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〈映画大好き!〉「よなよなペンギン」 りんたろう監督

2009年12月25日

写真:「よなよなペンギン」から、ココ(右)とチャリー拡大「よなよなペンギン」から、ココ(右)とチャリー

写真:りんたろう監督=東京都内拡大りんたろう監督=東京都内

■手触り感こだわり絵本のよう

 ペンギンの格好をした女の子が、妖精の世界で不思議な冒険をするフルCGアニメ「よなよなペンギン」が公開中だ。「銀河鉄道999」「幻魔大戦」などのりんたろう監督が日・仏・タイのスタッフを擁し、絵本のような素朴で色彩豊かな映像に仕上げた。「日本の手がきアニメのテイストを盛り込み、ハリウッドとは違うCGを目指した」と話す。

 「ペンギンだって空を飛べる」と信じる元気な少女ココは、ペンギンコートで夜な夜な街を歩き回る。猫に似た妖精チャリーと出会い、空飛ぶソファでゴブリン村へ連れて来られたココは、村人から勇者「飛べない鳥」として大歓迎され、悪の大魔王と闘ってほしいと頼まれるが……。

 元々は絵本にしようと考えていた企画。「CGでやったら?」と制作会社マッドハウスの丸山正雄プロデューサーに言われ、「手がきアニメをやってもう50年。新しいことに挑戦してみたくなった」。

 フェルトっぽいココのコートや妖精たちの毛むくじゃらの体など、手触りが感じられるような表現にこだわった。「初めに出来上がったCGはペラペラのレインコートみたいで、布の厚みと質感を出すのに苦労した。背景も『この森はルソーの絵のように』といった注文を出して作り込んだ。キャラクターと背景が存在感を持って拮抗(きっこう)しつつ、柔らかな味わいの世界にまとまる。そんな『動く絵本』を狙った」

 キャラクターの動きは、ハリウッド流の滑らかなものとは違う。「このポーズからあのポーズへ、ポンポンと飛ぶようなメリハリをつけた。機械任せの均一な動きではなく、日本のアニメが積み上げてきたアーティストの個性やクセを、CGに導入してみようと思った」と話す。

 「日本アニメは貧乏な中で知恵を絞って独自の表現を作り上げてきた。CGだってやりようはある。金をかけるほど面白くなる、とは限らないのがこの世界。若い人も挑戦してほしいね」

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