エネ庁の間接補助 全事業が応募1団体 大半は業界関係 官業癒着、指摘も
12月29日7時56分配信 産経新聞
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(写真:産経新聞) |
エネ庁の資料などによると、52事業の予算総額は1820億円余り。事業は太陽光などの新エネルギーや省エネ関連が大半で、温室効果ガス削減に向けエコ活動が注目される中、補助金の受給申請が急増。交付の是非の審査などエネ庁の事務量も激増したため、事務の外注を年々増やし、公募型間接補助事業は平成19年度16件、20年度17件、21年度19件となっている。
52の事業では13団体が補助事業者となり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)など2つの独立行政法人を除く11団体が、エネルギーと関係の深い業界の団体。補助事業者の応募資格は事業の経験や能力を求めているが、設立間もない団体が実績のないまま決まった例もあった。
石油やガスなど12社が会員の燃料電池普及促進協会(FCA)と、電気事業連合会など業界6団体でつくる新エネルギー導入促進協議会(NEPC)はともに昨年12月の設立で、今年2月に公募があった新規事業で補助事業者に決まった。
FCAが補助事業者となったのは、石油やガスの業界が「オール電化」に対抗して普及を急ぐ家庭用燃料電池「エネファーム」の購入者への補助金で、21年度予算で初計上された。NEPCの事業は、自治体が公共施設に新エネルギーの発電設備を設置する事業などに対する補助金。間接補助としては、やはり21年度予算に初計上されていた。
補助金に詳しい城西大の伊関友伸(ともとし)准教授(行政学)は「間接補助は第三者への外注であるべきで、業界への丸投げは不適切。無競争の1者応募もいかがわしい。業界をまとめて指導したい国と、内輪で利益配分したい業界との思惑が一致しているからこそ、業界団体に補助金を仲介させているのだろう。官業癒着の疑いがあり、業界内で“血税”が山分けされている感もぬぐえない」と指摘している。
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◆エネ庁総合政策課の話「補助事業者はしかるべき手続きで決めている」
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【用語解説】間接補助金
国からの補助金が、受給者に直接交付されるのではなく、補助事業者に選ばれた団体が交付先を選定し、補助金支給の業務も代行する。補助事業者は広く募集される公募型によって決まることが多いが、事業の専門性が特に高く、他の団体では補助事業者を代替できない場合は、公募をせずに予算要求段階からあらかじめ補助事業者を決めておくケースもある。平成18年施行の行政改革推進法に基づき国家公務員の定数が削減され、業務の民間への外注が進んだことが、間接補助事業の増加の一因となっている。
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最終更新:12月29日7時56分
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