厚生労働省から偽の証明書が発行され、障害者団体向けの郵便割引制度が悪用された事件で、虚偽有印公文書作成・同行使などの罪に問われた自称障害者団体「白山会」(東京)元代表、倉沢邦夫被告(74)の第4回公判が17日、大阪地裁であった。倉沢元代表は被告人質問で、証明書発行への協力を依頼した国会議員が、かつて自らが秘書を務めた民主党の石井一参院議員であることを明かした。
一方で、不正発行について無罪主張の元代表は、証明書について「合法的に取れたと思った」と述べ、「口添え」の効果は「(厚労省側に)丁寧に対応してもらったので多少はあったかもしれないが、決定的ではなかったと思う」と振り返った。
倉沢元代表は弁護側の質問に対し、04年2月ごろに石井議員と会い、前年に設立した白山会前身の「凛(りん)の会」を割引制度の適用団体と認める証明書を厚労省から発行してもらうため「口添えをお願いした」と述べた。議員はその際、「障害者を助けるのはいいことだ。お願いしてあげる」と話したという。
さらに、倉沢元代表はその日のうちに、当時の担当課長で元局長の村木厚子被告(53)=同罪の共犯として起訴、無罪主張=にあいさつし、その約3カ月後に証明書を受け取ったと説明した。
検察側は11月の公判での冒頭陳述で、石井議員を「国会議員」としたうえで、議員が村木元局長の上司だった部長に電話で協力を求め、部長が元局長に便宜を図るよう指示、元局長らが偽の証明書を発行したと主張している。