猫害対策体験記
■まえがき
我が家は最近「猫害」に悩まされています。農地(畑)や自宅周辺を糞尿で汚されたり、耕して「種まき」をした畑を掘り返されたり、肥料として畑に埋め込んだ生ゴミを食い散らかされるのです。特に尿の「臭気」は強烈です。そこで思い立って、原因個体を捕獲・排除することにしました。このページはその作業の記録です。
猫は何故か「放し飼い」がほとんどです。そのため、犯人が飼い猫か、野良猫か区別することは困難ですが、悪さをする猫は、私にとってはどちらも「害獣」です。立場が違えば、当然別のご意見もあるでしょうが。
■捕獲用具
手作りで、次のような「捕獲箱」を作りました。箱の部分は、納屋の隅にあった木製のりんご箱(30×31×60cm)です。その他の材料(金網、釘、木切れなど)も、我が家にたまたまあった、ありあわせのものばかりです。箱の奥につるしたエサの容器が引っ張られると、その力(ちから)が紐で入口の落とし戸を止めたピンに伝わり、ピンが抜けて落とし戸が自然落下して閉まるようになっています。
20年ほど前に作った旧モデルは金網を使わず、代わりに板と板の間に幅1cmほどのスリット(間隔)を空けていました。金網の方が、内部の観察や撮影だけでなく、捕獲率も良いような気がします。
次の写真は上から見たところです。ヒモは観光土産の包装に使われていたビニール繊維の撚り紐です。ヒモは捕獲の度に「えさ入れ」に近い部分が傷みます。それで写真のように、余った部分を切り取らずに残しておいて、繰り返し使用しています。
次は落とし戸周辺の拡大写真です。太めのキリで穴を空けた木片を接着剤で木箱のフレームに固定します。落とし戸にも適切な位置にキリで穴を空け、木片と落とし戸の穴を貫通するようにピンを差し込んで落とし戸をセットします。
落とし戸は捕獲箱の床板より下まで落ちるように設計しています。せっかく捕獲した猫が床板と落とし戸の間に爪を入れ、落とし戸を持ち上げて逃げることを防ぐためです。捕獲後、運搬中に落とし戸が抜け落ちてしまわないように、落下溝の底には鉄板を打ち付けています。
ピンは針金ハンガーをペンチで切って作りました。えさ入れは金網の切れ端を折り曲げて作ったものです。捕獲猫の強い力で写真のように変形していますが、変形していて、エサが取り出し難い方がむしろ好都合です。システムの「感度」が高すぎると猫が半身を入れただけ(振動など)で落とし戸が落ちたりして逃げられます。一度難を逃れた猫を捕らえるのはたぶん困難です。それで「感度」はほどほどに鈍感になるよう配慮しています。
【追補:2009/4/23】 エサ入れは2009年4月に、金網から合成樹脂製のネット(タマネギを入れる茶色のネットなど)に変更しました。詳しくは「捕獲記録」の中の「捕獲第20号」の項を見て下さい。
■捕獲箱の設置
しばらく好天(雨の降らない日)が続くタイミングを選んで設置しています。猫が雨を嫌うからです。長期間置く場合は、軒下など雨のかからない場所を選びます。
エサは、魚を調理した時に出る「アラ」を冷凍保存しておいて適宜解凍して使っています。無いときはホームセンターで生タイプのキャットフード(魚の笹身など)の一番小さい袋(50〜60円)を買ってきます。ドライタイプのキャットフードは使ったことが無く、可否は分かりません。
猫は臭気に敏感で、腐った食べ物は口にしないといわれています。生の魚をエサにした場合は、1週間以内が限度のようです。季節によっては、自然に干物になって腐らないこともあります。煮干しやドライタイプのキャットフードは長持ちしそうですが、未だ使ったことがありません。
【追補:2008/05/04】 2007年11月以降はドライタイプのキャットフードに削り節をトッピングしたエサを使用しています。捕獲実績は順調です。
■捕獲後の処分
こちらでは、月に1度、指定の日に、市役所が飼えない猫を引き取ってくれます。そこへ持って行くのも一案ですが、ちょうど指定日に捕獲できるとは限りませんし、引き取られた猫の運命はたぶん過酷でしょう。殺処分とか動物園のハゲタカの餌ぐらいしか思い浮かびません。そこで、野生にかえって野ネズミ退治に精を出してくれることを期待して、当面は人里離れた山奥でリリースすることにしました。猫にどれほどの帰巣本能があるのか知りませんが、とりあえずは、我が家の畑から地図上の直線距離で約18km離れたある地点をリリースポイントに決めました。
隣町にある製薬会社の研究所は、生きたネズミを1匹1000円で買ってくれるらしいと聞きました。ひょっとしたら猫も引き取ってくれるかもしれません。当たってみる値打ちがありそうです。私が学んだ大学では、薬学部が猫を1匹200円で買い上げていました。モルモットの代わりに動物実験に使っていたのです。まかない(朝夕2食)付きの下宿代が月1万円程度だった時代です。それで、大学の近辺に猫の姿は無いと言われたものです。
夢物語ですが、いつの日かカネとヒマができたら、モーターボートを買って捕獲猫をどこかの無人島まで運び、その島を猫の楽園にするのもいいかなあ、などと考えています。海に潜って魚を獲る猫が現れるかもしれません。
■捕獲記録
捕獲第1号
捕獲箱が完成したのが2003年の3月2日。我が家の生ゴミ入れを見ると生鰯の背骨があったので、それをエサにして、その日の夕方、被害の多い畑に設置。翌3月3日朝、見に行くと、早速かかっていた。記念撮影後、予定の地点まで運んでリリース。
捕獲第2号
2003年3月3日、捕獲第1号をリリースして空になった捕獲箱を、エサの交換もせずに自宅玄関脇に設置。午後11時過ぎに「ガタン」という音がしたので出てみると、第2号が入っていた。翌朝記念撮影して、設定地点の山中でリリース。
捕獲第3号
2003年の7月下旬ごろから、畑でネコの排泄物が目立つようになり、茶白系の子猫が2〜3度目撃された。冷凍イワシの頭2個を餌に8月8日、捕獲箱をセット。8月11日に捕獲確認。11日夕方記念撮影して、いつもの山中でリリース。なお8日夜〜9日は台風接近で荒れた天候だった。
狙った子猫とはまったく違う成獣で、色や模様は「捕獲第1号」によく似ている。捕獲場所も「第1号」と同じ。ひょっとしたら、5ヶ月前に「追放」した「第1号」が昔の縄張りへが帰ってきたのかもしれない。それとも「第1号」の兄弟個体か?。捕獲後に餌を平らげたのはこの猫が初めて。
インターネットで「痴々庵」さんの「ねこさまQ&A」を見たら、猫の帰巣本能について、次のような記述があった。「第1号」が舞い戻ってきた可能性は充分ありそう。
『 旅行などで猫と一緒に遠くへ出かけ、うっかり猫と離ればなれになってしまった。ところが何日かしたら無事に我が家に帰ってきた、という話をときどき耳にします。猫のこの驚くべき帰巣本能は、動物の生理的な時間感覚である体内時間に関係するといわれています。すなわち、同じ場所で生活している動物の体には、体内時計と呼ばれる時間感覚が生まれます。離れた場所ではぐれても、はぐれた場所の太陽の位置と体内時計で記憶している太陽の位置(つまりいつも生活している場所の太陽の位置)とのズレをなくすように移動すれば、自分の家の方向へ進むことができるのです。』
捕獲第4号
2005年10月初旬ごろから、水田のあぜ道に猫の糞が多いので、10月30日夕刻、水田に隣接した畑の農具小屋に捕獲箱をセット。エサは生タイプのキャットフード。翌31日の午後1時半ごろ捕獲を確認(朝7時にはかかっていなかった)。すぐ横に置いていた生ゴミの袋が荒らされていた。堆肥に混ぜるために置いていたのだが、撒き餌になった感じ。同日午後3時、いつもの地点まで運んでリリース。
かなり大型で毛色や模様は「第2号」によく似ているが、「第2号」は自宅で捕獲したもの。自宅と水田(今回の捕獲場所)は直線距離で約1km離れているので、「第2号」とは別の個体と推測。
捕獲第5号
2006年1月22日、自宅庭の芝生に動物のフンあり。翌23日、白茶の猫が庭を横切るところを目撃。24日、カーポート脇に捕獲箱をセット。エサは昨年10月と同じ生タイプのキャットフード(マグロの白身)。25日は気配なし。26日朝、捕獲を確認。同日午前中に所定の地点まで運んでリリース。
これまでで最も大型で太っている。走る様子などから「身重」と推測。毛色が第2号や第4号と似ているが、鼻の周囲にある茶毛から、別個体と判断。鼻先や目尻に血がにじんでいるのは、逃れようと檻の中で暴れたため。抜け毛も多い。エサは全部平らげていた。
捕獲第6号
2006年1月27日、庭先で第5号の抜け毛が多数付着した捕獲箱を水道水で洗浄していたら、白茶系の猫がまた通りかかった。捕獲箱が乾くのを待って、28日夕方にカーポートの北側にセット。エサは第4〜5号と同じ生タイプのキャットフード(マグロの白身ベース)。29日朝には変化無し。同日午後4時ごろ捕獲を確認。直ちに記念撮影していつもの場所でリリース。
27日に見た白茶系ではなく灰黒系で比較的小型。第1号や第3号のような縞模様が無いので、たぶん別の個体。エサは残っていなかった。あのキャットフードが良いのか? 写真は夕方のためストロボ撮影(金網が目障り)。
捕獲第7号
2005年秋頃から、畑や隣接する水田のあぜに猫の糞が目立ち、白っぽい大きな個体を何度も目撃していた。半月ほど前、畑の中に捕獲箱をセットしたが成果無し。昨日夕方、エサ(マグロの白身ベースのキャットフード)を新しくし、場所を畑と水田の境界に置いている生ゴミ熟成容器の近くに変えた。今朝(2006年2月18日)8時半ごろ捕獲を確認。直ちに記念撮影して所定の山中まで運んでリリース。
かなり大型で目撃個体の可能性大。ただし、捕獲場所の近くで似かよった猫を同時に2匹見たことがある。えさは半分残っていた。リリースすると、これまでの個体は例外なく一目散に茂みへ逃げ込んだが、この猫は林道を20〜30m走ってから茂みの手前でいったん止まり、振り返ってこちらの様子をうかがって追っ手が来ないことを確認してから、悠然と林へ消えた。
捕獲第8号
夜になると、自宅裏手方向から猫の声が聞こえる。また新手がやってきたかと、冷凍保存していた鯖の「あら」をえさに2006年3月3日午後、カーポート脇に捕獲箱をセット。その約2時間後に捕獲箱の2mほど横を悠々と通り過ぎて排水溝に消える大型の黒猫を目撃。
翌日は変化無し。翌々日(3月5日)の朝、捕獲を確認。全身漆黒で眼は金色。かなり大型で3日に見た個体に間違いないと直感。真っ黒の被写体のうえ、せわしなく動き回るので、下のような見苦しい画像しか撮れなかった。
どう猛な感じで、突破口はないかと金網と板の継ぎ目を中心に盛んに攻撃を仕掛ける。そのうちにエサ容器に付いている青い紐を引っ張り、噛み切った。「このヒモのせいで捕まった」と悔しがっているように見えた。エサは全部容器から出ていたが、食べずに床に残っている。
山中でリリースしたときは、近くの茂みへ逃げ込まずに、林道を、視界から消えるまで、走って逃げた。
捕獲第9号
2006年4月3日、自宅西側の軒下に猫の排尿痕(強烈なアンモニア臭)発見。その日の夕方、冷凍保存していた鯖の「あら」をエサに近くに捕獲箱をセット。3日間反応無し。4月6日夕方、を自宅東側へ移設。翌朝(4月7日)捕獲を確認。
全身黒で金色の目玉。かなりの大型。第8号と同一個体か否かははっきりしないが、第8号と比べて少し茶毛が混じっており、耳の周辺も少し白っぽいところから、どちらかというと別個体のような気がする。えさは骨まできれいに平らげていた。第8号同様、きれいな写真が撮れない。
リリースしたときの足取りは、俊敏ではなく、「ドタドタ」という感じ。老猫か?
捕獲第10号
2006年7月5日に水田あぜ(作業通路)の草刈りをしたら、その日から連続して3日間、あぜに猫の糞が見つかった。それで7月8日の午後6時ごろに捕獲箱をセット。梅雨時で俄雨が予想されるので、あぜ道の脇の農具小屋に置き、小屋の入り口を開けておいた。エサは冷凍保存していた鯖の「あら」(前回の残り)。翌朝(9日)の7時半に捕獲を確認。
また黒猫。8〜9号とは明らかに別の個体。捕獲場所も8〜9号(自宅)とは異なる。小型でほっそりしており顔も小さい。比較的おとなしく、子猫か食料不足のような印象。エサは骨もすべて平らげていた。
9日午前10時ごろ、所定の山中でリリース。林道脇のU字溝(側溝)に飛び込み、その中を走って逃げた。
捕獲第11号
2007年1月中旬、夜間に猫の鳴き声を時々聞く。自宅西側の軒下に猫のものらしい糞を発見。同月下旬、自宅前の側溝に逃げ込む茶毛の混じった大型の黒猫を目撃。同月30日、自宅西側の軒下に捕獲箱をセット。エサは以前から冷凍保存しているサバの「あら」。今回はエサに加えて、ネット通販で入手したマタタビの小枝を小さく切って捕獲箱奥の床面に置く。11日間反応無し。2月11日夕方、自宅東側へ移設。翌朝(2月12日)捕獲を確認。
一見黒猫だが茶と白がかなり混じっている。大型でよく肥えており、どう猛。これまでで最も大型かもしれない。おそらく1月下旬に目撃した個体。右目尻に毛皮が剥がれた新しい傷がある。捕獲箱の中で暴れて、箱の中の釘で傷ついた可能性が高い。残虐画像を展示することは本意ではないので、公開画像では傷の部分にモザイクを入れる。
12日午前10時ごろ、いつもの山中でリリース。一目散に20〜30m走ってから振り返り、その後、杉とヒノキが植林された急斜面をゆっくり登って視界から消えた。
エサはほとんど食べておらず、エサ入れの紐も痛んでいないので、エサよりもマタタビに誘われて捕獲箱に入った可能性が考えられる。しかしマタタビは今回、床面に置いただけ(エサ入れには入れていない)だったので、マタタビに触れても捕獲箱の落とし戸は閉まらなかったはず。したがってマタタビの効果は不明。
捕獲第12号
2007年5月1日夜8時ごろ、自宅東側から呼びかけるような、威嚇するような猫の鳴き声が聞こえる。また来たかと翌朝カーポート脇に捕獲箱をセット。エサは以前から冷凍保存していたサバの頭(これで使い切り)。エサに加えて、今回もマタタビの小枝を小さく切って捕獲箱奥の床面に置く。その日は反応無し。5月3日朝、自宅南側の芝生(モミジの木陰)に移設。同日午後6時に捕獲を確認。
灰色と茶が混じった大型でよく肥えている。何となく風格があり、老猫の印象。落ち着いているが捕獲箱を持ち上げようとすると激しい鼻息で威嚇する。
捕獲確認後ただちにデジカメ撮影して、1時間後にいつもの山中でリリース。捕獲箱の落とし戸を開けてもなかなか箱から外へ出ない。出口の反対側を叩いて追い出した後は、一目散に50mほど走ってから振り返り、林道の真ん中でしばらくこちらを見ている。その後、思い直したようにゆっくりと林の中に姿を消した。森林に戸惑っているような印象。
捕獲第13号
2007年5月3日、12号をリリースして空になった捕獲箱を自宅西側の軒下に置いた。この場所は猫の糞がこれまで数回確認されているが、今回は時間の都合もあって、エサを交換せず、動物臭を消すための洗浄もしなかった。雨を避けて捕獲箱を保管するついでに、「どうせなら」と思って落とし戸を上げておいたのだ。捕獲はほとんど期待していなかった。
実際40日以上、何の変化も無かった。ところが6月15日夜、捕獲箱のあたりから猫の鳴き声やガリガリと金網を掻くような音が聞こえた。それで捕獲を知った。
翌16日朝8時、記念撮影後いつもの山中へ運んでリリース。白黒のかなり大型だが子猫のような甘えた声で鳴く。比較的おとなしい感じ。それでも何とか逃れようと檻と格闘したらしく、鼻の周囲に擦り傷が出来ている。リリースすると、林道を走らず、間近の茂みに飛び込んだ。
捕獲第14号
13号をリリースして空になった捕獲箱を、水道水で洗浄してから、自宅西側の軒下(13号を捕獲した同じ場所)に、落とし戸を上げた(セットした)状態で保管。エサは保存性を考慮して「削り節」。2007年9月29日明け方、鳴き声で捕獲を知る。
体長はそこそこだが、顔が小さく、全体にほっそりしており、甘えたような鳴き方をする。子猫のようだ。おとなしくて軽量。エサの削り節はまったく残っていなかった。えさ入れと落とし戸をつないでいたビニール紐が激しく傷んで切れていることから、エサを食べるためにかなり苦労したものと推測。ひもじかったのだろう。
その日(9月29日)の朝、記念撮影後、いつもの山中へ運びリリース。林道を50bほど走ってから、路側の茂みに消えた。
捕獲第15号
2007年11月21日午後2時、畑の農具小屋で捕獲を確認。同日の朝8時には入っていなかった。記念撮影後、午後4時ごろにいつもの山中へ運んでリリース。
今年10月2日、ホウレンソウを播いた畝で猫の糞を発見。その日のうちに捕獲器を近く(屋外)に設置したが1カ月経ってもかからなかった(えさは削り節)。その間に糞はタマネギ植え付け場所やあぜの上などで4回確認。
11月6日、生ゴミを入れていた空袋が農具小屋に散乱していたので、捕獲箱を同小屋内に移設。同時にえさをドライタイプのキャットフードに変更したが2週間は手応え無し。その間に、生ゴミを埋めた柿の木の周囲を掘り返した形跡あり。移設後15日目(11月21日)に捕獲。
小型で軽量。たぶん栄養状態が良くないのだろう。捕獲箱のえさをすべて平らげていた。外見は第3号に似ていて、茶毛が第3号よりやや多そう。記念撮影中にエサ入れと落とし戸を結んだ紐を悔しそうに引きちぎろうとしていた。以前の第8号も同様の挙動をしていた。紐のせいで捕まったということを理解しているのかも知れない。
捕獲第16号
第15号捕獲後も、柿の木周辺に埋めた生ゴミがたびたび掘り返されていた。目撃はしていないが、猫以外の動物が来ている可能性もあると考えつつ、2008年3月2日捕獲箱を設置。えさはドライタイプのキャットフードに削り節をトッピング。
急に春めいて暖かくなった3月11日の朝8時に捕獲を確認。前日17時には入っていなかった。白一色の猫で抜け毛が多い。えさは削り節の一片まできれいに平らげている。中型で比較的おとなしい。
ただちに記念撮影して、同日9時半ごろ、いつもの山中でリリース。林道を少し走って立ち止まり、意を決したように路側の急な崖を駆け上がった。
捕獲第17号
2008年5月2日午前9時、畑の農具小屋で捕獲を確認。前日の午後5時には入っていなかった。記念撮影後、2日午前10時ごろにいつもの山中へ運んでリリース。
今年3月下旬ごろより、畑の農具小屋内にスポンジクッションの切れ端が散乱するなど、何か動物が立ち寄った気配が度々あった。生ゴミを埋めた柿の木周囲を掘り返すことも続いていたので、4月初め同小屋内に捕獲箱を設置。えさは16号の時と同じドライタイプのキャットフードと削り節のトッピング。
約1ヶ月間は音沙汰なし。5月1日に畦草を刈った干し草の上に新しい糞を発見。「明日は来るかもしれない」と思っていたら、案の定かかっていた。
捕獲箱のえさはすべて平らげていた。エサ入れと落とし戸を結んだ紐は、見事に切られていた。「撚り」がバラけた様子はなく、刃物で切ったかのように、スパッと切れていた。
捕獲箱ごと持ち上げると、見かけ(中型)より軽い。外見は第15号とよく似ている。捕獲場所も15号と同じ。えさを平らげたり、紐を切るなどの行動も同じ。15号が帰巣本能で帰ってきた可能性が考えられる。しかし、半年前に捕まった捕獲箱に、同じ猫が再び入るものかどうか、半信半疑。柿の木の周囲の生ゴミ漁りは数ヶ月前から続いていた。これを舞い戻った15号の仕業と考えると、捕獲箱には用心して数ヶ月間手を出さなかったということになる。
過去の記録を見直すと、17号は15号だけでなく、1号や3号とも互いによく似ており、捕獲場所も同じ。ひょっとするとこれら4匹は、実は、帰巣本能に優れた同一個体だったのかも知れない。
捕獲第18号
2009年2月3日午前9時ごろ捕獲を確認、場所は畑の北西隅(堆肥熟成場所付近)。記念撮影後ただちにいつもの山中へ運んでリリース。
昨年秋ごろから、畑の畦道に猫のものと思われる糞がたびたび認められた。農具小屋では体毛も残っていた。昨年12月〜今年1月にかけて、畑の北西隅や農具小屋に、削り節をエサにして捕獲箱を仕掛けたが成果なし。捕獲箱の脇で茶系の個体を目撃したこともあった。
エサをドライタイプのキャットフード(商品名「銀のスプーン」)に切り替え、2月2日16時ごろ畑の北西隅にセットしたところ、翌朝さっそくかかった。今回は、えさ入れだけでなく、捕獲箱の床面や捕獲箱の入口付近にも「撒き餌」をしていた。捕獲発見時には、それらをすべて平らげていた。
見たところかなりの老猫で風格あり。以前に捕獲箱の脇で目撃したのとたぶん同じ個体。ひょっとすると3年半前に同じ畑で捕まえた第4号の老いた姿かもしれないと感じたが、確証は無い。捕獲箱内ではもの静かだが、人が近寄ると激しい鼻息で威嚇してきた。宿敵を仕留めた気分。
捕獲第19号
第18号を捕獲、リリース後、捕獲箱を水道水で洗浄して日なたで乾かしてから、翌日(2月4日)に自宅西側の軒下にセット。エサはドライタイプのキャットフード(商品名「銀のスプーン」)。前回の実績に鑑み、捕獲箱の床面や捕獲箱の入口付近に「撒き餌」も実施。
翌朝確認すると、「撒き餌」はきれいに無くなっているが、「えさ入れ」には触れられた様子が無かった。「えさ入れ」の危険性を知っている相手と推測。
そのまま放置しておいたところ、2月14日朝に捕獲(前日の夕方にはかかっていなかった)。この日は前夜からの雨があがり、朝から季節外れ(異常)に温暖。この気候が捕獲と関連しているかもしれない。
かなり大型。白黒の模様が約2年前に捕獲した第13号とよく似ており、捕獲場所や性質(比較的おとなしい)なども第13号と同じ。第13号が成長して舞い戻ってきた可能性が高い。それなら「えさ入れ」の危険性を知っていても「当然」。えさは食べ残していた。
2月14日午前9時、記念撮影してただちにいつもの山中へ運んでリリース。近くの沢にかかる小橋を渡って向こう岸の茂みに消えた。また帰ってくるかもしれないが…。
捕獲第20号
畑に埋めた生ゴミがまたぞろ掘り返されるので、2009年2月下旬からドライタイプのキャットフード(商品名「銀のスプーン」)をエサに、畑の農具小屋内に捕獲箱をセット。
捕獲箱の床に撒いた「撒き餌」が無くなったり、付近に体毛が残っているなど、何か動物が来た形跡はあるが、1カ月経っても「エサ入れ」はそのまま。「えさ入れ」の危険性を熟知している相手と推測。
イノシシは鉄の匂いで罠を察知するそうな。それならばと同年4月19日夕方、「エサ入れ」を金網から合成樹脂製のネット(タマネギなどを入れる茶色のネット)に変更し、同じ場所に同じえさで再セット。
翌20日朝、さっそく捕獲を確認。かなり大型。1年前に同じ場所で捕獲した第17号に似ている。17号と同様にエサはすべて平らげているが、ヒモは切っていない。両目尻から伸びる黒っぽい線模様が17号よりクッキリしている。捕獲箱内では暴れたり威嚇するような動きはなく、もの静か。(決定的な証拠はないが)金網製のエサ入れに手を出さなかったことからも17号が帰巣本能で帰ってきた可能性が「ある」と考える。
いつもの場所でリリースすると、林道傍のコンクリート擁壁(高さ3〜4b)に飛びつき、勢いよく登ったが、その上に張られた金網を越えられず、擁壁上をウロウロ。
捕獲第21号
20号をリリースした翌日(2009/04/21)に捕獲箱を自宅西側の軒下にセット。エサはドライタイプのキャットフード(商品名「銀のスプーン」)、エサ入れはタマネギ用の合成樹脂ネット(茶色)。
翌22日朝、捕獲箱前の撒き餌が無くなっていることを確認(箱の内部は残っている)。同日、自宅東側(捕獲箱からは十数b)にネズミの頭部と思われる不審物あり。捕獲箱との関連性は不明。
22日午後8時、捕獲を確認(午後5時に見たときは入っていなかった)。白っぽい中型でエサは完食。翌朝リリースするまで捕獲箱内に放置したが、その間、鳴き声も物音もまったく聞こえず、静か。
23日午前10時、いつもの場所まで運んでリリース。林道を約50b走って(下って)から振り返り、左手の茂みに飛び込んだ。
捕獲第22号
2009年10月31日午前10時、畑の農具小屋前で捕獲を確認。前日の午後5時には入っていなかった。直ちに記念撮影し午前11時ごろにいつもの山中でリリース。捕獲箱の落とし戸を開けると躊躇無く飛び出し、林道沿いの沢にかかる小さな橋を渡って林に消えた。立ち止まったり、振り返ったりする動作無し。
先週、稲刈りの終わった水田で後片づけをしていると、30〜40b先の農具小屋の前を白茶系の猫が1匹悠々と歩いていく。水田のあぜに糞をする犯人に違いないと、10月26日夕方、その農具小屋の前に捕獲箱をセット。エサ入れは生ゴミの水切り用の合成樹脂ネット(空色)、エサはドライタイプのキャットフード(商品名「銀のスプーン」)。5日後に捕獲。毛色が設置前に目撃した1匹とは異なっており、明らかに別個体。エサ入れのネットは何故か必要以上に細かくバラバラになっていた。まるで「こいつに騙された」と悔しがって引きちぎられたかのように。
捕獲第17号と類似点が多い。捕獲場所や面相、毛色だけでなく、尻尾の(アライグマのような)横縞模様、見かけの割に軽量なこと、エサを残さず平らげ、エサ入れのひもを切る挙動など、非常によく似ている。決定的証拠はないが、17号が帰巣本能で帰ってきた可能性が大きい。しかし半年前に捕まったのと同じ場所で、同じ捕獲箱に入るだろうか?。あるいは、捕まっても命に別状が無いことを学習してしまったのかもしれない。