今年秋に競馬の配当金160億円を申告しなかったとして、東京都内のデータ分析会社と英国人社長が、所得隠しを指摘された。当時は、海外逃亡した社長を捜査できなかった税務当局の限界や、なぜ160億円も稼げたのかというような報道が目立った。今年最も謎だった事件の一つだが、真相は?
朝日新聞によると、この会社は2007年までの3年間で160億円の所得を隠したとして、国税局が法人税法違反(脱税)容疑で同社を査察。その後、社長が海外に出国したため、告発を見送り課税処分とした。重加算税を含め追徴税額は60億円。
所得隠しを指摘されたのは、香港に親会社があるデータ分析会社「UPRO(ユープロ)」。独自のコンピュータープログラムで結果を予想し、億単位の資金で馬券を購入、巨額の利益をあげていたという。その配当金の多くは海外に持ち出されていた。
しかし、どう考えても、3年間で160億円を稼ぐということ自体が競馬では不可能に近い。報道によると、必勝ソフトを使い様々なデータを入力すると、買い目が出るのだとか。だが、競馬は25%(一部の馬券は20%)の税額が予め控除されている。その上で巨額の利益を得るのは、どう考えても不思議だ。
報道では「億単位の資金で購入し利益を上げていた」となっている。億単位の金額を突っ込めば、レースによってはオッズが異常な動きをすることもある。それでは、配当金も下がって実際にはうま味は少なくなる。益々、あり得ないという話になってしまう。
しかも、そもそも香港人の社長が、なぜ、わざわざ法人を作ってまで日本で競馬をしなければならないのか。香港でもマカオでも競馬は開催されているのにだ。謎が深まる。
ある全国紙記者が「マネーロンダリング(資金洗浄)という話もあります。当局もその線は考えたみたいですが、税法上、資金がすでに海外に持ちだされていたりして手が出せなかったので、捜査は終わったようですけど」と話す。
確かに、最初から億単位の資金があれば、優良な投資対象はたくさんある。ギャンブルである競馬に、貴重な金をつぎ込む必要などまったくない。やはり、何か競馬につぎ込む理由があるはずだ。だが、単なる競馬好きというだけではあり得そうにない。そうなると、仮説の話とはなるが、やはりマネーロンダリングの線が濃厚なのだろうか?
高い税金を取られたり、あるいは裏のお金などの場合は表に出てしまうと捜査対象にもなりかねず、危険が及ぶ。それなら…。
事情をよく知る人物は「カジノの中で、換金してしてしまえば、カジノから出たお金ということになって、きれいに洗浄できたことになります。あとは金塊にして換金したり、VERTU(高級携帯電話)を買って、それをお金に換えたり、そういうことは普通に行われていると聞きます」という。
しかし、ここ数年は、マネーロンダリングに対しては、当局がとにかく厳しく対処するようになった。だが、日本はどうだろうか? 英国人社長が数十億円を簡単に海外に持ち出していることから、ある意味で日本に持ち運んだり持ち出したりすることは難しいことではないのかもしれない。
では、日本の競馬に目をつけたとしたらどうだろうか。これも立派な国家のお墨付きを得たカジノであることには違いない。あるマネロンを企む組織が、日本中央競馬会をターゲットにしたとしても、何ら不思議ではない。少しくらい損失を出しても、洗浄するのが目的なら、それも良しだ。
ただ、惜しむらくは、刑事告発前には資金の移動を押さえる権限は税務当局がないことが支障となったこと。また、社長のパスポートを没収したものの、日本の英国大使館が再発行した(紛失したと偽って)ことなど、様々な壁があったことも事実だ。もしも、税務当局が完全解明できていれば、すべてが明らかになっていたと思うと残念でならない。
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