日本原燃
2009年12月11日
 
小学館発行誌ビッグコミックスピリッツに掲載された「美味しんぼ」
における六ヶ所再処理工場に関する記載への当社見解について
 

 

 このたび、小学館が発行する雑誌ビッグコミックスピリッツの「美味しんぼ(第591話/食と環境問題)」の中で、六ヶ所再処理工場に関する内容が掲載されました。
 この掲載のためということで、今年3月にビッグコミックスピリッツ編集部から取材要請があり、原作者ほかの方が弊社施設を訪ねてこられた際、当社からは、詳細にご説明させていただいております。
  しかしながら、掲載された内容を確認したところ、当社がご説明した事業内容などについての記載が不十分なことから、一般読者の方々が施設の安全性などについて、誤解をされたり不安を抱かれたりする懸念がありますので、下記のとおり、改めて当社の基本的な考え方を申し上げます。

1.再処理の意義について
原子力発電所で使い終わった使用済燃料には、約97パーセントも再利用可能な有用資源が残っています。
また、原油価格の高騰や地球環境問題への関心の高まりなどを背景とした、世界的な原子力ルネッサンスともいうべき、今日の原子力推進の大きな流れの中で、今後、燃料となるウランの需給がタイトになり、その国際価格の高騰が予想されます。
それだけに、このウラン資源を今後いかに有効に使っていくかということが国内外での大きな課題となっており、使用済燃料から有用資源を回収することによってウラン資源の節約や有効利用に繋がる「再処理」の重要性はますます高まっています。
当社は、民主・自主・公開という三原則を踏まえた「原子力基本法」を遵守するとともに、国際機関でもあるIAEAによる査察にも積極的に協力しながら、原子力の平和利用を推進していくことが重要だと考えています。
   
2.再処理工場から放出される放射性物質による人への影響について
私たちは日常の生活をしながら、宇宙から、大地から、食べ物から、そして呼吸によって空気から、自然界にある放射線をごく自然に受けており、その影響は世界平均で年間約2.4ミリシーベルトとなっています。
六ヶ所再処理工場内で発生する気体廃棄物は、高性能のフィルタを用いたろ過等により放射性物質をできる限り除去します。また,液体廃棄物については、蒸発装置、ろ過装置等を用いて廃液中の放射性物質をできる限り除去します。どちらも、一部の除去できないものは、十分な希釈・拡散効果がある高い排気筒や海底の放出口から監視の上放出します。
こうしたことにより、六ヶ所再処理工場から放出される放射性物質によって工場周辺の人が受ける放射線の影響は、最大でも年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、国の安全審査でも確認されています。なお、これは法令に定められている公衆の線量限度である年間1ミリシーベルトを十分下回っています。
この線量は、私たちが自然界から受けている放射線の影響年間約2.4ミリシーベルト(世界平均)と比べると約1/100であり、たいへんわずかなものです。
放射能は、地球誕生以来存在しているものであって、私たち生物は、その様な環境の中で進化してきました。放射能は、その存在が危険なわけではなく、その放射能から出される放射線をどの位の量受けるかということを基本に考えなくてはなりません。
   
3.環境モニタリングの継続的な実施について
当社では、施設の周辺環境における放射線の影響を確認するため、施設が建設されるより以前の平成元年から、モニタリングステーション等による空間放射線量率の監視を連続的に行うとともに、牛乳や米などの農畜産物や水産物など、さまざまな試料を定期的に採取し、分析・測定を行ってきました。
その結果は、青森県の調査結果と合わせて、放射線の専門家や、農協や漁協など地元関係団体の方々で構成される「青森県原子力施設環境放射線等監視評価会議」(四半期ごとに開催)において審議・評価され、青森県発行の「モニタリングつうしんあおもり」にて公表されています。
このような環境モニタリングを今後とも継続してまいります。
   
4.当社の安全対策について
六ヶ所再処理工場では、「異常を未然に防止する」、「異常を拡大させない」、「工場外への影響を最小限にする」などの原子力施設では共通的な「多重防護の考え方」を取り入れた安全対策を講じるとともに、その対策については国の安全審査の中で確認されています。
また、施設の設計にあたっては、放射線防護の観点からの遮へい設計、地震時を想定した耐震設計などを施しています。
設備面においては、フェイルセイフ(故障や誤操作があった場合でも安全側に働く仕組み)や異常検知による自動停止システムなどを多用することに加えて、いかなる濃度のプルトニウムであっても臨界にならないようにする「臨界安全設計」などの対策も行なっています。
更に、万一の場合でも、放射性物質を異常に放出しないように、それぞれの機器を大小300におよぶ「セル」と呼ばれる厚さ約1〜2メートルの壁で囲まれた小部屋に設置し、建物の内側に行くにしたがって気圧を低くするなど、放射性物質を建物内部に閉じ込める設計としています。また、建物内の空気は、高性能のフィルタを用いたろ過等により放射性物質をできるだけ除去し、十分な希釈・拡散効果がある高い排気筒から放出し、周辺環境への影響を出来るだけ少なくするように対策を講じています。
   
 
※臨界: 核分裂しやすいウラン235などに、中性子がぶつかると2個の原子核と、2〜3個の中性子が放出されます。この中性子が次の原子核にぶつかる現象が連鎖的に継続する状態を「臨界」といいます。
   

以上

 

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