政府は8日の閣議で、障害者がかかわる制度を集中的に改革する「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)を内閣に置く方針を決定した。全閣僚で構成し、下部組織に障害者を入れることで、当事者の意見を制度設計に反映させる。障害者団体が施策立案に加わることを求めていた。
改革推進本部の下に設ける実務組織の障がい者制度改革推進会議(仮称)は、メンバーの半数以上は障害者団体の関係者を起用し、トップには障害者の当事者を充てる方向で調整している。同会議は、本部が決める障がい者制度改革推進計画の案に意見を述べるほか、制度改革に関する事項を調査、審議する。
年内に推進本部の初会合を開き、年明けから本格的な協議を進める。当面5年間を「改革の集中期間」と位置づけて取り組む。障害者施策を所管する福島瑞穂消費者担当相は8日の閣議後の記者会見で、「当事者の意見を大いに反映するようにと考えている」と説明した。
本部の設置方針は、民主党のマニフェスト(政権公約)にも明記されている。政権交代直後に、長妻昭厚生労働相が福祉サービス利用の際に原則1割の自己負担を課す障害者自立支援法の廃止方針も表明。同法に代わる「障がい者総合福祉法(仮称)」の制定や、障害者施策の基本理念を規定した障害者基本法の改正などが検討課題になる。
また、障害者の差別を禁止した国連の障害者権利条約の批准に向けた国内法整備も、優先課題の一つ。自公政権も批准を目指したが、障害者差別禁止法の制定を求める障害者団体などの理解を得られず断念した経緯がある。