「『嫌韓・嫌中』について」は、今日も中断。
体力気力の衰えている時には、こう言う話題はきつい。
で、食べ物の話に一時避難する。
2008年8月22日の朝日新聞の「私の視点」欄に、藤井潤九州大学准教授が「牛レバーの生食、危険伝えよ」という意見を載せている。
そのコピーを下に掲載する。(写真はクリックすると大きくなります)
要点は
- 牛の生レバーやユッケなどを食べて、0−157などに感染する人が目立つ。
- 厚生労働省は1998年に、牛と馬の生食に関する衛生基準を定めたが、強制力がないので、多くの飲食店は加熱用の肉を生で客に出している。
- 牛の肝臓には、一定の割合で食中毒原因菌カンビロバクターが存在する。
厚生労働省は、特に牛のレバーの危険について、積極的に国民に知らせて欲しい。 - 牛の生肉は時に人を死に至らしめることを良く認識し、飲食店は加熱用牛レバーを生食用として提供するのはやめ、消費者も口にすることは避けて欲しい。
と言うわけだが、どうも、参りましたね。
焼肉店で出している、「レバ刺し」や「ユッケ」が生食用の物ではなく加熱用のものだったとは露思わなかった。
我々日本人は、魚の刺身になれているから、肉の刺身の安全性も疑うことがない。
それに、刺身で出し来るからには、生で食べられるように、屠場の段階からきちんと生食用に分別されていると信じていた。
実は、そうではなかったとは、これは、ひどい裏切りだ。
私は、ステーキはレアで食べるが、ステーキのレアと、肉の刺身とは、根本的に違う。ステーキは、いくらレアでも、中まで火を通す。中の冷たいレアのステーキなんて、そんなのはステーキではない。
レアと言っても、ステーキの場合、ちゃんと熱が通っていないと、肉が活性化しないから美味しくない。
肉の刺身とは全く違った味わいなのだ。
魚の刺身だって、下ろすところから清潔でなければ食べる気にならない。
作る方も、魚の刺身の場合神経を使っている。
ところが、ユッケに、加熱用の肉を使っているとは全く驚いた。
魚は鮮度が落ちると臭みが出るので刺身には使えないが、肉の場合は魚ほど足が速くない。
それに、ユッケの場合、濃い味のタレをかけ、ニンニクなどの香辛料も使うので、ごまかしがきく。
今まで焼き肉屋に行くと、ユッケ・ビビンパを喜んで食べていたが、この藤井先生の話を読むと、ちょっと手が出なくなる。
私は若いときにははレバ刺しを好んでよく食べたが、最近は、体が弱くなったせいか妙に勾いに敏感になり、レバーの血の勾いが強くて辟易するようになった。
それに、素人考えだが、肝臓というのは、体内の毒素を分解する臓器だ。
と言うことは、肝臓には、分解前の毒素が溜まっているのではないか。
そんなことを考えて、最近はあまりレバ刺しは食べなくなった。
しかも、肝臓の中には一定程度の割合で食中毒原因菌カンビロバクターが存在する、と知っては、もうだめだ。
私の友人の中には、レバーの刺身は強壮剤だと言って、喜んで食べている者がいる。
私が、「今日のレバーは、においが良くない」などと言うと、「何を虚弱なことを言ってるんだ」と威嚇する。
今度から、その友人に、レバ刺しはやめろと言ってやろう。
「美味しんぼ」の中でも、レバーの刺身を推奨するような話を書いたんじゃないかしら。
困った、困った。
こんなこととは知らなかったからなあ。
だが、事実を知れば改めるのに遅すぎることもないし、恥じることもない。
これからは、漫画や、随筆の中で、レバーの刺身を推奨するのは止めにしよう。
とはいえ、生肉全般が駄目とは言えないだろう。
ちゃんと処理した生肉なら、危険はないはずだ。
ただ、どれが本当に生食用の肉のなのか分からないところが問題だ。
これは、食品の偽装とは問題が違うが、食の安全性から言えば、加熱用の肉を刺身で食べさせている方が、遙かに危険なのではないか。
今夜の我が家の夕食は、牛のタンシチューだ。
安全性の心配をせずに食べられる。
どうも、こんな話を読むと、食に対して保守的になってしまいますな。