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 平成21(2009)年も残すところあとわずか。新政権誕生、新型インフルエンザ…と、ことしの漢字「新」に象徴されたこの一年、京都・滋賀ではどんなニュースがあったのか。歳末恒例、京都新聞社が選んだ「10大ニュース」で振り返ります。(文中の年齢は記載日当時)


 (1)民主圧勝で政権交代

 8月の衆院選は、戦後初めて選挙での政権交代につながった。全国で308議席を得て大勝した民主党は、京都府内でも6小選挙区のうち5議席を獲得した。9月に発足した鳩山政権には、国土交通相に就任した前原誠司氏をはじめ、京都選出の民主党国会議員5人が政務三役に加わり、党内で大きな存在感を示している。

 衆院選は1区で自民党重鎮の伊吹文明氏が民主党新人に敗れる(比例近畿で復活)など波乱が起きた。比例代表の府内得票も、民主は過去最多の58万票に伸ばして前回参院選に続く第1党を維持した。

 自民党で唯一、選挙区議席を守った谷垣禎一氏は京都選出の国会議員として初めて党総裁に就任し、党の再生を急いでいる。


 (2)漢検で背任疑い

 財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市下京区)の大久保昇・前理事長(73)=京都市右京区=と長男の浩・前副理事長(45)=同=が5月19日、自らが役員を務める広告会社に架空の業務委託をし、協会に約2億6千万円の損害を与えたとして、背任の疑いで京都地検に逮捕された。

 疑惑の表面化で4月、2人は協会の正副理事長を辞任。8月には協会が、2人と2人が役員の関連4社に対し27億4千万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴。刑事、民事とも裁判が続いている。

 年間志願者250万人超の人気を誇る漢字検定は逮捕後初の試験(6月)で受検者が前年同期比で27%減少した。毎年12月に清水寺で発表する「今年の漢字」は今後も続ける。


 (3)新型インフル 混乱

 新型インフルエンザは京都府内でも5月21日に京都市で感染が初確認された。10月以降は本格的な流行となり、11月4日には府と京都市が警報を発令。12月23日現在、府内の死者は計9人となった。

 当初は関西を中心に感染拡大したことから、京都では修学旅行などのキャンセルが相次ぎ、観光業界が風評被害に見舞われた。11月からは持病のある人らへのワクチン接種が始まったが、供給量が不足して医療現場では混乱が見られた。

 府内の1医療機関当たりの患者数は11月上旬に34・15人に達して以降、下降傾向にある。だが流行は収まっておらず、各地の休日診療所では年末年始の間、医師や看護師を増員して態勢の確保に努める予定だ。


 (4)舞鶴高1殺害容疑 男を逮捕

 舞鶴市の雑木林で昨年5月、東舞鶴高浮島分校1年小杉美穂さん=当時(15)=が遺体で見つかった事件で、京都府警は4月7日、殺人と死体遺棄の疑いで、現場近くに住む無職中勝美容疑者(60)を逮捕した。その後、京都地検が殺人と強制わいせつ致死罪で起訴した。中被告は一貫して否認している。

 府警は、事件と結び付く有力な直接証拠がない中、事件当夜に防犯カメラに映った小杉さんと歩く自転車の男が中被告に似ているなどとして逮捕に踏み切った。

 府警と地検は逮捕や起訴の具体的な根拠を説明せず、「状況証拠を積み重ねた結果」と繰り返した。

 京都地裁で進行中の公判前整理手続きで、弁護側は全面的に争う方針を示している。


 (5)女性暴行 京教大生ら容疑で逮捕

 酒に酔って抵抗できない女子学生に集団で性的な暴行を加えたとして、京都府警は6月1日、集団準女性暴行容疑で京都教育大(京都市伏見区)の男子学生6人を逮捕した。飲酒の際の学生のモラル低下が問われた。

 6人は「合意の上だった」と容疑を否認した。真相解明の舞台は法廷に移るとみられたが、女子学生と6人の間で示談が成立し、京都地検は6人を不起訴処分(起訴猶予)として事件は突然、終結した。京教大は6人を無期停学処分とし、当時の寺田光世学長は8月、引責辞任した。

 事件をめぐっては、インターネットに女子学生を中傷する書き込みが相次ぎ、京教大など計4大学が書き込んだ学生を処分するなど波紋が広がった。


 (6)京都でも裁判員裁判

 市民が裁判官とともに刑事裁判の審理・評議に参加する裁判員制度が5月21日にスタートし、京都地裁では10月27〜29日に初めての裁判員裁判が開かれた。

 路上でバッグをひったくり、女性にけがをさせたとして強盗致傷罪に問われた男(32)の裁判に、男性4人と女性2人が裁判官3人とともに臨んだ。

 被告人質問では裁判員が質問し、更生への意欲などを確かめた。

 懲役6年6月の求刑に懲役5年6月の判決を言い渡し、補充裁判員を含めた5人が記者会見した。京都地裁では12月にも2件の裁判員裁判があった。


 (7)iPSでラスカー賞

 さまざまな種類の細胞に分化できるiPS(人工多能性幹)細胞の樹立に成功した山中伸弥京都大教授が10月、「ノーベル賞の登竜門」とされるラスカー基礎医学研究賞(米国)を受賞した。同月にはさらに「ガードナー国際賞」(カナダ)を森和俊京大教授とともに受賞するなど栄誉が続いた。

 がん抑制遺伝子の働きを抑えて作製効率を向上させるなど、iPS細胞研究は今年も大きく進展した。鳥取大と京大が筋ジストロフィーの患者の細胞で遺伝子を修復したiPS細胞作製に成功、臨床応用に向けた成果も相次いだ。


 (8)京都が5連覇

 1月11日に京都市内で行われた第27回全国都道府県対抗女子駅伝で、京都が5年連続13度目の優勝を果たした。5連覇は大会最多タイ記録で、京都が6〜10回大会を制して以来2度目の快挙。

 京都は1区2位と好発進し、7区までに3人が区間賞を獲得する力走で上位をキープ。中学生区間の8区で久馬萌(綾部中、現綾部高)が区間新をマークして先頭に立ち、逃げ切った。

中高生の活躍が目立った一方、大学生や社会人の安定した走りも優勝を支えた。年代の壁を越えた合同合宿など、先進的な強化策が高い総合力の原動力となっている。


 (9)京の6店 三つ星に

 レストランの格付け本「ミシュランガイド京都・大阪」が10月16日、初めて発売された。京都市内の日本料理店6店と大阪市内のフランス料理店1店が、最高評価の「三つ星」を獲得した。

 星を獲得した150店中、京都は85店に上り、京料理のレベルの高さを示した。「フランスの基準で、四季に根ざした京の料理文化を評価できるのか」との反発も根強かったが、「瓢亭」(左京区)、「京都吉兆嵐山本店」(右京区)など有名料亭が三つ星を獲得。受賞店の主人らも「世界に日本料理を発信するうえで発言権が増す」と歓迎した。


 (10)京都市補助金を不正流用

 京都市内の民間保育園でつくる市保育園連盟の常務理事(当時)が、市補助金の剰余金2800万円を本人名義の口座に入金し、前理事長の給与などに不正流用していたことが2月に発覚した。

 その後、総額約6億6100万円が保育士の人件費など目的外に使われていたことも市の特別監査で判明。

 市保育課は10年以上にわたって不正を主導し、議会の議決を経ずに支出決定していた。

 連盟は理事長以下体制を一新。市も歴代の保育行政の担当幹部を処分したが、懲戒処分は見送っており、「身内に甘い」と批判の声も上がった。

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