【ニューヨーク=山中季広】米機爆破テロ未遂事件で訴追されたナイジェリア人の容疑者(23)が機内に持ち込んだ爆薬は、機体の壁に穴を開けることができるほどの量だったことが28日、米捜査当局の調べでわかった。ABC、CNN、ニューヨーク・タイムズなど主要メディアがそろって報じた。
米司法省の発表によると、犯行に使われたのはPETNと呼ばれる粉末の高性能爆薬。その後の米連邦捜査局(FBI)の調べで、ウマル・ファルーク・アブドゥルムタラブ容疑者はこれを80グラム以上、下着に縫い込み、空港のX線検査をくぐり抜けて機内に持ち込んでいたことが判明した。
米メディアは、火薬専門家の話として、PETN80グラムは旅客機の壁に大きな穴を開けることができる量で、もしも計画通りに全量が爆発していたら、機体は墜落していたと報じている。
PETNは爆発威力こそ大きいものの、加熱したり落下させたりするだけではなかなか起爆しない性質で、今回の事件でも容疑者が爆薬の扱いに不慣れだったため、炎が容疑者の席の壁を焦がした程度で済んだという。
容疑者は爆破装置をひざにはさんでいたため下半身にやけどを負い、着陸後はミシガン州アナーバー市内の病院で治療を受けていたが、27日に退院し、司法省管轄の拘置施設に移された。