デンジャラス・ビューティー①(ロクティエ小説)
いまさらですが2期8話ネタです。DVD3巻でティエのドレス姿を見て、萌えが再燃したもので・・・。2期ですが兄貴生存Ver.のコメディです。
【デンジャラス・ビューティー】①
戦闘中に連絡が途絶したアレルヤ・ハプティズムが恋人のマリー・パーファシーを連れて戻って沸くトレミーの中で、捜索から1人遅れて戻ったティエリア・アーデだけが沈んでいた。
トレミーの展望室で窓の外を見つめながら、ティエリアは1つ溜息をついた。
(リジェネ・レジェッタ・・・、私と同じ塩基配列のDNAを持つイノベイター)
自分と同じようにヴェーダに作られた者がいたという事実に、激しいショックを受けていた。そして、ヴェーダの、イオリア・シュヘンベルグの計画についても。
「どうした?」
聞きなれた優しい声に視線を上げると、目の前の強化ガラスの窓に恋人の姿が映っていた。
ロックオン・ストラトスはティエリアのすぐ後ろまで来ると細い腰を抱き寄せ、見るからに落ち込んでいる相手を労わるように、優しく抱いていてやる。
「あの・・・・・、ロックオン」
「ん?」
ロックオンはあくまでティエリアが自分で話そうとするまで待つつもりだ。ティエリアは謎が多い。それは彼女自身が知らないことも含めて、あまりに多かった。
「・・・・・・・」
だが、ティエリアは声を掛けたものの、また俯いてしまう。
その様子を見たロックオンは、ポンポンと頭を叩いて笑って見せてやる。
「おまえはおまえの思った事をやりゃあいい。がむしゃらに、な」
自分の気持ちを慮ってくれる彼の心遣いが、ティエリアには嬉しかった。
優しくて頼りがいのある恋人、彼の存在は自分だけでなくトレミー全員にとっても必要なものだ。
「まだ混乱していて・・・・・。あの、落ち着いたら話したい事があります。聞いてもらえますか?」
「ああ、いいぜ」
ティエリアがロックオンの腕の中で、彼の胸に背を凭せ掛け彼の温もりを感じていると、入り口の方でコホンと咳払いが聞こえた。
2人が窓ガラスに映った背後を見ると、ロックオンの双子の弟ライル・ディランディが嫌悪感丸出しの顔でたっている。
「ブリーフィングルームに集合だってさ」
カタロンとの協定でトレミーに乗るようになった彼は、自分の横の通路を親指で指しながらボヤいた。
「ったく、兄さんたちといい、アレルヤたちといい、人目に付くとこでイチャつくなよなぁ」
幸せな気分をぶち壊され、ティエリアはムスリと口を曲げる。
ロックオンはふくれっ面の恋人の手を引いて入り口へと向かい、ライルの横を通り過ぎ際に思いっきり彼の足を踏んでやった。
「痛ぇ!!」
ライルは思わず足の甲をブーツの上から抑えて顔をしかめた。その弟にロックオンは立てた人差し指を左右に3度振るとニヤリと笑う。
「独り者のヒガミは良くないぞ」
ロックオンは一言言い捨てると、ティエリアとブリーフィングルームへの通路をスタスタと歩き去って行った。
「くっそう~、俺も恋人ができたら皆に見せつけてやる~」
残念ながらライルの決意が実行されるのは、まだもう少し先の事である。
― ― ―
ブリーフィングルームでのミーティング中、王留美からの暗号通信が入った。アロウズ高官と出資者たちの集まるパーティーがあるのだという。
そのパーティーでの情報収集にティエリアが参加すると言い出した。常に無い思いつめた表情に、反対できる者はいなかった。ロックオンでさえも。
「・・・私の指示に従ってもらうわよ」
最終許可を出すスメラギ・李・ノリエガの顔に、ロックオンは何やら不穏なものを感じてしまう。
「俺も刹那と一緒にバックアップにまわる」
「ダメ!」
彼の申し出は即時に却下されてしまった。
「なんでだ?」
厳しい眼光も、スメラギには効かない。
「今回のミッションにあなたが同行すると、失敗する確率が高くなるからよ。おとなしく待機していてちょうだい」
「ロックオン、大丈夫です!ちゃんと任務を遂行します」
ティエリアが両手で握り拳を作って宣言するので、引き下がらざるを得ないロックオンだった。
― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
続きます。けっこう長くなるかも?です。
書いていて、これってスパコミ発行の『澄みわたる空 花々の咲く』の番外編かもと思ったり・・・・・。あ、もちろん本を読まなくてもOKな内容にしますよ~。
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