「モデリング」の勉強法やポイント
2009-10-23 09:24:23 Theme: ブログこんにちは。
日本興亜損保 リスク管理部 保険数理室 長谷川です。
これまで「確率」と「統計」の勉強法について説明がありましたので、今回は残りの「モデリング」の勉強法やポイントについてお話しようと思います。
ご存じだとは思いますが、モデリングは4年前から数学の試験範囲に組み込まれました。長年数学の試験範囲は確率と統計のみだったわけですので、ここ最近になってモデリングが導入されたということは、アクチュアリー業務でモデリングの知識の重要性が増したということでしょう(多分)。なのでモデリングは配点が低いからと言って軽視せずしっかり理解してほしいと思います。
さてモデリングの範囲についてですが
1章 回帰分析
2章 時系列解析
3章 確率過程
4章 シミュレーション
5章 線形計画法
という構成になっていますが、過去4年間の試験問題を見てみると全ての年で1章~4章から各1問ずつの出題となっており、5章に関する問題は一度も出題されておりません。
じゃあ5章は勉強しなくてもいいかというとそうでもなく、今年から損保数理の試験範囲にモデリングの1章が追加されましたので、もしかすると損保数理でモデリングの1章に関する問題が出題され、数学で2章~5章の問題が出題されるということも考えられます。というわけで1章から5章までちゃんと勉強しましょう。また1章から5章まで独立ですので(1章をやってなくても2章が理解できる)自分の好きな章から勉強してもらって大丈夫です。
それでは各章ごとのポイントをお話ししましょう。
1章 回帰分析
この章は最小二乗法だけ押さえておけば大丈夫でしょう。
観測データが2つの場合と3つの場合についての正規方程式を覚えておけば過去問は大体解けます。
他の範囲は統計とかぶる部分があるのでなかなか出題しづらいと思います。
2章 時系列解析
この章は一般化されたモデルについて書かれており抽象的なので時系列になじみのない方には理解しずらいと思います。ただし過去問においてはAR(p)モデルについて問われることがほとんどで、自己共分散の求め方と定常性を持つ条件について押さえておけばよいでしょう。(過去4年間のうち3年分AR(p)モデルについての出題)
またMA(q)モデルについても出題可能性があるので、AR(∞)表現方法、識別可能と反転可能の条件について覚えておきましょう。
3章 確率過程
この章はテキストにはいろいろ難しそうなことが書いてありますが、マルコフ連鎖(確率推移行列)についてだけ理解しておけば大丈夫だと思います。(過去4年間のうち3年分確率推移行列に関する問題)
ブラウン運動とポアソン過程については定義と平均、分散、独立増分性と定常増分性まで理解しておけば大丈夫です。
ちなみに確率推移行列とポアソン過程については損保数理では必須です。
4章 シミュレーション
この章では逆関数法、合成法、棄却法の3つ方法で確率変数を作り出せるようになればOKです。
中でも棄却法は一番理解するのが難しいかもしれませんが、理解した時にはよくこんな方法思いつくなぁと感動できますよ。
5章 線形計画法
この章はシンプレックス法を使えるようになればもう大丈夫です。テキストだと分かりにくい人は問題を解きながらやり方を覚えましょう。
また勉強法ですがモデリングのテキスト(黄色っぽい本)よりもモデリング問題集(水色の本)の方が要点がまとまって分かりやすいかと思いますのでお勧めです。
このブログを書くにあたって過去4年間分の試験問題をチェックしましたがはっきりいってモデリングは簡単です(確率や統計と比べてという意味で)。というのもやり方さえ覚えておけばほとんど何も考えずに答が出せます。というわけでモデリングをしっかり勉強して確実に20点ゲットしましょう。