LED特集|これを読めば、すべて分かる!「LED電球」完全ガイド :Contents2
これを読めば、すべて分かる!「LED電球」完全ガイド
低消費電力&長寿命だが
「理想の万能電球」ではない
◎CONTENTS♯2「LED電球の選び方」
設計思想で大きく異なる
メーカー各社の最新モデル
「60W相当の明るさ」とは?
LED電球を選ぶ上で、その前提となるのは、例え同じ60Wクラスでも、明るさや消費電力がメーカーによって異なるということだ。
そもそも「W」とは消費電力の単位であり、明るさの単位ではない。「60W白熱電球」とは、「60Wの電力を消費する白熱電球」のこと。100Wであれば明るさが増し、40Wなら明るさが減るわけだ。
一方、電球型蛍光灯やLED電球で明るさを表す際は「60W相当」と表現することが多い。「明るさが60W電球と同等」という意味だ。
表2は60W相当の白熱電球、電球型蛍光灯、LED電球の性能を比べたもの。消費電力に大きな違いのあることがわかる。LED電球の中では、消費電力3Wのエコリカが、最も省エネ性が高いように思える。だがLED電球の性能は、これだけでは推し量ることができない。
■表2 明るさ60W相当のスペック比較(昼白色相当)
※1)色は電球色 ※2)各社製品の演色性の平均値
60W相当の明るさとは、60W白熱電球を一定の距離から平面に向けて照らした際の「照らされた面の明るさ」と定義されている。これは「照度」といい、単位はルクス(lx)。照度はある意味で明るさ性能の一部を表した指標といえる。
これに対し、その電球が発する光の総量を表したのが「全光束」だ。単位はルーメン(lm)であり、その電球の基本能力といえる。これが違えば同じ60W相当でも、絶対的な明るさが大きく違うわけである。
表2で全光束が最も大きいのは810ルーメンの白熱電球だ(東芝LEL-AW8Nも810ルーメンだが80W相当なので参考値とする)。これに対し前述したエコリカは140ルーメンだ。この数値の差は絶対的な明るさの違いとして、誰にでもはっきり認識できるはずだ。
前ページで解説したようにLED電球は直下の明るさに強い発光特性を持つため、小さな全光束でも照度を高めやすい。
このためLED電球メーカーの多くは、パッケージなどの明るさ表示に「60W相当」という表現を明確に用いていない。これはユーザーにとって、使っている電球の同等品を探す上で著しく不便であり、評判がよくないことは事実である。
にもかかわらず敢えて表記しない理由は「全光束が白熱電球に届いていない現状で、60W相当との表現は誤解を招きやすい」からだ。
電球や蛍光灯はJIS規格で表記法などが定められているが、LED電球にはまだそれがない。そのため明るさ表記はメーカー各社に委ねられているのが実情だ。LED電球を選ぶ上で、これを認識しておかないと「同じ60WのLED電球に置き換えたのに、白熱電球よりも暗い」という問題に直面することになる。
消費効率に優れるパナ&東芝
では、数あるLED電球の中から何を選べばいいのか。ここで重要な指標が「消費効率」である。これは全光束を消費電力で割ったもの。1W当たり何ルーメンの光を発するかを示している。これが高いほど明るく、しかも省エネ性に優れる。
白熱電球は全光束でトップだが、消費効率は15.0と最低ランク。消費電力が54Wときわめて大きいからだ。一方で参考値の東芝AW8Nは消費電力8.7W。消費効率は93.1と断トツである(ただし価格は他のLED電球の二倍程度)。同じ全光束なら消費効率の違いは省エネ性の違いを示すわけである。
では消費電力3Wのエコリカはどうかというと、46.7と表2のLED電球では最下位。消費電力は少ないが全光束が小さいためである。
普及タイプのLED電球としては、パナソニックと東芝(AW6N)が80を突破しており、消費効率に優れたLED電球といえる。両社のLED電球に共通することは、設計思想として白熱電球の代替をストレートに目指していることだろう。
白熱電球ならではの明るさと、LEDならではの低消費電力&長寿命を同時に実現し、全体照明にも耐えうるLED電球を狙っているように感じる。東芝がAW8Nを商品化したのも、その証左といえよう。
「最適化」と「演色性」
消費効率とは異なる設計思想のモデルもある。例えばシャープのDL-L60AVは電球単体で調色(昼白色&電球色)と調光(7段階)が可能だ。どちらも付属リモコンで操作できる高付加価値モデルである。
またNECはLED電球の直下の強さを生かし、ダウンライトでの使用に最適化している。ダウンライト装着状態でも単体状態でも、60W相当の明るさを持っているのだ。
パナソニックは装着状態で60W相当だが、単体では30~40W相当。全光束を大きくし、直下以外の発光も重視した結果だろう。一方NECは、全光束よりも光の直下集中を重視し、少ない消費電力での60W相当を実現したわけだ。
三菱も消費効率は高くない。だが、それよりも自然な色を目指したのだろう。演色性82はクラストップだ。
「演色性」とは照明による物の色の見え方のこと。太陽光を100とし、これに近い数値ほど演色性に優れ、自然な色に見える。料理や装飾品など色にこだわる商品を照らす際には重要だ。電球型蛍光灯は84であり、三菱はこれに匹敵している。
LED電球は一般に、演色性と消費効率が反比例する。全体的に消費効率の低い電球色(表3)が、全体的な演色性では昼白色(表2)よりも高いことを見ても明らかだろう。
なぜ電球色の消費効率が低いかというと、全光束が昼白色よりも小さいからだ。LED電球はもともと青色LEDを発光させており、昼白色にするために黄色カバーをかぶせている。電球色はさらにオレンジのカバーで覆うため、その分、発光ロスが増えて全光束が小さくなるのだ。
つまり電球色か昼白色かは、明るさと演色性のどちらを重視するかの選択でもある。
■表3 明るさ60W相当のスペック比較(電球色相当)
※2)各社製品の演色性の平均値
(注)メーカー各社はLED電球を「60W相当」とは明確に表現していないが、表2、表3は分かりやすさを優先して「60W相当」とした。