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プロにきいたおいしいお話
11月 チーズの新しい楽しみを 〜チーズのためのジャム「レ・フォリ・フロマージュ」〜


今月は10月にロイヤルカスタマーの皆様を対象に行われた、
チーズ専門店「フェルミエ」代表取締役社長 本間るみ子先生の講演会の内容をお届けします。



 チーズ専門店「フェルミエ」
 代表取締役社長 本間るみ子先生

★チーズのためのジャム「レ・フォリ・フロマージュ(チーズマニア)」
「レ・フォリ・フロマージュ」は、英語で言えば「チーズマニア」。 直訳すると「熱狂的、熱烈なチーズファン」という意味です。
今日はチーズを美味しく食べるために開発された、まさにチーズのためのジャム「レ・フォリ・フロマージュ」の魅力と楽しみ方をご紹介します。

日本でもチーズを楽しむ方が増えてきましたが、チーズのしょっぱさが気になるという方もいらっしゃるかも知れません。塩はチーズにとってとても重要で、塩を使わないとチーズはできないのですが、そのしょっぱさを和らげるために甘いものと組合わせることがあります。
例えばチーズの上に一粒レーズンを乗せたり、ナッツ類やドライいちじくと合わせたり、ブルーチーズに甘口のワインというのも定番の組み合わせです。
最近ひそかなブームなのがはちみつを合わせる食べ方。はちみつをさっとチーズに塗って食べるとチーズが美味しくなりますよ。
そして今回ご紹介するのが、チーズにジャムを添えて食べる、という楽しみ方です。

実は、フランスのスペインとの国境に位置するピレネー地方には、羊のチーズにブラックチェリーのジャムを合わせる食べ方が昔からありました。そこピレネーで、そのブラックチェリージャムにリコリス等のスパイスを加え、チーズをさらに美味しく食べるために生まれたのが「レ・フォリ・フロマージュ」なのです。
では、ジャムとチーズの組合せをご試食いただきながらご紹介しましょう。




★「ロックフォールチーズ」と
「3種のスパイス(ジンジャー、クローブ、シナモン)入りマルメロとりんごのジャム」
●ロックフォールチーズ
フランスには原産地や製法を細かく規定して伝統のチーズを守る「AOC制度(原産地統制呼称)」がありますが、その認定第1号がこのチーズです。南仏モンペリエから車で北へ1時間ほどのロックフォール村で作られる世界3大ブルーチーズのひとつです。歴代のフランス国王が好んだことから「王様のチーズであり、チーズの王様である」とも。
塩分を強く感じるので、無塩バターと合わせて薄いトーストに塗るのは私のお薦めの食べ方です。
また貴腐ワインのソーテルヌと合わせるのも最高の贅沢ですが、ぜひチーズマニアに合わせてみてください。
ロックフォールの個性的で強い風味に合わせるのは、 3種のスパイス(ジンジャー、クローブ、シナモン)が入ったスパイシーなジャム。マルメロの甘さがチーズのしょっぱさとうまくからみあい、クセも和らぎます。



★「アベイ・ド・ベロック」と「リコリス風味のブラックチェリージャム」
●アベイ・ド・ベロック
アベイとは大修道院のことで、昔から修道院でつくられている羊乳製チーズです。6ヵ月以上の熟成により羊のミルクの旨味が凝縮し、濃厚な味わいが特徴です。
ピレネー地方に昔から伝わる羊のチーズにブラックチェリーのジャムを添える伝統に想いを馳せながらいただくと、味わいもひとしお。また、羊乳製のチーズに限らず、ナッティな風味の硬質チーズ・コンテとの組合わせもおすすめ。
ロックフォールの個性的で強い風味に合わせるのは、 3種のスパイス(ジンジャー、クローブ、シナモン)が入ったスパイシーなジャム。マルメロの甘さがチーズのしょっぱさとうまくからみあい、クセも和らぎます。



★「カマンベール・ド・ノルマンディー」と「クミンとオレンジピール入りのアプリコットジャム」
●カマンベール・ド・ノルマンディー
いまやカマンベールは世界中で作られていますが、正式には「カマンベール・ド・ノルマンディー」と言います。
そう名乗ってよいのは、無殺菌乳を使い、限られた地域で決められたルールを守って作られているものだけ。
またノルマンディーはリンゴの産地としても有名です。カマンベールに薄くスライスしたリンゴを乗せたり、リンゴのお酒・シードルと合わせるのは、まさにぴったりの組合せ。ざっくりと切ったカマンベールとリンゴを一緒にサラダにしても素敵です。
酸っぱくて甘い香りのアプリコットにクミンとオレンジピールをプラスしたジャムを、カマンベールに合わせてみると意外にも不思議な調和が・・・。
実はクミンとマンステールチーズを合わせるのも、ヴォージュ山地やアルザスにもともとある組合せなのです。カマンベール以外のソフトチーズにも合わせみてください。



★「シェーヴル」と「ベイリーフとレーズン入りの白いちじくジャム」
●シェーヴル
紀元前から家畜として飼われていた山羊のチーズは、昔からあるチーズです。
山羊のお乳が良く出るのは春先から晩秋まで。その時期がシェーブルの旬でもあります。さわやかな酸味が口いっぱいに広がり、旨味を引き出す塩味、そしてほのかに甘味を感じられるやさしい味わいです。
シェーヴルに灰がまぶしてあるのは、昔暖炉の燃えカスの灰の中に入れて保存してみると、酸味と水分がとれちょうど良くなったところから。この灰はそのまま食べて大丈夫です。
甘い完熟の白イチジクのジャムとシェーヴルの組み合わせは、グルメたちを魅了!
シェーブルのほんのりとした酸味がいちじくの豊かな甘さが包み込み、レーズンとベイリーフがアクセントに。




★チーズのある豊かな食卓を・・・
厚生労働省が定めた栄養基準に対し、日本人は他の栄養素は足りているのに、カルシウムは不足していると言われています。チーズは牛乳の固形分を約10分の1に凝縮したもの。ですからカルシウムを手軽に、そして簡単に補うことができるのです。
朝、お気に入りのチーズを一切れ食卓にプラスすれば、生活も気持も豊かになると思います。
チーズの楽しみといえば「マリアージュ」ですが、パンとワインとだけでなく、ジャムとのマリアージュなど沢山のおもしろい食べ方があるのです。
今日ご紹介した組合せ以外にも、ご家族やお友達とお好みのマリアージュを探してみてはいかがでしょう?きっと会話がはずんで、楽しい発見があるはずです。
今日のお話をヒントにチーズのある皆様の食卓がますます豊かになりますように。

本間先生はチーズについての造詣がとても深く、今回ご紹介できなかったチーズにまつわる歴史的なエピソードや、チーズの旬についてのお話しなども伺うことができ、とても興味深く楽しい講演会でした。

初めは「チーズにジャム・・?」と不思議な感じがしましたが、いざ体験してみると、まさに新しい美味しさの発見!
チーズのしょっぱさと甘さがうまく絡み合って、クセのある香りもスパイスの香りで和らぎ、チーズだけを食べるよりも、味わいも香りも複雑で豊かになるのです。ブルーチーズが苦手なスタッフも思わず食べてしまったそうです。
実はこのチーズの新しい食べ方はパリやニューヨークでブレイク中とか。この秋、日本でも「魔法のジャム」がヒットの予感です!

◆フェルミエ
レ・フォリ・フロマージュ「チーズマニア」
4種