これが12月なら、2月はどうなってしまうのか?身構えるような雰囲気が、街に広がっています。飲み放題をやっているお店の人によると、「あれは良いよ。いまは浴びるほど酒を呑む人なんて少ないからね」。逆に困るのは、4時間ぐらいいても帰らない団体の客だとか。ファミレスの感覚で利用する人が増えているのでしょう。こうなるとモノを売るというより、時間を売ろうとする傾向が強まる。時間制で、飲み放題。

コーヒー業界では、再編が進んでいます。アートコーヒーの焙煎部門は三菱商事が買い取り、店舗網は牛丼の「すき家」を展開するゼンショーが取得。業界ではキリンが三菱系であることから、日本のドリンク業界がキリン&サントリーへとまとめられてゆく流れを予想する人もいます。商社は右から左にモノを動かすだけではなく、企業のある部門を丸ごと売買する投資銀行のような役割も担っています。

日本では、投資といえば銀行や証券で、商社が持っている金融の機能が過小にイメージされています。「モノはモノ、金融は金融」とタテ割りの話をしたがる人も多い。たとえて言うなら、"iPod"と"iTunes"とをわざわざ分けたうえで、「iPodが素晴らしいのだ」と絶賛するような奇妙さがあります。

日本の雇用が海外へと流失するのは、単に賃金に格差があるから…だけではなく、向こう側に投資を呼び込もうとする強い意思があるから。電力や道路のようなインフラがあり、税制など法律の整備や運用が伴っていなければ、企業だって海外への投資を決めることはできません。日本の消費者が安い製品を求める流れは、もはや止めようがない。であるなら、日本の側も投資を呼ばなければ、ただ衰退があるだけです。

年末になると日本の番組ではなく、中国語圏の放送が見たくなります。台北、香港、上海、北京が中継で結ばれて、各地の競うような活況が伝えられるからです。

日本では、名古屋という自動車産業の集積地があるにもかかわらず、現地からの報告は少なく、東京のスタジオに集まった人ばかりが延々としゃべっている。電子部品なら、日本電産や村田製作所などが集まる京都でしょうね。しかし、その分野を専門的に追っている人が現地からレポートするという映像は見たことがない。アメリカの放送なら、デトロイトからは自動車産業のプロが、西海岸からはIT部門に詳しい人が中継で伝えているので、日本の放送が奇妙に思えてしまいます。

日本の放送は強く偏向していると感じますが、その偏向は「右」とか「左」とか、「正しい」「正しくない」という偏向ではなくて、同調を強いるような内向きの偏向。東京のスタジオに集う人々ばかりが中心で、その中だけで「××ですよね」「そうですよね」などと内輪で同調し合っている。為替といえばドル円で、影響力があるドルのゆくえは、あまり話題にはならない。だから「円高だあ」と騒ぐばかりで、背景にある世界的な「ドル安」の流れが見えにくく、したがって、その反転もまた意識されにくいのだと思います。

BQuic市場には、アメリカの景気回復が第2幕に入った気配が漂い始めました。ダウの10,500までの上昇は、いわば大量に流れ出たドルが支えた流動性相場。買われたのは、資源のような市況関連の大型株でした。CNBCのベッキー・クウィックが、"Cheap Money Helps Economy"と、分かりやすい言い方で伝えてきた現象。しかしダウが抑えられるとともに、ナスダックが活況になり、とくにエネルギー消費の少ないネット関連がクリスマス商戦の影響もあって注目されています。気になるのは長期金利の上昇で、イールド・カーブはスティーブ化。これが不動産や株の立ち直りに影響するかも…という状況。

ワシントンD.C.が新たに発表した成長分野への投資策では、民間の投資を同時に呼び込もうとする狙いが明確です。日本では「投資を呼ぶ」という言葉さえも存在しないかのよう。マクロ経済学の神殿で床磨きをしても、生活は楽にはなりそうにありません。