【コペンハーゲン=勝田敏彦】宇宙の「物質」の4分の1を占めるとされるが、正体不明の「暗黒物質」らしい粒子が地上で観測された。最終確認には時間がかかりそうだが、宇宙の謎に迫る大発見につながる可能性がある。米ミネソタ大などの研究チームが17日、発表した。
暗黒物質は、光を出したり反射したりしないが質量は持つ謎の物質で、1980年代に銀河回転の観測から存在が仮定されてきた。
理論などによると、宇宙の構成要素のうち、我々の世界を作っていると考えられている素粒子は数%に過ぎず、7割強を未知の「暗黒エネルギー」が、2割強を暗黒物質が占めている。
観測は難しいが、まれに通常の物質に衝突する可能性があり、研究チームはそうした現象を探すため、ミネソタ州北部の地下約700メートルにある施設CDMS2に検出装置を設置した。
発表によると、2007〜08年、暗黒物質の粒子が装置の中のゲルマニウム原子核に衝突して起こしたらしいわずかな温度上昇が2件観測された。ただ、似た別の現象を誤ってとらえた可能性もあり、チームは「発見したとまではいえない」としている。
「間違いなく見つかった」と判断されるには5件以上の現象の検出が必要とされ、チームは今後、検出装置の改良などを行う。
暗黒物質は07年、50億光年離れた銀河団に存在している様子が観測されている。地上での検出には、東京大が岐阜県・神岡鉱山に探索施設「X(エックス)MASS(マス)」を建設しているほか、欧州の世界最強・最大加速器LHCのチームも、人工的に作ることを目指している。