必見!世界のクリスマス


さあ!世界のクリスマスをのぞいてみよう! フィンランドアイルランドイタリア
Q.1 アイルランドでは、クリスマスを何と言うの?
A.1 アイルランドで、もともと使われていた言語は、アイルランド語。その言葉で、当時、クリスマスはノルグと呼ばれていました。
Q.2 サンタさんは、何と呼ばれているの?
A.2 大昔、トルコあたりに、いろいろな奇跡きせきを起こして、困った人や、子どもたちを救ったカソリックの聖人、聖ニコラスが、サンタさんの名前のもとになっています。聖ニコラスが、なまって、サンタクロースと呼ばれるようになりました。
Q.3 サンタさんは、どうやって登場するの?
A.3 赤い鼻をしたトナカイたちがひくソリに乗り、 すずをシャンシャン鳴らしながら、空のかなたからサンタさんはやってきます。そして 煙突えんとつをくぐりぬけて、暖炉だんろ降り立ちお た 、各家へプレゼントを配ってくれるのです。アイルランドの家々では、サンタさんのために煙突えんとつもしっかり掃除そうじしておきます。
Q.4 プレゼントはどんなふうに渡しわた てもらうの?
A.4 子どもたちが 靴下 くつしたをクリスマスツリーにかけて、ぐっすり眠っねむ ている間に、サンタさんは、こっそりとプレゼントを、靴下くつしたのなかへ入れておいてくれるんですよ。
アイルランドでは・・・
窓辺にロウソクを灯すのは、迷い人や貧しい人を温かく迎えてあげるため。美しいヒイラギの飾りは、妖精たちを迎えるため。
イブの夕方、まどべにろうそくの光が灯ると・・・
ヨーロッパの西にあるアイルランドでは、12月25日のクリスマスは、大人も子どもも、いちばん楽しみにしている特別な日です。前日の イヴは、うでによりをかけて七面鳥や、ケーキなどのごちそうを調理したり、ヒイラギの葉で家をきれいに飾りつけかざ   たりで、まだまだ大忙しおおいそが 。それらの準備じゅんびが終わると、最後の仕上げで、まどに明々とろうそくを灯し、ミルクとニンジンを置いておきます。

※クリスマスが近づくと、各家のドアにかけられるクリスマスの飾りかざ 

※ニンジンとミルクは、子供たちからサンタとトナカイさんへのプレゼント。

今から二千年前、イエス様をお腹 なかに宿していたマリアさまと夫のヨセフは、悪い王のために故郷こきょうを追われ、寒い冬に安全な隠れ家かく がを求めて、あちこちさまよっていました。
そのとき、イエスさま 誕生たんじょうのお告げを聞いた人々は、マリアさまの一行が暗闇くらやみ迷わまよ ないようにと、まどにろうそくをおいたのが始まりとされています。そしていまでは、明るく 輝くかがや ろうそくは、クリスマスを祝えない貧しいまず  人々や、暗い夜道で迷っまよ た旅人たちに、「さあ、ここに暖かいあたた  火とご馳走 ちそうがありますよ、いらっしゃい」という、アイルランド人の優しいやさ  心づかいとなって受け継がう つ れているのです。そしてミルクはサンタさんへ、またニンジンはそりをひいてきてくれたトナカイさんたちへのお礼なのです。
今でこそ、おいしいごちそうとプレゼントがたくさん準備じゅんび され、お祭りのように楽しいクリスマスですが、今から二千年前の12月25日、イエスさまという救世主がお生まれになったこの日は、キリスト教徒にとっては本当に特別な日。 恵まれめぐ  ない人や貧しいまず  人たちを助けることを大事にしなさいというキリスト教の教えは、ここから始まったといえるでしょう。
七面鳥にクリスマスケーキでクリスマス・ディナー

暖かくあたた  周囲を照らすキャンドルは、クリスマスに欠かせない大事なもの。

さてクリスマスの準備じゅんびが整うと、アイルランドではクリスマスイブの夕方に、家族で教会のミサへ出かけ、イエスさまの誕生たんじょうを祝い、マリアさまにお祈り いの をささげます。そしてクリスマスの朝、子どもたちはベッドから飛び起きると、クリスマスツリーへまっしぐら。待ちに待ったサンタさんからの贈りおく ものをあける瞬間しゅんかんなのですから!
夜、暖炉だんろにはどっさりと火がたかれ、暖かいあたた  部屋に家族や友人があつまって、笑顔で食卓しょくたくを囲みます。焼きあがった大きな七面鳥が切り分けられ、これにクランベリーソースをかけていただきます。クリスマスには、中にドライフルーツを詰めつ て焼いたパイ(ミンスパイ)やクリスマスケーキ(ドライフルーツ、くるみ、ナッツ、お酒を入れて焼きあげたぜいたくなケーキ)も欠かせません。
またテーブルの上には、赤い実をつけ緑色の葉をもつヒイラギがうつくしく飾っかざ てあります。これは寒い外から入ってきたアイルランドの妖精ようせいたちが、ヒイラギのえだ腰掛けこしか てゆっくり休めるようにという思いがこめられているのです。 「妖精ようせいの国」と呼ばよ れるアイルランドには、いろいろな妖精ようせいが住んでいます。小人のおじいさんで緑色のぼうしをかぶったレプラコーンをはじめ、優しいやさ  妖精ようせい、いたずらものの妖精ようせいなど、たくさんいますが、みんな人間に近い顔かたちをしているそうです。仲良くなると、すてきなプレゼントをくれたり、ほうきに乗せて、空の旅へお供 ともさせてくれたりするのです。
アイルランドのクリスマスには、かならずクリスマスクラッカーが登場します。これは大きなボンボン包みのように見えます。両端りょうたんから引っ張るひ ぱ と、少量の火薬がついたひもがこすれてパン!と音がし、中からは小物や、おもちゃなど、かわいいプレゼントが出てきます。何が入っているかは、引っ張っひ ぱ てからのお楽しみ。
こうしてアイルランドのクリスマスの夜は、楽しく、ゆっくりとふけていくのです。
文・写真:織田村恭子