生活保護の受給者から、保護費を吸い上げる「貧困ビジネス」をめぐり、大阪市は16日、受給者への立ち入り調査結果を発表した。生野区内の同じ不動産管理業者と契約している329人に実施したところ、平均して月額12万円の保護費のうち家賃や食費などで10万円を差し引かれていた。市はこうした業者を契約時にチェックできるよう、国に制度改正を求める。
市は、同様の業者やNPO法人が市内に複数あり、アパート88カ所で約1250人が同じような生活状況にあるとみて調査中だ。
市によると、生野区の業者は市内31カ所のアパートで部屋を借り上げ、4畳半〜6畳の一間に受給者を住まわせている。家賃は、生活保護法が定める住宅扶助の上限額(大阪市の単身世帯の場合)で、一律月額4万2千円だった。同じアパート内でも、この業者と契約せずに家賃2万2千円という受給者もおり、最大約2倍の開きがあった。
業者は、弁当代月3万円も請求。テレビや冷蔵庫の「電化製品リース料」のほか、区役所での手続きを代行・同行する「福祉サービス補助利用料」などの名目でも計月2万〜3万円を徴収。弁当代などの契約をしていない人もいたが、手元に残るのは平均2万円ほどだった。
受給者は大半が50歳以上だった。弁護士らでつくる「関西囲い屋対策会議」によると、この業者は路上生活者らを勧誘。中には、銀行のキャッシュカードを管理して保護費全額を引き出し、家賃などを引いた残金を手渡されている人もいるという。
市の調査に対し、「コンクリートでなく布団で寝られて小遣いももらえる」などと話す一方、「おかしいと思うが報復が怖くて断れない」と話す受給者もいたという。