発達障害者支援法に基づき各都道府県と政令指定都市に設置された「発達障害者支援センター」が2008年度に相談を受けたり、支援したりした人が計4万5千人を超え、前年度より2割近く増えたことが厚生労働省の調査でわかった。
センターがある61の自治体(昨年6月開所の浜松市を除く)のうち、4分の3近くの45自治体で増えた。総数は4万5135人で07年度の3万8023人より18.7%増。発達障害の子どもを持つ親からは「育て方がわからない」、成人の当事者からは「周りとなじめない」といった相談が目立つ。
センター担当者の多くは「発達障害への理解や関心が高まったことの表れ」という。「医療や福祉、教育の各機関でセンターの認知度が高まり、件数が増えている」という見方もある。
自治体別で多いのは、大阪市3392人(対前年度比20.4%増)▽東京1577人(66.5%増)▽神奈川1214人(31.5%増)。
相談・支援人数が千人を超えた11自治体で常勤職員1人あたりの対応人数をみると、東京394人、栃木363人、神奈川304人と、平均の180人を大きく上回った。
東京都のセンターは、昨年度の一時期、新規受け付けに2〜3カ月の予約待ちが生じた。都内の区や市に相談を断られてきた人もいる。「どこも忙しくて混乱している」と担当者。
厚労省精神・障害保健課は、職員の負担が総じて高まっていると指摘。来年度以降、発達障害の検査が比較的容易にできるチェックシートを考案するなどして、市町村が初期段階の相談や支援を担えるようにする方針だ。
(太田康夫)