打撃戦は吉田!長期戦は石井/激突金の魂
<大みそかDynamite(1)=高阪剛氏分析>
大みそか恒例の格闘技の祭典「Dynamite!!」(埼玉スーパーアリーナ)が、いよいよ3日後に迫った。今年は石井慧(23=アイダッシュ)と吉田秀彦(40=吉田道場)の柔道五輪金メダリストが、総合格闘技で雌雄を決する。日刊スポーツでは28日から「激突!!金の魂」と題し、「第3者から見た両選手」を4回連載する。第1回は米国総合格闘技団体UFCに日本人で初めて定期参戦し、2人を指導した経験もある高阪剛氏(39)に試合をあらゆる角度から分析してもらった。
『打撃』 2人とも「KO」が念頭にあると思う。吉田は最初から倒すつもりで、打撃でいくでしょう。石井も真っ向打ち合うと予想します。テイクダウン(相手をリングに倒す)は、お互い意識しないでしょう。
吉田の打撃はベーシック。ワンツーの後に返しのフックとかを打つ。捨てパンチがない。右も左も1発必倒の威力がある。石井は構えた時の前の手のストレートを出せるかどうか。練習で一番練習するのは後ろ手のストレートだが、打撃戦では前の手のストレートとジャブが打てるかどうかが勝負のカギになる。
吉田は総合格闘技の経験があって、殴られ慣れている。だからパンチをもらってもひるまない。初めての石井にひるまない気持ちがあるかどうか。打撃戦では吉田に一日の長がある。
『寝技』 私は寝技を中心に石井を約1カ月指導した。自分もそうだが、柔道出身の選手は押さえ込みたい衝動がある。上になってがっちり押さえ込んじゃう。ところが総合格闘技の場合、押さえ込まれている側にもチャンスがある。胴着がないのでつかむところがないので、ひっくり返されることがよくある。石井は柔道出身のわりに、その対処方法がうまかった。このままだとまずい、みたいな危機回避能力を持っていた。
吉田は体全体を使って、絞め技、関節技を狙うプレッシャーのかけ方がうまい。自分の両手がフリーになるように意識しながら、じわじわと追いつめる。そして相手が逃げようとして浮いた腕、足、首を決めにかかる。ともに柔道の金メダリスト、寝技に関しては五分とみる。
『総括』 石井は総合格闘技デビュー戦。プランを立てても試合中に全部吹っ飛ぶと思う。その時に、体が動くかどうか。打撃、寝技、ともに自分に合った決め技を習得しているかどうか。もし、何をやっていか分からず、自分の体が思うように動いてくれない状態なら、吉田の相手にはならないでしょう。ただ体勢が有利な状態でないと動けない選手が多い中で、石井は100%の力が出ない状態でも、速い動きができたり、バランスの崩れた状態からでも、瞬発的な力を発揮できるタイプ。プランが吹っ飛んでも、勝手に体が反応して動いてくれると思う。
スタミナ面では、若くて体力あるから石井に分があるとはいえない。柔道と総合は別競技。野球とソフトボールぐらい違う。初めて総合で試合をする石井がペース配分とか、力の入れ方がわからず、肉体に余計な負荷がかかってガス欠というのはあり得る。吉田が勝つためには、石井を慣れさせないことが必要。故に早期決着なら吉田。時間がかかれば石井に分があると予想する。
正直、それぞれ特長はわかるが、試合展開はデータがないので、ふたを開けてみないとわからない。格闘技経験者としては、そういう意味でも興味深い試合になる。【塩谷正人】
◆高阪剛(こうさか・つよし)1970年(昭43)3月6日、滋賀・草津市生まれ。中学から柔道を始め、専大卒業後の94年、前田日明主宰のリングスでデビュー。98年にUFCに初出場。米シアトルに本拠を移し、日本人で初めて定期参戦。その後、PRIDEなどで活躍。04年11月にウォーターマンを下し、初代パンクラススーパーヘビー級王座獲得。キモ、ヒョードル、クートゥアら超一流ファイターと戦い「世界のTK」と呼ばれる。06年5月5日のPRIDE無差別級トーナメント1回戦でマーク・ハントに敗れ引退。現役時代から総合格闘技ジム「A-SQUARE」主宰。現役時は181センチ、99キロ
[2009年12月28日20時16分 紙面から]
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