェリア西方に位置するトーゴの首都ロメで受けた。入学したのは、上流階級のアフリカ人が集まる英国式国際学校(ブリティッシュ・インターナショナル・スクール)。英国式のカリキュラムをもとに、冷房の効いた教室でエリート教育を受けるための学校だった。

 アブドルムタラブ容疑者に同校で歴史を教えた英国人教師、マイケル・リマーさんは「彼とは険悪な雰囲気の会話を交わしたことがない」とした上で、「熱心で聡明で、とても礼儀正しく、教師にとって理想の人物だった」と述べ、逮捕にとまどいを隠さなかった。

 一方で「こうした富裕層こそがテロリストを生み出す土壌となりやすい」と指摘する声もある。

 テロ研究を専門とする宮坂直史防衛大教授は「今回の容疑者の人物像に驚きはない」と言う。

 同教授によると、テロリストの多くが十分な教育を受け、富裕な環境の出身であることは、複数の研究や調査によってすでに定説となっている。2001年の米中枢同時テロや05年のロンドン同時テロでも、高学歴の実行犯が目立った。

 貧困ではなく、むしろ豊かさの中で多量の情報にさらされ、社会の格差や矛盾に敏感になることこそがテロに結びつくという構図だ。だが宮坂教授は、環境だけがテロリストを生むのではなく、「理想と現実の食い違いに耐えられないといった特殊な個人的資質」もまた、重要な役割を果たしているとみる。

 そうした側面も、アブドルムタラブ容疑者に顕著だ。イスラム教への過激な傾倒は学生時代から芽生えていた。校内でも説教を繰り返していたことから、付いたあだ名はイスラム教法学者を意味する現地の言葉「アルファ」だったと地元紙は伝えた。

 リマーさんによると、アブドルムタラブ容疑者は「ほかの生徒がみな、変わり者の集団だと批判していたアフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンについて、『支持する』と言い張っていた」という。

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最終更新:12月28日17時58分

産経新聞

 

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