5日の最終節で涙ぐむ闘莉王
サッカー日本代表DF闘莉王が、J1の浦和から名古屋へ移籍した。代表でのレギュラーが「戦力外」の形で放出されたのはなぜか。
5日の最終節。浦和は鹿島に敗れ、ライバルの3連覇を見せつけられた。試合後、闘莉王は言った。「(自ら浦和を)出ていくのではなく、レッズが闘莉王を必要としていない」。2004年にJ2水戸から移籍し、06年にはリーグMVPを獲得した28歳は、しんみりと語った。
夏場に残留交渉が行われたが、闘莉王にとっては満足のいく提示額ではなかったという。11月上旬に契約を更新しない旨を伝えられ、12月上旬にはゼロ円提示を受けた。いわゆる、戦力外通告だ。
浦和のフィンケ監督は育成型の指導が持ち味。来季も「2人、3人のまったく新しい顔がスタメンになるかもしれない」と話す。若返りを図る中で構想外となったとの見方がある。また、監督が育成偏重になるあまり「今季は優勝を目指さなくてもいい」といった発言に、人一倍負けん気の強い闘莉王が反発したとも伝えられた。
理由は若返りだけなのか。全員に豊富な運動量を求めるフィンケ監督はこう話した。「変革を行うときには、よくないと思う人間が出てくるのも自然のこと。メリットがまったくないと感じている選手もいた」。機を見ては攻撃に参加する奔放さが持ち味の闘莉王が、個性よりも組織を重視する指揮官のやり方を快く思っていなかったことを、におわせた。
クラブ関係者は闘莉王の素行に問題があったことも指摘する。「二日酔いで来る日もあるし、練習を途中で帰る日もあった。注意しても直らなかった」。チーム批判ともとれる発言もたびたび。クラブはその存在をもてあました。1億2千万円(推定)という高額年俸も足かせになった。