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家を失い、自殺に追い込まれ…捜査網狭まるSFCG「大島王国」の光と影

2009年12月27日14時11分 / 提供:産経新聞

産経新聞
家を失い、自殺に追い込まれ…捜査網狭まるSFCG「大島王国」の光と影
過払い債権者らが参加したSFCGの第1回債権者集会=10月28日、東京都千代田区(内藤慎二撮影)

 今年2月に経営破綻(はたん)した商工ローン大手、SFCG(旧商工ファンド、東京)の元会長、大島健伸氏(61)に対する包囲網が狭まっている。破綻前に資産を流出させた疑惑について警視庁の捜査が進む一方、債権者による過払い金返済を求める声が高まっているためだ。「お金だけでなく、人生も返して」。厳しい取り立てに耐えた債権者の叫びは、大島氏の耳にどう響くのだろうか。

 ■弟の自殺未遂…保証人の兄に予期せぬ試練

 「取り立ては厳しかったですよ。月に1度は勤務先に『まだ勤めているか』と確認の電話が来てね。30分ぐらい『払え払え』といわれ続けました」

 7歳離れていた弟の保証人として、SFCGから返済を迫られた経験を持つ東京都北区在住のタクシー運転手の男性(62)。淡々とした口ぶりに、苦難を受忍した人間の覚悟が感じ取れる。

 工場経営者だった弟は、借金苦の中で5年前に亡くなった。

 「熱海で自殺を試みたこともあったが最後はガンで死んだ。経済的に困窮していたから病院にも行けなかったのでしょう。搬送されたときには手遅れでした」

 男性は弟の保証人として、利子分を含めた借入金約910万円を完済した後、ある事実を弁護士から知らされた。利息制限法の上限金利を上回り返済していた分、いわゆる「過払い金」の存在だ。返済金のうち約410万円もの金が過払い金に該当していたのだ。

 今年2月に380万円の払い戻しを受けることでSFCGと和解したが、同社は1カ月もたたないうちに民事再生法の適用を決定した。結局、東京地裁は同社の再建を認めず、SFCGは破産手続きに入った。その後も男性の元に過払い金は返ってきていない。

 男性は「返済生活に入って精神的に滅茶苦茶になった。お金も人生も返してほしい。タクシー業界の景気も悪いし、年の瀬に少しでもお金が戻れば助かるんだが…」とため息を漏らす。

 同社の破産管財人によると、債権者約2万5700人が返済を求めた過払い金の総額は、約408億円(今年10月現在)に上る。

 しかし、日本振興銀行など金融機関が同社へ届け出た債権はそれを大きく上回る計3兆600億円(同)。この天文学的な金額の中にはSFCGへの貸付金のほか、同社から債権を2重譲渡されたことで生じた違約金などが含まれるとされる。

 一方、債務返済の財源として期待される同社の資産はわずか約38億円(同)。管財人の瀬戸英雄弁護士は「(金融機関からの)一つ一つの届け出の根拠を洗い出し、法的な効果を持ちうるものなのか精査しないといけない」と説明する一方、「法的な根拠があるとするならば、われわれは認めざるを得ない」とも指摘しており、債権者の不安が解消されることはない。

 千葉県柏市に住む過払い債権者の男性は、「こっちは担保の家まで無くした。血のにじむ思いで金を返したのに(その後の対応は)あまりにも無責任。返済中は親兄弟も苦しめ、一言では言えない苦労があった」と怒りに身を震わせる。

 ■“権力の象徴”である豪邸の主は…

 住み家を失った債権者の事情など知る由もないように、その大豪邸は高級住宅街の中で際立った存在感を示していた。

 政財界の実力者らが居を構える渋谷区松濤の一角。高い灰色の塀が広大な敷地を取り囲み、防犯カメラが“部外者”の行き来を絶え間なく監視している。

 「すごい家だな」

 12月上旬。茨城県から名高い高級住宅街の見学にやってきた男性(72)が、豪邸の前で驚嘆の声を上げていた。

 しかし、豪邸から黒い制服のガードマンが飛び出してくるや、見学は中止を余儀なくされる。

 「先ほど表札をのぞき込んでいましたね。何か御用ですか?」

 ガードマンの強い口調に驚いた男性は、「誰が住んでいるのか知らないが、相当な『権力』だね」と言い残し去っていった。

 男性の“分析”はあながち間違ってはいなかったかもしれない。この邸宅は大島氏の親族が経営していた会社の所有だが、大島氏の実質自宅として利用され、周囲から権力の象徴とみなされてきたからだ。

 「商工ファンド」として昭和53年に誕生後、中小企業向けローンで大成長を遂げたSFCG。会社を率いた大島氏は時代の寵児(ちょうじ)として脚光を浴び、米国の経済誌「フォーブス」から名誉ある世界の長者に選出されたこともあった。

 その一方で強引な取り立てが社会問題化し、大島氏が国会に参考人招致されたのは、平成11年のことだ。

 返済が滞ると、すぐに仮差し押さえを申し立てるなど裁判所まで使った回収手法などに批判が集中。しかし、大島氏は国会議員の追及に動じず、「回収方法に問題はない」「あくどいというのは極めて心外」などと持論を展開した。

 元社員が明かしたエピソードの中に、同社の“回収至上主義”の姿勢が凝縮されている。

 「これから死ぬ。あまり残せないが迷惑をかけた分は取っておいてくれ」

 返済に苦しむ債務者が担当者へ覚悟のメッセージを寄越した。だが、上司は担当者の不安をよそに「ほっとけ。死ぬなら死ぬでかまわない。それよりも『商工ファンドに最初に払います』と遺書に書けと電話をかけろ」と指示を出したという。

 結局、担当者は自殺に備えて財産仮差し押さえの準備に入り、債務者は宣言通り、首をつって命を絶った。

 容赦ない取り立てで業績を伸ばしたSFCGの歩みについて、別の元社員は「部下の強権的な取り立ては大島氏の意向に沿っていた。渋谷の豪邸はそうした債務者の“犠牲”の上に建っていた」と解説した。

■破綻の認識時期が焦点に

 会社の誕生から約30年。栄華を誇った“大島王国”は完全崩壊の危機を迎えている。

 破産の道を選択したからだけではない。債権者に損害を与えることを知りながら関連会社に資産を流出させた可能性があるとして、警視庁が民事再生法違反(詐欺再生)などの疑いで、旧経営陣の刑事責任追及に向けた捜査に着手したためだ。

 捜査関係者や管財人によると、資産流出は昨年9月〜今年2月ごろ行われ、SFCGが保有する不動産担保ローンや貸し出し債権など約2670億円分の資産が無償譲渡されたり、格安売却されたりした。譲渡・売却先は大島氏の義弟や妻ら親族が代表を務める企業などだったという。

 民事再生法に基づいて再建を目指す場合、手続きに入る前後を問わず、財産を隠したり処分したりするなど、会社の資産価値を減少させる行為は禁じられている。債権者の利益を守るためだ。違反した場合は詐欺再生罪に問われ、10年以下の懲役か1千万円以下の罰金が科される。

 SFCGの資金繰りは米大手証券、リーマン・ブラザーズの経営破綻で悪化したとされ、資産流出が始まった時期と一致する。警視庁は旧経営陣が差し押さえから逃れる目的で、親族会社に資産を移動させた疑いがあるとみている。

 捜査は今後、旧経営陣がいつごろ破綻は避けられないと認識したのかが焦点となるとみられる。警視庁は関係者の事情聴取を重ねており、その時期の特定を進めている。

 大島氏の現在の心境について、ある警視庁関係者はこう推察する。

 「事業拡大の象徴だった資産をすべて失うかもしれない、捜査対象になるかもしれない不安に直面しているかもしれない」

 共著などによると、大島氏は上場時、平成22年までに「関連会社102社の創設」と「経常利益3千億円」の達成を目指していたとされる。自身の人生そのものともいえる会社を失ったばかりか、周辺に捜査の手が迫る中、大島氏はどのような心境で「節目の年」を迎えようとしているのか。

関連ワード:
SFCG  自殺  経営  警視庁  民事再生法  
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