神奈川県は21日、不正な経理処理で業者側にプールしていた「預け金」が現時点で税務課に1億2千万円あったと発表した。このうち少なくとも約3500万円が着服された疑いがあるという。県は22日、同課に在籍経験のある男性職員3人について詐欺容疑で県警に告訴状を提出した。県の内部調査で発覚した。県が「預け」を認めたのは初めて。
会見した松沢成文知事らによると、不正経理は、事務用品の販売業者に物品を発注後、納品されていないのに支払い手続きをして業者に金銭を預ける手法。
刑事告訴する3人は43歳、49歳、58歳で、それぞれ同課に在籍していた2003〜06年度に、預け金から図書券などを納品させたうえ金券ショップで換金し、パチンコや飲食代に使ったとされる。私的流用は3人で少なくとも約1500万円あるという。ほかにも元同課職員が約2千万円を流用していた疑いがあるが、今年1月に死亡しており告訴は見送る。
県は昨年10月、全国で国庫補助事業の不正経理が発覚したことを受け、全庁調査を開始。03〜07年度に環境農政部と県土整備部で計2億4800万円分、目的外支出などの不適切な会計処理があったと今年4月に発表した。当時は業者への「預け」はないとしていたが、残る部署でも5月から調査を始めていた。