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新「仁丹」は銀粒じゃなかった

口中清涼剤「JINTAN116」

 病気の予防という効能を、発売当初の「仁丹」が担っていたと知る人は少ないだろう。日露戦争中の1905年に初代が発売された「仁丹」は誕生から105年にもなろうという超ロングセラー。大礼服の帽子をかぶり、カイゼル髭をたくわえたマークはかつてあちこちの看板でおなじみだった。その発売元、森下仁丹が創業116年目に売り出す口中清涼剤「JINTAN116」は銀粒じゃない。20代以下にはその存在を知らない人が増えたという銀粒「仁丹」はどこへ行く――。

 もともと、当初の「仁丹」は単なる口中清涼剤ではなかった。同社サイトの「森下仁丹歴史博物館」の年表には、1905年の記述として「懐中薬『仁丹』(赤大粒)発売」と、はっきり書かれている。16年のマークにも「消化と毒けし」の文字が書き添えてある。当時、脅威となっていたコレラの予防という意味合いも濃かったようだ。

 創業者・森下博が1893年に興した薬種商「森下南陽堂」は1900年に梅毒新剤「毒滅」を発売して、最初のヒット商品としている。続く「仁丹」にも総合保健薬としての期待が掛けられていた。出征先の台湾で森下が見た、風邪や食当たりなどの様々な症状を和らげる丸薬がイメージモデルになったという。

 銀粒「仁丹」は表面を包む銀コーティングが目印。しかし、最初から銀だったわけではなく、発売当初は赤だった。丸薬を携帯・保存しやすくする上で表面コーティングは重要な意味を持つ。そして、このコーティング技術は今も別の形で同社のコアを成している。

 新商品の「JINTAN116」は直径3.5mmのオレンジ色のカプセルで包まれている。中身は7種類の生薬を配合した液体だ。銀粒「仁丹」と違って、カプセルで密閉されているので、飲む前は生薬のにおいがほとんどしない。ほんのりと甘く、後味がすっきりしている「コクにが」の味わいを持つ。価格は1袋300円(100粒入り)だ。

 一般的なブレスケア商品は、口臭を消して、芳香をキープするマスキング効果を重視したものが多い。しかし、「JINTAN116」は口臭を改善するのに加え、二日酔いや乗り物酔いといった気分がすぐれない状態を和らげる効果も打ち出している。チョウジ、カンゾウ、ウイキョウなどの生薬を配合しているのは、薬種商して始まった同社らしい。ストレスケアという意味合いもアピールして、「芳香だけ」の商品とは違いを出す。だから、分類も「医薬部外品」だ。

>>次のページでは、[新型インフルエンザとカプセル技術の関係]について語ります

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