社会保険庁が来月、後継組織の「日本年金機構」に移行することを受け、社保庁職員約500人が、民間の解雇に当たる「分限免職」となる見通しとなったことが28日、分かった。国を相手に取り消し請求訴訟を検討する動きも出ている。
人事院によると、行政組織の改廃を理由とした国家公務員の分限免職は1964年を最後に例がなく、行政組織の整理が行われた終戦後の混乱期を除けば過去最多。
勤続年数が少ない職員にとって退職金で有利な分限免職をあえて選ぶ人もいるとみられる。
分限免職をめぐっては昨年7月、政府が懲戒処分歴のある職員は機構に採用しない方針を閣議決定。給与を受け取りながら無許可で労働組合活動に専念する「ヤミ専従」で懲戒処分を受けた約20人は、採用見送りが固まっている。一律の処分を不服とした全労連系の労働組合が、免職の場合に訴訟を起こす考えを表明。一方、自治労傘下の組合は法的措置を見送る考えを示している。
長妻昭厚生労働相は1日、社保庁解体後の再就職先が未定だった約500人を救済するため、厚労省の非常勤職員と日本年金機構の准職員として、計400人程度の有期採用の枠を設ける計画を公表。これまでに、年金機構の准職員の追加募集で60人が内定。厚労省は地方厚生局の非常勤職員に民間人を含め200人程度を募集、社保庁からの採用は百数十人という。
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