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金曜アンテナ

金曜アンテナ(2009/11/6)

沖縄普天間飛行場移設問題
かいま見える閣内不一致


 鳩山政権が発足して一カ月半。臨時国会が始まり、今週は予算委員会も開催された。しかしここに来て閣内の不協和音が聞こえる。米軍普天間飛行場移設をめぐる問題だ。
 始まりは就任したばかりの北澤俊美防衛相が九月二五日に沖縄を訪問したことだ。北澤防衛相は普天間飛行場や移転先とされる名護市のキャンプ・シュワブ沿岸を視察し、
「一刻も早く移さなければならないと実感した」「県外や国外へ移設するということになると、かなり時間がかかると思う」「新しい道を模索するのは厳しい状況だ」
 と、自民党政権が米国と合意した現行案に賛成せざるをえないことを表明したのだ。
 宜野湾市の中心部を占める普天間飛行場の用地は敗戦時に米軍に強制占領され、かねてから返還が求められていた。その声がいっそう大きくなったのは、一九九五年九月の米兵による少女暴行事件だ。この事件をきっかけに日米政府はSACO(沖縄施設・区域特別行動委員会)を設置。九六年一二月の最終報告で全面返還が発表されたが、代替施設の問題が残っていた。


閣僚の「暴走」と
優柔不断な鳩山首相



 そこで二〇〇六年に日米両政府はキャンプ・シュワブ沿岸部を代替地として合意。だが当時野党だった民主党はこれに真っ向から反対した。〇八年七月に作成した「沖縄ビジョン2008」では、日米地位協定の改定と普天間飛行場の県外・国外移転を打ち出す。そして今年の衆院選の政権公約である「マニフェスト2009」で、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記している。
 北澤防衛相は就任会見時ではこれらに従い、
「県外、国外が沖縄県民の負担を減らすにはよい」
 と述べていた。しかし沖縄と地縁がなく元は自民党出身の北澤氏にとって、現行案の方が理解しやすかったのである。
 一方、岡田克也外相も党の方針と異なる自説を発表している。一〇月二三日に行なわれた記者会見の席で、「県外というのは事実上選択肢として考えられない状況だと思う」と、嘉手納基地との統合案を打ち出したのだ。
 そしてその理由として、県外移設なら候補地選定に時間がかかること、〇六年に日米政府が合意したキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)への移設は環境の負荷が大きすぎることを挙げた。
 すでに岡田外相は二〇日に来日していたロバート・ゲイツ米国防長官にその旨を伝えたが、ゲイツ氏は沖縄県が主張する微調整には応じる意思を見せたものの、あくまで現行案であるキャンプ・シュワブ沿岸以外への移設は認めないと通告。一一月のオバマ米国大統領の来日までに問題を決着させることを求めた。
 だが岡田外相は二三日にジョン・ルース駐日米国大使と制服組のトップであるマイク・マレン統合参謀本部議長と相次いで会談した時も自説を展開し、三〇日に連立を組む社民党の山内徳信参院議員が主張した硫黄島移転説に対して「米軍の要請に応じられるだけの地理的位置にあるか」
 と切って捨てるなど、現在まで翻意する様子はない。
 こうした閣僚の独自の動きに対して、鳩山由紀夫首相は一〇月二四日に東アジアサミットが開催されたタイのフアヒンで、
「政治主導だから閣僚がいろんな思いを述べるのはいい」
と余裕を示しつつ、
「最後に決めるのは私だ」
 と、首相のリーダーシップを誇示して見せてもいる。
 だがそもそも北澤防衛相や岡田外相の「暴走」を許したのは、鳩山首相の優柔不断さにあるといえる。
 事実、鳩山首相は一〇月七日に官邸での記者会見で民主党のマニフェストの中の米軍再編の部分を、「時間という要素によって変化する可能性を否定しない」と述べたのだ。
 もっとも翌日、「容認とは一言も言っていない」と弁明したが、不用意な発言であることは明らかで、こうした緩みが閣僚の暴走を許す結果になっているとはいえまいか。
 また鳩山首相は常々、
「沖縄県民の皆さんの気持ちが一番大事」
 と述べているが、だからといって本心は県外移設を希望しつつも早期返還実現のためにはキャンプ・シュワブ沿岸部移設がやむなしとする仲井眞弘多沖縄県知事や島袋吉和名護市長の意見を尊重するつもりはない。ましてやゲイツ米国防長官が強く念を押したように、オバマ大統領の来日までに決定しなければという気持ちも全くない。あくまで普天間問題についてはゆっくり考えるのが鳩山流で、その実は来年一月の名護市長選、一〇月の沖縄県知事選まで待つつもりだろう。選挙になれば県内移設反対派が勝つ公算が高い。事実、三一日に民主党は県外移転派の稲嶺進前市教育長を推薦した。


地元自治体の
思惑は……



 こうした政府の態度に、地元自治体は三行半を突きつけようとしている。
 まず岡田外相が普天間飛行場を統合しようとした嘉手納基地を擁する嘉手納町議会は、一〇月二八日に統合案の撤回を求める意見書を全会一致で採択した。名護市もかつて決めた普天間移設受け入れを撤回する方向と報じられた(一一月一日付『読売』)。だが、名護市関係者はこの報道には批判的だ。
「島袋市長はじめ市幹部、後援会は沖合建設案でなんら変わっていませんよ。しかも普天間移設反対で出馬することになった比嘉靖氏の選対本部長が比嘉鉄也元市長というのも怪しい。なにせ比嘉鉄也氏は島袋市長の後援会最高顧問をしていた名護市の実力者。三つ巴により稲嶺氏の革新票を奪って島袋氏を有利にする狙いなのでしょう」
 一方、一一月一二日に大統領が訪日する米国も慎重な構えだ。
 一〇月三〇日には国家安全保障会議で特別に対日政策についての省庁横断の高官レベルで討議された。オバマ大統領が訪日しても、インド洋の給油活動が中止され、さらに普天間移設撤回を通告されれば、米国の面目はズタズタになる。よって米国政府内では「訪日を中止すべし」との声も出ており、日米関係に暗い影を落とすことになりかねない。
 さらに鳩山首相が二九日の衆院本会議で思いやり予算を見直す旨を発言したことも、米国の不信感を強めている。
 これについては早速翌日に岡田外相が、「外務省は根っこから(思いやり予算を)見直す作業に入っていない」と真っ向から反対。もはや鳩山政権では閣内不一致は異例な状態ではないのだ。
 原因はひとえに鳩山首相のリーダーシップの欠如なのだが、組閣も党内人事も実際にこれを掌握している人物が別にいる事実を見れば、官邸が軽量化しているのはむしろ当たり前のことかもしれない。

【お詫びと訂正】
本文中「比嘉靖氏の選対本部長が比嘉鉄也元市長」としましたが、比嘉鉄也元市長(名桜大学理事長)は島袋吉和市長の選対本部長の誤りでした。お詫びして訂正いたします。


天城慶・ジャーナリスト

護衛艦「くらま」あわや爆発か
日本一危険な航路を選んだ怪


「関門海峡は日本中で一番危険な海域。なぜ鹿児島の大隅半島を回るルートじゃなくて、危ない内海航路を通ったのか。同僚らも言っていますよ」
 関門海峡で一〇月二七日夜、海上自衛隊の護衛艦「くらま」(基準排水量五二〇〇トン、艦長柏原正俊一佐)と韓国籍のコンテナ船(総トン数七四〇一トン)が衝突、双方が炎上した事故について、ある現職の三等海曹は疑問を口にする。
 海上幕僚監部や佐世保基地の説明によれば、「くらま」は相模湾での観艦式を終えて佐世保基地を目指して太平洋を航行、四国沖から進路を北にとって内海に入り、豊後水道を通って関門海峡に差し掛かったところで事故に遭った。
 現場は「早鞆瀬戸」と呼ばれる関門海峡の最狭部。潮流も速く操船が難しい場所だ。見通しも悪い。
 近年、通峡経験の少ない外国船が増えたこともあって事故が増えており、第七管区海上保安部(七管)によれば過去五年で九件の衝突事故が起きているという。この危険海域に大型船三隻が錯綜する格好で事故はおきた。
 関係者の証言によれば、「くらま」には砲弾や魚雷、地対空ミサイルなどの弾薬類も積まれている模様だ。七管の職員が本音を漏らす。
「弾薬に引火しなかったのが不幸中の幸いです」
 事実、火災を起こした艦首付近には速射砲の弾薬庫があり、一時温度が上がったとも伝えられる。
「艦首ではなく船腹にぶつかっていたら爆発したり沈没した可能性はあった」と前述の自衛官はいう。爆発していれば乗組員だけでなく対岸の民家や関門橋、陸上施設の被害は必至だ。
 危険を避けるもっとも確実な方法が、関門海峡を通らず、九州南部を回って佐世保に入る南回り航路である。
 だが「くらま」はあえて危ない関門海峡を通った。すこしでも早く入港したかったのか、あるいは訓練だったのか。関門海峡の通過を誰がいつ決断したのか。また、同行の船はいたのか。他の船はどのルートを通ったのか。海上幕僚監部は「海保の捜査中でわからない」というばかりだ。
 あるいは、早鞆瀬戸を通る際「行会調整」と呼ばれる交互通行を実施する方法もある。七管の説明では、総トン数一万トン以上の船、または同三〇〇〇トン以上の油送船は行会調整が義務づけられている。だが護衛艦の場合、石油以上の「危険物」を積んでいたとしても対象外だという。
 関門海峡はイージス艦も通っている。「くらま」の事故が不可避だったとすれば、迎撃ミサイルを積んだ新鋭艦とて同じ。市民生活の目の前で大事故を起こし得るということである。
三宅勝久・ジャーナリスト

派遣法の抜本改正を
日比谷に二五〇〇人


「労働者派遣法抜本改正 まったなし!」と銘打った集会が一〇月二九日夜に開催され、政府与党の改正案の早期実現を求めた。会場となった東京・日比谷野外音楽堂には全国から二五〇〇人近くが結集。挨拶に立った全国ユニオン代表・鴨桃代さんは、「登録型派遣では雇用は守れません。労働者はモノではない。何としても、改正を実現させましょう」と訴えた。
 同月七日、労働者派遣法の抜本改正に向けた労使の議論が厚生労働省の労働政策審議会で始まったが、規制強化に対しては、業界からだけでなく労使の裁定役である公益委員からも「登録型派遣を廃止すると職業選択の自由を奪う」「製造業派遣が禁止されると人を雇えなくなる」などの声が上がっている。
 ルポライターの鎌田慧さんは「派遣法はぼったくりの法、ピンハネの法です。人間は取り換え可能な部品ではない。抜本改正には労働者の未来がかかっている」と呼びかけ、反貧困ネットワークの事務局長で内閣府参与の湯浅誠さんは「垣根を越えてつながることで社会は変わる。誰もが安定して働ける社会を作るためには派遣法の改正が必要だ」と力を込めた。
 派遣添乗員で組織する阪急トラベルサポート支部の女性組合員は「私たちは年収が約二〇〇万円でほとんどがワーキングプア状態。登録型派遣はただちに廃止してほしい」と、壇上から訴え、大きな拍手を受けた。
 昨年一〇月から今年一二月までに失職する非正規労働者約二四万人のうち、六割近い約一四万人が派遣社員といわれる。不安定な働き方を強いられた人たちに、政府は一刻も早く手を差し伸べるべきだ。
野村昌二・ジャーナリスト

「新日本窒素労働組合」
資料展 各地で開催


 水俣病の原因企業チッソの従業員でありながら会社の不正を告発し、水俣病患者の支援をしたことで知られる労働組合「新日本窒素労働組合」の資料展が一〇月三〇日、東京都・法政大学市ヶ谷キャンパスで始まった。主催は熊本学園大学水俣学研究センター。
「江戸時代の水俣」から「労組結成」「水俣病患者と組合」など七部構成で、約八〇点の機関紙や写真などが展示されている。
 水俣学研究センター事務局長の花田昌宣氏は開会の挨拶で「従業員として会社の責任を負い、自分の会社と最後まで闘い続けたのは、他の公害企業の中でここくらい。こういった組合があったことを歴史に残したい」と同展の意義を語った。
 同組合元委員長の山下善寛さん(六九歳)は、「会社から受けた差別や、工場内の労災と闘いえなかったことが水俣病を引き起こしてしまった」と振り返り、「資本からの独立、命と健康を守る、といった労組の理念は今日的な意義があると思う」と語った。
 同組合は六八年の労組大会で「今まで水俣病と闘いえなかったことは、正に人間として、労働者として恥ずかしいことであり、心から反省しなければならない」という声明を発表し、有名な「恥宣言」を決議している。
 東京展最終日の一一月八日には原田正純センター長が講師を務めるシンポジウムが開かれ、今後の日程は大阪展(一七日~二九日)、熊本展(一二月七日~二〇日)、水俣展(来年一月八日~二一日)となっている。
 詳細は熊本学園大学水俣学研究センター(電話番号 096・364・5161)
野中大樹・編集部

京大非正規職員雇い止め
スト決行で奇妙な判決


「被告らは、原告に対し、土地を明け渡せ」
 奇妙な判決だった。被告となった京都大学時間雇用職員組合「ユニオンエクスタシー」(以下、ユニオン)は、判決日一〇月二九日の四カ月も前に、原告の京都大学に土地を明け渡しているからだ。
 ことの起こりは二〇〇四年。国公立大学は独立行政法人化され、国からの運営費交付金の削減も決まる。すると京大では、〇五年から雇用する非正規職員の雇用期間を最長五年とする就業規則(五年条項)を定めた。それに従えば、一〇年三月に五一人の最初の雇い止めが実行され、以後、現在の職員だけで約一三〇〇人が対象になる。
 〇五年から大学図書館で働く非正規職員の井上昌哉さん(三七歳)と小川恭平さん(四〇歳)は、条項を「使い捨ての人権問題だ」と怒り、〇七年三月にユニオンを結成。大学に条項撤廃を求めたが、団体交渉が認められなかったため、今年二月から大学正門前のクスノキの下でテントを張ってのストライキに入った。
 すると、二人は五年を待たずして、この三月で雇い止めとなったのだ。それでもストを続けたため、四月、大学は土地の明け渡しを求め京都地裁に提訴した。そしてユニオンは、六月に活動拠点をクスノキから大学正門脇に移したため「訴えの利益がなくなった」(井上さん)のだが、今回敗訴となったのだ。
「五年条項の問題を判決で触れていないのが残念」と小川さんは嘆く。また、大学が勝訴を受け、正門脇の明け渡しを求める可能性も出てきた。
 だが、「追い出されてもどこかで座り込みは続けます」(小川さん)とユニオンは最後まで闘う姿勢を見せている。
樫田秀樹・ジャーナリスト

「浦電事件」最高裁へ
逆転勝訴を目指す集会


 東日本旅客鉄道労働組合(JR東労組)の組合員七名が、「強要罪」の罪に問われている「浦和電車区事件」(通称「浦電事件」)で、一〇月三一日、東労組を主体とする「支援する会」が、最高裁での逆転勝訴を目指し、東京の日比谷公会堂で集会を開催した。
「浦電事件」とは、JR東労組の組合員七名が、当時同労組組合員だった運転士に組合脱退と会社退職を強要したとして、〇二年一一月に逮捕された事件。東労組では当初より「事件は組合の弱体化を狙ったもので、国家権力によるでっち上げ」として被告の支援活動を続けていたが、裁判所の判決は〇七年七月の一審、今年六月の二審とも全員が有罪。一審判決後の〇七年八月には、JR東日本からも懲戒解雇されていた。
 今回の集会は、最高裁での逆転勝利を目指す闘いのスタートとなるもので、民主党から今野東参議院議員ほか十数名と、新党大地からも鈴木宗男衆議院議員が応援のため出席。第二部のパネルディスカッションには山口正紀、佐藤優、浅野健一の各氏(いずれも本誌執筆陣)が登壇したが、「反対者側資料も吟味した結果、七人の冤罪を確信するに至った」という佐藤優氏からは、「『浦電事件』の本質は、官僚から見て綺麗な労働組合にしたかったということだ」との指摘があった。
古川琢也・ルポライター


コラム



戸別所得補償制度と
FTA締結は
矛盾していませんか?
農民組合連合会長に聞く



農業に対して、過剰な保護政策だとマスメディアは書き立てますが、欧州では国が援助するのが当たり前です。仏では、農家収入の8割が国からの援助金。今は、米国ですら農業の国家保護が当たり前になってきました。例えば、牛乳。余った乳製品は政府が買い取ってくれますし、飲用乳は、「不足払い価格制度」といって生産コストと販売価格の差額(赤字分)を政府が支払ってくれます。完全に国家管理型。民主党連立政権は、農家に対して、生産コストと販売価格の差額を国が支払う「戸別所得補償制度」の導入を検討していますが、これは元々、欧州の政策。日本にもこの政策を導入することは大歓迎です。ただ、支払い額が全国平均の固定額ですから、北海道のように大規模なところが有利になり、西日本のように小規模なところは、補償が不十分となるなど、改善を要する点が多々あります。赤松広隆農林水産相は農業に関しては素人。ただ、その素人の部分を生かした公正な農政を行なっていただきたい。政権が締結を目指しているFTA(自由貿易協定)には反対です。先のJA全中全国大会で、自民党の谷垣禎一総裁が民主党の農業政策を批判していましたが、農家は政府の動向を良く見ています。民主党がそんな暴挙をやると分かれば直ぐに離れるでしょう。ただ、農協も農産物の販売事業よりも金融業に力をいれているようではダメ。本当の意味で農家のための団体になるよう、もっと生産と販売にかかわるべきです。   (談)

全日本農民組合連合会会長
谷本 たかし


ジェンダー



【国会】参議院本会議 男女共同参画について質問
10月30日
 参議院本会議で10月30日、鳩山由紀夫首相の所信表明に対し、民主党と社民党が男女共同参画に関して質問した。円より子議員(民主)は、母子家庭の貧困の現状を訴え、子ども手当や高校の授業料無償化などに加え、ヒューマン・ニューディール政策を役立てることを求めた。また、衆議院総選挙で女性議員が54人と、初めて1割を超えたものの、国連開発計画が発表したジェンダーエンパワーメント指数では109カ国中57位だったことを指摘、政治や経済活動における女性の能力活用についての見解を求めた。
 これに対し鳩山首相は「子ども手当の創設は、ヒューマン・ニューディールといった観点と関連している。少子化は最大のテーマであり、財政的な支援にとどまらず様々な支援を行なわねばならない。ワーク・ライフ・バランスや女性の能力開発への様々な支援、トップの意識開発などあらゆる面で男女共同参画社会の実現に向け頑張っていかなければならない。衆参で96名の女性国会議員がおられ、ご活躍に期待したい。女性の視点に立った施策を作っていきたい」などと答弁した。
 近藤正道議員(社民)は、国連女性差別撤廃委員会が今年8月に日本政府の取り組みの遅れを厳しく指摘したことに言及し、第3次男女共同参画基本計画に、女性の貧困撲滅や国連の勧告をどう反映するのか、福島みずほ男女共同参画担当大臣に質した。
 これに対し福島大臣は、「第3次男女共同参画基本計画の策定に当たっては、第1に撤廃委員会の最終見解の内容を十分に検討し、その結果を反映する。第2に生活困難を抱える男女についての提言を踏まえ、女性、男性、子どもの貧困など、生活上の困難にもしっかり対応したい」と答弁した。


【国際】ジェンダーギャップ指数、日本は相変わらず低ランク 10月27日
 世界各国の政財界の指導者が集まる「ダボス会議」を主催する「世界経済フォーラム(WEF)」が10月27日、2009年版「世界男女格差報告書」を公表した。日本のジェンダーギャップ(男女格差)指数は134カ国中75位であり、昨年の130カ国中98位から上昇したものの低位ランクのままだった。
 日本の低ランクは、高等教育への進学率98位、就業率格差83位、賃金格差99位、女性国会議員割合105位などによる。


【インフォメーション】
◆11月11日(水)11:30~▼通常国会での民法改正を目指す院内集会▼会場:衆議院第1議員会館第1会議室▼主催・連絡先:mネット・民法改正情報ネットワーク(電話番号&ファックス 03-3568-3077 メールアドレス mnet@news.email.ne.jp)
協力/mネット・民法改正情報ネットワーク、現田正義


国際短信



コロンビア
最悪の人権侵害国に
オバマが軍事的肩入れ


 米国はコロンビアとの間で10月20日、米軍がコロンビア国内の7つの基地を使用できることを可能にする軍事協定を正式に調印した。この協定はかねてから周辺国で、「米軍による南米での新たな軍事介入を招く」と批判を浴びており、今後ベネズエラをはじめとする中南米左派政権に対する米国の転覆工作が懸念される。このため以前からコロンビアとの間で紛争が続き、この9月に国内から米軍基地を追放したエクアドルは10月、ロシアとの間で武器売却の交渉を開始した。
 コロンビアは「西半球で最悪の人権侵害国家」とされ、米国の支援を受けた政府・軍・極右民兵による「超法規的処刑」が2002年以降、判明しただけでも1296件発生。さらに08年には労組活動家など1015人が失踪状態になっており、この数は07年度の4倍に増加しているほか、「ゲリラ対策」を口実にした農村部からの暴力的な住民立ち退きにより同年だけで38万人が追放された。難民化した国民は累計400万人に達してスーダンに次ぐ世界最悪の水準となっている。
 一方オバマ政権は、人権団体の抗議を無視。10年度の対コロンビア援助としてブッシュ政権時代より若干低い5億8000万ドルを予算に盛り込む構え。内訳を見ると軍への援助だけが30%も増加しており、ここでも「人権」を口にする米国の二枚舌が露骨だ。
編集部

パレスチナ
入国したら即時逮捕しろ!
欧州でイスラエル軍戦犯リスト作成


 英国やベルギー、スペインなど欧州連合の弁護士が協力し、昨年末から今年1月にかけてのガザ大虐殺を実行したイスラエル軍人のリストがこのほど完成。もしリストに含まれる軍人が欧州連合加盟国に入国したら、直ちに戦争犯罪人として告発し、逮捕できる態勢が整いつつある。すでに英国の警察当局は独自に何人かの同軍の戦争犯罪者リストを作成し、入国時に逮捕・拘禁する方針とされる。
 このリストは英国のダニエル・マクオーバー弁護士を中心とするグループが、ガザで無差別攻撃を受けたパレスチナ難民の聞き取り調査を元に作成。リストは一切非公開だが、今後は新たな戦犯容疑者を追加する更新作業を続けていく。
 9月にゴールドストーン判事が率いる調査団が発表したガザ虐殺の報告書では、イスラエルの戦争犯罪が圧倒的に多くの記述を占めており、このためマクオーバー弁護士は、虐殺当時のオルメルト首相やリブニ外相ら政府首脳も、「英国に入国したら逮捕されるだろう」と語っている。
編集部

東欧
黒海で米軍がきな臭い動き
進行する対ロシア軍事包囲網形成


 米国はルーマニアとブルガリア両国の黒海に近い場所に、近く改修して近代化した軍事基地を開設する。建設費は米国側が負担し、ホスト国との共用になるが、ルーマニア側は1600人、ブルガリアは2500人規模の米兵受け入れを見込んでいる。
 米国側は黒海からトルコを挟んで向かい合う中東を睨んでの展開と説明しているが、明らかに長期的に進行しているNATOの東方拡大の重要な一環であり、対ロシア包囲が最大の狙いであるのは明らかだ。さらに同じく黒海を望むグルジアに対しては昨年のロシアとの紛争以降、米・NATOが強力な軍事援助を投入。グルジア軍の近代化が急ピッチで進められており、黒海における米軍の影響力が拡大している。
編集部


今週の裁判予定



協力/NPJ


11月10日(火)
落合川とホトケドジョウを救え!~川が原告となった初の訴訟
13:30~ 東京地裁 527号法廷
事件内容:落合川(東京都東久留米市)の埋め立て工事により、絶滅が危ぶまれているホトケドジョウの生育環境が破壊されるなどとして、周辺住民らが東京都に対して、工事の差し止めを求めた訴訟
期日内容:証人尋問
「浮かぶ原発」原子力空母上空の民間機通過差止訴訟
10:30~ 東京高裁 809号法廷
事件内容:米軍横須賀基地停泊中の原子力空母・潜水艦への飛行機事故を起こさせないために、同基地上空の飛行制限を、国に対して求めた訴訟の控訴審
期日内容:口頭弁論


11月12日(木)
新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)
11:00~ 東京地裁 103号法廷 ※報告集会あり
事件内容:野宿生活を余儀なくされていた原告が福祉事務所に生活保護を申請したが、2度にわたり「稼働能力不活用」などを理由に却下された。却下処分の取消しと保護開始決定の義務づけを求めた訴訟
期日内容:原告主張の補充と証人申請(予定)


11月13日(金)
首都圏建設アスベスト訴訟(横浜訴訟)
13:30~ 横浜地裁 101号法廷 ※傍聴抽選の可能性あり
事件内容:建設作業に従事して石綿関連疾患に罹患し、労災または石綿救済法の認定を受けた被災者およびその遺族が起こした損害賠償請求訴訟
期日内容:証拠保全による原告本人尋問(2名)


詳細はhttp://www.news-pj.net/npj/npj-cal.html

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