飲酒が乳がんのリスクを高めることが、厚生労働省研究班(主任研究者、津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の研究で分かった。全国5万人の追跡調査で、週に150グラム以上のアルコールを摂取する女性が乳がんを発症する割合は、全く飲んだことがない女性の1.75倍だった。
1週間で150グラムとは、日本酒なら約7合分に相当。ワインなら約14杯分、ビールでは大瓶約7本分、ウイスキーは約7杯分になるという。研究班は1990年代から、5万人の女性の生活習慣と健康状態を追跡。追跡できた期間は平均13年間で、うち572人が乳がんを発症していた。
発症率は、週の飲酒量が150グラム以下の人は飲まない人の1.06倍であまり変わらなかったが、150グラムを超す人では1.75倍になった。
飲酒が口腔(こうくう)、食道、大腸、肝臓などの各がんのリスクを高めることも、報告されている。がん予防に詳しい田島和雄・愛知県がんセンター研究所長は「がんには様々な要因があるが、その一つが確認できたことは意義がある。女性の飲酒は増えており、注意喚起が必要だ」と指摘する。