ドル一極体制からの脱却準備を意味する外銀の元建て債券発行解禁
12月25日付の日本経済新聞は、中国政府が外資系銀行に中国本土で人民元建て金融債券の発行を解禁すると報じています。報道によると、三菱東京UFJ銀行の中国法人が、外資系銀行の第一号として元建て債券の発行認可を取得したそうです。また別の報道によると、三菱東京UFJ銀行は、2010年2月に債券を発行し、発行規模が最大10億元、期間は2年間を想定しているようです。
これまで、中国での元建て債券の発行は、アジア開発銀行など国際金融機関や政府系金融機関に限られており、民間の外資系銀行が人民元を調達するには、預金や銀行間での賃借に頼るしかありませんでした。外資系銀行が、中国本土で元建て債券を発行できることで、外資系銀行は、2、3年の中期的な期間で資金を調達することができ、中国に進出している外資系企業に人民元を安定的に融資することが可能となります。
中国政府が外資系銀行に元建て債券の発行を解禁することは、現在の中国経済の現状を考えると、それなりの決断の要る判断だったと思われます。中国の11月のマネーサプライ(M2)が、前年同月比29.7%増と、過去最高の伸び率を示したように、中国の金融緩和は、危険水域の水準にあるとの指摘もあります。こうしたなか、外資系銀行が債券発行によって人民元を調達できるようになると、預金金利の引き上げによる金融引き締め効果が弱くなり、インフレへの対応が後手に回る可能性がでてきます。
それでも、中国政府が外資系銀行に元建て債券の発行を解禁した背景には、中国政府が人民元の国際化を進める意図があるからだといわれています。外資系銀行が債券を通じて人民元を調達できれば、より広範囲に人民元建ての融資をすることが可能となります。
中国に進出した企業も、銀行の人民元の調達が楽になったことで、人民元の資金繰りが楽になる可能性が高まります。これにより、中国政府が進めようとしている人民元での貿易決済が、取り組みやすくなります。
中国は、ドル一極体制からの脱却のために着々と準備を進めている、と考えたほうが良い気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
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前年同月比29.7%増(過去最高の伸び率)
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