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トーク21 |
12月20日 |
手抜きなし! 勝負は全力投球で |
元プロ野球選手 村田兆治さん 本物に接することが一番の刺激 副会長 鈴木裕さん 大変な時こそ頑張れば開ける! 還暦を迎え、なお140キロのストレートにこだわる――。今回の「トーク21」は、「人生に引退はない」と、挑戦し続ける元プロ野球選手の村田兆治さんの登場です。対するは鈴木裕副会長。村田さんの新著『還暦力』(朝日新聞出版)をめぐる“こだわり対談”をお楽しみ下さい。 引退後離島で野球教室 鈴木 このほど出版された『還暦力』を読ませていただきました。還暦になってなお「まさかり投法」のフォームが崩れないなんてすごいですね。しかも、140キロのストレートが投げられるなんて! 読めば元気とやる気がわき出てくる“応援歌”のような本ですね。 村田 ありがとうございます。現役から退いて20年たちますが、いまだに“若いもん”に負けたくないと思うんです(笑い)。 鈴木 本の中でも紹介されていましたが、引退してから、離島を回って子どもたちのために野球教室を開いておられます。 村田 きっかけは、引退したときにもらった一通の手紙でした。ぜひ来てほしいと。僕は投げるときに、ファンの方からエネルギーをもらってきたので、引退後は何かのかたちで恩返しをしたいと考えていた。野球を通して教えてもらったことを次の世代に伝えていきたいと。 鈴木 どのようなことでしょうか。 村田 志を持って努力していけば、できなかったことも、できるようになる。また、野球は一人ではできない。役割分担があって、それでチームが勝つことができる。皆が4番にはなれないし、レギュラーでない人のサポート(助け)によって成り立つこともあるんです。そんなことを教えたいと思っていました。でも行ってみたら、15人しかいない小学校だった。試合さえできない。 鈴木 そこでデモンストレーション(実演)として投げられた。 村田 そう、本気で、ビュッと。そうしたら「うわー、すごーい!」って。子どもたちの目が輝いた。本物を見せることで、子どもたちの刺激になるし、元気にすることができる。だから、子ども相手でも決して手を抜かないんです。 子どもたちに夢と希望を 鈴木 学会には未来部があり、私たちも、小・中学生のメンバーを激励するのですが、実を言うと、大人相手のときより緊張するんです。本気で、子どもたちの生命にぶつからないと、育てることはできない。こちらの本気度が試されると実感します。子どもたちへのメッセージが何かあればお聞きしたいのですが。 村田 私がよく言っているのは、まず見る、よく観察することです。次に聞くこと。あとは、考えて行動する。この三つは、どのようなことにも通用すると思います。 それと、子どもたちには、どんなに苦しいことがあっても夢を持ってほしい。大人は、子どもたちに夢と希望を与えなければいけない。一人の先輩として、いい意味で刺激を与えられる存在でなければ……。 鈴木 私は、中学・高校生のとき父が病気で幾度もの手術を受け、両手・両足を失うというつらい出来事がありました。その大変なときに池田名誉会長から励ましを受け、踏ん張れたのです。「最後に勝つことが大事なんだ。今はつらいかもしれないけれども、じっとこらえて今に見ろ!」と。 村田 私の好きな言葉は「限りなき挑戦」です。精いっぱいやったことは無駄にならない。野球をして、甲子園に行ってプロになるのもいい。しかし、そうならなくても、一生懸命にやった経験は決して無駄にならない。 鈴木 現役時代は超人トレーニングと言われ、腹筋や背筋、腕立て伏せを500回、1000回やられていたことは有名です。 村田 今の野球選手だって、これほどやっている人はいない。しかも、足を上げる投球フォームを2000回は繰り返した。一通りの練習が終わってから4時間もかかります。 出会いが人間性を深める 鈴木 村田さんは、現役時代にけがをされて、手術までされていますよね。プロ野球選手としては致命的とも言われました。 村田 そのときの思いは、ゼロからの出発ですね。「決してあきらめない」ということを、自分自身で何度も確認して……。それでも落ち込んで、引きこもり状態になったときもあった。でも、自分の人生に悔いを残したくなかった。 鈴木 100年に一度の経済危機と言われる中で、多くの人がさまざまな悩みを抱えています。「ピンチはチャンス」とよく言われます。大変なときだからこそ、頑張れば必ず開けていく。 村田 その通りですね。私は何度も、誰の人生なんだということを考えましたよ。それでも、ひじを治したとしても、投げたときに打たれて笑われるんじゃないかとか、失敗するぐらいならやめておけと、心の中で声がするんです。 鈴木 その中で家族が支えになった。 村田 私は、昭和生まれの明治男だから「励まし」はされたくない。だから、けがをしたとき、家族は腫れ物に触るような気持ちだったかもしれません。ただ、手術でアメリカへ行くときに、子どもが「お父さん、留守の間、僕たちは一生懸命、自分たちのできることをやるから、安心して行ってきて」という手紙をくれた。悩んでいるところを見ていたんですね。 鈴木 子どもを成長させるには、教える側も成長しなければなりません。親の背を見て子は育つと言うけど、親が成長しないといけない。 村田 子どもは親を見ているんだなと思う。子どもとはあまり会話しなかったけれど、自分に甘えないということには気をつけていた。 鈴木 人間を深めるのは、出会いと出来事だと言います。どういう人と出会うのか、どういう出来事があったのか、それが人間を深めるのだと。創価学会は人と人の励まし合いの組織です。私も全力投球で悩める友の幸福のために走り抜こうと心に決めています。 村田 僕は現役を引退したときに「人生先発完投」と書いた。引退後のセカンドステージ(第2の人生)でも努力を惜しまないでいこうって。 鈴木 これからも「まさかり投法」の勇姿が見られることを期待しています。ありがとうございました。
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