中世に作られたドアが小さいことなどから、この時代に生きていた人は現代人より背が低かったとされているが、およそ1,000年前に生きていた人の遺骨3,000体を調査したところ、この時代に生きていた人の身長は現代人とあまり変わらないという新たな事実が明らかになったことを、英国の大衆紙「デイリー・メール」が伝えた。
英国の歴史物保存団体「English Heritage」が200万ポンド(約4億4,000万円)をかけ、リンカンシャー北西部のバートン・アポン・ハンバーにある、中世に建てられたというセント・ピーターズ教会で、最も早期のものではカヌート王(1016−1035)の時代に埋葬されたという中世の遺骨3,000体の性別、年齢、体の大きさ、病気や負傷、摂食状況を調べたところ、過去1,000年に渡る成人男性の平均身長は170センチで、現代の成人男性の平均身長よりおよそ5センチほどしか低くないばかりか、女性の平均身長も、現代女性の平均身長よりわずか2.5センチ低い158センチとなり、人の身長は過去1,000年もの間、あまり変わっていないという事実が指摘されたという。
「English Heritage」では、中世の建物内の戸口や、騎士が身につけていた鎧などが小さいことから、中世の人間は現代よりも体が小さかったとされているものの、実際には、戸口が小さかったのは建物内の熱効果を高めるためと、鎧が小さいのはそれが裕福な家庭の子供向けに作られたもので、実際に戦場で破損することがなかったために現代まで保存ができたと分析。
ただ、現代と異なる点は、10歳の子供の身長は現代より18センチも低く、思春期は15歳を過ぎてからで、身体の成長はその後もしばらく続いたこととされる。
また、同調査では、当時の人々は腰痛や関節炎など、現代人と同じ健康上の問題に悩んでいたとされ、さらに中世は伝染病が蔓延していたとの通説とは裏腹に、これらの調査遺骨のうち、結核を患っていたのは2体、ポリオの痕跡が見られたのは4体にしか過ぎないことも分かった。
なお、この調査結果は、修復工事が終わった同教会における展示「Buried Lives」の中で、30日から一般公開される予定。
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