きょうの社説 2009年12月20日

◎新潟が協議要請 「一歩前進」と思いたいが
 北陸新幹線長野−金沢の建築認可などをめぐって国土交通省と対立している泉田裕彦新 潟県知事が、国交省に協議機関の設置を要請した。泉田知事側から事態の打開へ動きだしたのだから「一歩前進」と思いたいところだが、建設費の地元負担金の支払い拒否などを続けながら話し合うつもりでいるのであれば、素直に喜ぶわけにはいかない。

 泉田知事は、協議機関を設けた上で1年以内の問題解決を目指すことを提案している。 仮に協議が長引き、さらに1年分も地元負担金が滞れば、金沢開業が遅れる可能性はますます高まる。残っている時間はあと5年余しかなく、走行試験なども考慮すれば、実際の工事はそれより早く終える必要がある。立ち止まって話し合う余裕がないのは明らかである。

 泉田知事には、国交省と「走りながら話し合う」ことをあらためて求めたい。過日、三 日月大造国交政務官との懇談後に記者団の取材に応じた同知事は、金沢開業を遅らせる考えはないと強調したというが、それが本音なら、そろそろ工事を進めながら主張すべき点は主張するという現実路線に転じる時ではないか。国交省も引き続き「歩み寄り」を働き掛けてもらいたい。

 国交省は、泉田知事の指摘を受け、既に北陸新幹線の建設主体である鉄道・運輸機構に ▽工事の落札率や応札者数などを関係自治体に報告する▽コスト縮減に取り組む―ことなどを指示した。同知事が「反乱」を起こすきっかけとなった地元負担金の増額分についても、機構が内訳などの説明を重ねているという。建築認可は、「タイムリミット」の関係もあって見切り発車に踏み切らざるを得なかったものの、国交省などは、同知事の要求をそれなりに受け入れているように見える。

 にもかかわらず、泉田知事は振り上げたこぶしを下ろす気配をまったく見せておらず、 北陸新幹線沿線の他の3県では、不信感が強まる一方である。3県は今後も結束して、同知事に対し、「金沢開業は遅らせない」という意思を言葉だけでなく態度でも示すよう求め続ける必要があろう。

◎能登空港100万人 スクラムを組み直す時
 能登空港の羽田便搭乗者が100万人の大台を達成したのを機に、各市町は一層の需要 喚起へ向けてスクラムを組み直す必要がある。今年は宝達志水町以北の4市5町による「能登半島観光圏」が国の認定を受け、自治体の枠を超えた誘客促進策が新たに始まる。能登が一つの自治体のようにまとまり、豊富な観光資源を外へ発信する好機である。

 能登空港の利用促進に関しては市町で温度差がみられ、自治体連携や一体感という点で は十分とは言い難い面もある。食や自然景観、民俗行事など豊富な資源がありながら、行政の枠組みにとらわれていては能登全体の発信力も高まっていかないだろう。

 軌道に乗った能登丼にしても、奥能登4市町が一体で取り組んだからこそ多彩なメニュ ーが話題を呼んだ。これは能登空港での会議から生まれたアイデアであり、空港は単なる交通手段にとどまらず、地域活性化の知恵を生み出す大きな役割も果たしてきた。200万、300万人と大台を目指すなかで、地域挙げてのヒット作を継続的に打ち出していきたい。

 能登空港は2003年7月に開港し、羽田便は6年5カ月余りで100万人となった。 全国に先駆けて導入された搭乗率保証制度は7年目も継続されている。県は搭乗率アップを目指し、落ち込みが目立つ地元利用を促すことに懸命だが、空の便を通じて能登を活性化させるという空港本来の目的を考えれば、地元利用の落ち込みを補うくらいに首都圏からの誘客に力を入れる必要がある。

 能登半島観光圏の認定期間は2014年3月までで、誘客事業で国の財政支援が受けら れる。計画では総入り込み客数、宿泊者数ともに2割増を目指しているが、課題として観光パンフや観光資源の情報が市町別、多種類の構成になっており、統一感のなさも指摘されている。能登全体としての観光戦略の再構築は不可欠である。

 観光圏形成に取り組む今後5年間は、羽田便の搭乗率アップとともに、2014年度の 北陸新幹線開業の効果を能登に波及させるうえでも極めて重要な時期となる。