目から鱗の本
ヤフーブログで現在ランキング4位の「新世紀のビッグブラザーへ」の管理人・三橋貴明氏の近著「民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由」は一人でも多くの人に読んでもらいたい本である。
マスコミは「日本は借金大国だ」「将来の子供にツケを残すな」と連日のように報道している。
TBSのみのもんたを初めとして、国の経済を家計簿に例えて・・・
「800万円借金がある家庭が、収入は40万円しかないのに毎年30万円も借金したら大変な事になる」
と脅かされると、私達は「節約しなくちゃ」「これ以上赤字国債を増やしたら国は財政破綻する」「緊縮財政だ」と思い込んでしまう。
しかし、著者は公共投資でGDPを増やすことこそ景気回復の早道だと主張する。
日経新聞(2009/12/22)
「公共事業費6兆円割れ 32年ぶり低水準 国債発行を抑制」
と報道されているように、赤字国債の発行が悪であるという誤解と「コンクリートから人へ」という民主党政権のミスリードで日本経済はますます悪化の一途をたどっている。
「公共投資が30年前の水準より名目値で下回っている国など、世界中を探しても日本以外には存在しない」(著者)
本書の帯にある次のリードが本書の目的を端的に語っている。
民主党の成長戦略は、三つの大きな欠陥を持っている。
一つ目は、成長戦略と謳いながら、数値目標も実現時期も、一切明示していないという問題である。
二つ目は、個人消費拡大手法の一つが「子ども手当」という、所得移転であるという部分だ。
そして、三つ目が、子ども手当の財源について「無駄を削ること」で調達すると主張している点である。
率直に言って、正気の沙汰ではないと思う。
この種の「節約」志向に基づく景気対策が、歴史上うまくいったためしはない。
本書では、民主党政権下における日本が危ない本当の理由を掘り下げ、徹底解説する。
日本は借金大国とは真っ赤な嘘で、日本は「国家として世界最大の金持ち」である。国民が国に金を貸しているのである。だから国民1人当たり何百万の借金があるというのは論理の矛盾である。
政府は負債を増やして景気対策を行うことでGDP(国民所得)を維持する必要があり、伸縮財政はGDPの削減になる。
日本の景気対策の過ちは政府支出の拡大と縮小を繰り返す「ストップ&ゴー政策」にあると著者はいう。
デフレの引き金を引いたのは1997年の橋本政権のストップ。
小渕政権がゴーで小泉政権がストップ、麻生政権がゴーで鳩山政権がストップである。
GDP=消費+投資+政府支出であるからして、政府支出を増やせばGDPは増える。
「しかし、なぜか国内のメディアは景気回復を実現した政府に対して『国の借金ばかりを増やして!』などと、意味不明な批判を繰り返す。最近などは政権を叩くことで景気悪化を煽り、挙句の果てに自らの売上げ(=企業の宣伝費)を落ち込ませている。ここまで愚かな業界を、著者は国内マスメディア以外には知らない」
著者が本書を書いたのは今年の10月だから、鳩山政権を少し叩き始めた現在のマスメディアのことではない。
10月の時点で著者は「本書出版の時期に至っても、民主党政権の政策や戦略は混迷を極めているだろう」と予測しているがまさに大当たりである。
筆者が高く評価している麻生政権のエコカー減税やエコポイントは鳩山政権は最初廃止するとしたが、少し延長した。民主党政権は自民党政権の経済対策を全て否定し、緊急景気対策費の3兆円も凍結してしまい、景気はますます悪くなった。そのうえ臨時予算も定まらず、来年の通常国会で可決しても金がマーケットに出回るのは来年3月以降になる。
日本経済が2番底、3番底を割る事態に陥ることを意地悪Ponkoは秘かに期待している。
民主党に一票を投じた国民は「一度やらせて見たら」とんでもないことになったと泣きべそを掻きながら来年の参院選は民主党には入れないだろうから。
「民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由」
(三橋貴明著 アスコム社 2009/12 \1,500+税)
【目次】
まえがき 民主党政権が知らなければならない日本経済の「本当の問題」
第1章 「借金大国」日本の正しい姿
金融機関や一般企業の膨大な負債は、なぜ注目されないのか
預金は、銀行にとっては資産ではない
企業が資金調達して投資するから成長できる
誰かの資産は、別の誰かにとって負債である
世界が日本だけだったら、国のバランスシートはどうなる?
みんなが「お金持ち」になれる国はあり得るのか
経済の専門家・メディアが理解していない"経済の原則"
珍説検証「家計の貯蓄率が低下したら国債を発行できなくなる」
家計の貯蓄率低下より、日本経済にとって深刻な問題とは
日銀に国債を買いとってもらえば政府は利払い負担から解放される
バブル崩壊で消えたお金の行方
金融資産の場合とは決定的に違う不動産や株式の暴落
これが正真正銘の「日本の国富」
日本の国が債務超過になる可能性
第2章 国はなぜ、借金を増やし続けるのか
借金対決! イタリアvs日本
日本もイタリアも政府は、なぜ負債を増やし続けるのか
政府支出を増やして名目GDPを改善させたイタリア
借金を返すと所得が減ってしまう!?
バブル崩壊後の日本を襲った「バランスシート不況」の実態
「日本は借金大国!」の主張が成長のボトルネックになっている
私たちの所得が減り続けた二つの理由
日本経済が陥った悪循環を断ち切るには
第3章 世界の借金国家と日本の「負債」の決定的な違い
「政府の負債」には三つの種類がある
アメリカを上回った日本の家計の金融資産
預金が増えたのは、政府からの贈り物り物!?
国債入札で、応札がゼロになってしまったラトビア
ラトビアに課されるIMFの厳しい緊縮財政
「日本は世界最悪の借金大国!」は単純にして大間違い
アメリカが陥った借金返済型不況の正体
バブルを生んだ「アメリカの家計=最後の買い手」
住宅用を上回る商業用不動産バブルの崩壊
米国債の発行増を支える日本と中国
フォール街復活の裏で、地方は見捨てられた
政府の負債といっても一様ではない
格付け機関も債務の違いをわかっていない
金融危機の対策は未だに道半ば
「借金はまかりならん!」この発想で国家経済を語ってはいけない
第4傘 民主党に贈る 日本経済復活の処方箋
GDP成長に貢猷したのは、どの政権か
武村正義蔵相の財政危機宣言から財政再建路線が始まった
綴り返されるストップゴー政策
日本の財政を「家計簿」に譬えるメディアの稚拙な論理
緊縮財政の小泉政権下で、なぜ経済成長できたのか
小渕政権を意識していた麻生首相
財務省の意に反する政権がマスコミに叩かれる理由
「成長と財政健全化の二兎を追う」政策がうまくいかない理由
金融緩和より「金融引締め」をしたがる日銀の傾向
政府負債を「希簿化」させたイタリアの方法
終章 民主党は日本をどこへ連れていくのか
民主党政権誕生で、日本は大きな岐路に立っている
「無駄を削る」から「目標数値達成」が至上命題になっていないか
「必要な分の国債は発行する」と宣言しさえすればよいのだ
このままでは民主党の成長戦略は、絵に描いた餅になる
「日本は財政危機」という「神話」から脱却せよ
あとがき
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by sonoraone
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