プロボクシングの日本スーパーフライ級タイトルマッチ10回戦が18日、広島市中区の広島グリーンアリーナであり、王者の中広大悟(広島三栄)は挑戦者で同級2位の赤穂(あかほ)亮(横浜光)と引き分けて3度目の防衛に成功した。
ジャッジ3人の採点は、1人が96―94で中広を勝ちとしたが、2人が95―95、96―96で引き分け。2人以上が勝ちとしなければ勝者とならないルールのため、引き分けとなった。
終盤までお互いの力を出し合う好ゲームになった。序盤は1回に右フックを当てた中広が優位に立ったが、後半になって赤穂も反撃。左フックを中心に前に出たが、王者が冷静に対処した。
中広の戦績は24戦21勝(8KO)2敗1分け。
▽意地でベルトを死守
一歩も引かない意地と意地とのぶつかり合いは、両者ともに「黒星」のつかない好ファイトとなった。1500人の観衆が手に汗握った熱戦は、引き分けで王者の中広がチャンピオンベルトを守った。
1回は互いに様子を見る緊迫した立ち上がり。2分すぎに中広の右フックが初めてクリーンヒットしてから、静かな流れが変わった。
中広がコンビネーションで迫ると、赤穂も左フックを中心に盛り返す。10回まで続いた気の抜けない攻防は、ドロー。王者は「久々に効いたパンチをもらったし、強い相手だった」と挑戦者をたたえ、「応援してくれた皆さんのおかげ」と頭を下げた。
昨年12月にベルトを巻いて以降、当時日本ランキング1位の指名挑戦者、世界挑戦経験のあるベテラン、そして無敗のホープと対戦。1度も敗れることなく、防衛を続けた。
見据えるのは次の高みか。「性格的に、守るのは苦手。新しい世界を見たい。もう3度防衛したし、いつまでもだらだらしている年齢じゃない」。2010年。地方ジムの誇る28歳の王者には、飛躍の年になるはずだ。(友岡真彦)
【写真説明】9回、赤穂(左)の顔面に右ストレートをヒットさせる中広(撮影・坂田一浩)
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