元日初売りに踏み切る井筒屋の本店。垂れ幕で大きく告知している=北九州市小倉北区 |
来年6月末に閉店する大和新潟店。大和は、富山店など3店に経営資源を集中させる=新潟市 |
地方百貨店が再生の道を探っている。新年の元日営業に踏み切る店や、カラオケ店を入居させる店も現れた。高齢化や人口減に加え、公共工事の削減による雇用悪化などで地域経済が落ち込むなか、知恵を絞る。だが、そこまで行き着けない店も多い。
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「新春初売りは新年1月1日元日午前10時」
赤字決算に苦しむ北九州市の老舗(しにせ)百貨店、井筒屋の本店正面玄関には、長さ二十数メートルの赤い垂れ幕がかかる。
有力テナントだった高級ブランドのシャネル直営店は夏に撤退した。正社員のボーナスは夏、冬ともにゼロ。これまでは2日が初売りだったが、元日営業は少しでも売り上げを伸ばしたいという思いの表れだ。
百貨店の常識からは「奇策」とも呼べそうなケースも出てきた。私的整理の一つ、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)による再建をめざしているさいか屋(川崎市)は8月、横須賀店南館にシダックスのレストランカラオケを入れた。「家族連れなどの集客増につなげる狙いがある」という。
大分県のトキハ別府店の6階子ども服売り場の約半分には8月、人材派遣会社のコールセンターが入った。建物の約半分にあたる4〜6階を貸し出して賃料収入を稼ぐ計画で、来春には別府商工会議所が一角に入ることになった。
希望退職も募ったトキハだが「地域の働く場の提供にもつながる」と説明する。
百貨店は厳しい経営が続く。日本百貨店協会が18日に発表した11月の全国売上高(閉店などの影響を除いた既存店ベース)は11.8%減と、1年9カ月連続の前年割れとなった。
地方は10.8%減。東京、大阪、名古屋など「10都市」は12.4%減で、昨秋の金融危機以降、地方は都市部より減少幅が小さい傾向が続くものの、地域経済の地盤沈下は進む。コスト削減だけでなく、売り上げ増に結びつく戦略は不可欠だが、それも見いだせない店は多い。