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きょうの社説 2009年12月22日
◎県の無電柱化計画 「不急事業」との批判は誤り
無電柱化を柱にした県の街並み景観整備事業が、金沢市内のモデル地区で動き始めた。
電線・電柱の地中化事業は国の予算面で不確実な要素が出てきた上、中央などでは「不急の公共事業」だとして、政府の第2次補正予算に事業費が計上されたのを批判する論もあったが、地方の無電柱化事業をすべて不急事業と決めつけ、予算の無駄遣いのようにみなすのは誤りである。公共事業の意義や緊急度は本来、それぞれの地域が判断すべきものである。無電柱化事 業は、歴史都市に認定され、北陸新幹線の開業が2014年度末に迫る金沢市にとってはとりわけ迅速に進めたい重要事業である。 事業モデル地区の小立野―石引地区では「まちづくり協議会」が設置され、年度内に無 電柱化の手法などについて合意形成をめざすという。県事業とは別に金沢市も「軒下配線」など金沢方式による無電柱化事業のモデル地区を選定している。地域住民も事業が円滑に進むよう協力したい。 県の街並み景観整備モデル事業は、国の地域活力基盤創造交付金を活用して行われる。 同交付金は道路特定財源の一般財源化に伴って創設された。公共事業抑制の大きな流れとガソリン税などの暫定税率の見直しによって来年度の予算配分がどうなるか不透明さもあるが、県は無電柱化事業が地域の観光施策としても重要なことを政府に強く訴えてもらいたい。 無電柱化事業では、事業費の一部を賄ってきた「まちづくり交付金」が、行政刷新会議 の事業仕分けで「地方移管」と判定されたことも気掛かりである。財源がきちっと地方に移され、自治体が名実ともに事業主体になれるのであれば大いに歓迎したいところであるが、同交付金を無電柱化事業に充ててきた金沢市などにすれば、先が見えない不安やもどかしさもぬぐえないことだろう。 地方としては国の財源を当てにするばかりでなく、これからの地域づくりの主要事業と して主体的に取り組む意思を高めることも大事であり、新幹線開業に向け金沢市内を中心に事業のピッチを上げる努力をしてほしい。
◎鳩山首相が上申書 これで幕引きではない
鳩山由紀夫首相の偽装献金問題で、首相側が自らの政治資金規正法違反容疑を否定する
上申書を、東京地検特捜部に提出したことが分かった。地検は内容を検討した上で、首相については嫌疑不十分で不起訴とする方針というが、仮に、首相がこれで幕引きを図るつもりでいるのなら、あまりにも認識が甘いと言わねばならない。首相は上申書で、政治献金の処理などは経理担当だった元公設第1秘書に任せており、 自らが代表を務める資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書に虚偽の記載をしていたことは承知していなかったと説明しているという。先の臨時国会などでも繰り返されてきたこの「弁明」に、果たしてどれだけの国民が納得しているだろうか。 首相の元公設第1秘書は、昨年までの5年間に総額約3億5千万円もの虚偽記載をした とされ、近く規正法違反の罪で在宅起訴される見通しである。野党時代、自民党議員の「政治とカネ」の問題が明るみに出るたびに「秘書は議員の分身」という論理を振りかざして、「秘書がやった。自分は知らない」と主張する議員本人の責任を厳しく追及し、時には議員辞職をも迫ってきた首相が、今度はまったく逆の立場に立たされているのである。 今の首相を見ていると、あのころの発言をすっかり忘れてしまったとしか思えない。こ のまま時間を稼げば逃げ切れると考えているのであれば、「かつての自民党議員と同じ」とあきれられても仕方あるまい。説明責任をきちんと果たしてもらいたい。 首相の「政治とカネ」に関しては、ほかにも母親からの巨額の資金提供が問題視され、 株売却益7200万円の申告漏れも指摘された。その経理のずさんさ、庶民とはかけ離れた「金銭感覚」に、多くの国民は批判的な視線を注いでいる。 このままでは、首相に期待して政権交代を実現させた国民に、愛想を尽かされてしまう かもしれないのである。首相はもっと危機感をもってほしい。
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