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大阪と関空結ぶ、なにわ筋線 検討3ルートすべてで実現可能
国土交通省近畿運輸局は18日、大阪都心部と関西国際空港のアクセスを改善する「なにわ筋線」構想として検討されている3ルートすべてを「技術的に可能」と判断した。JR新大阪駅から「北梅田駅(仮称、大阪市北区)」などを経由し、JR難波駅につなげるルートが現状のまま直結できる半面、周辺にある南海電気鉄道の汐見橋駅や南海難波駅へつなぐ2ルートは地下化や地下駅の新設が実現の条件となる。同局は今後、事業費や需要予測などを調査したうえで新線の採算性を見極める。
大阪市内で開かれた関西の鉄道アクセスなどを考える実務者レベルの検討会で報告された。中間駅として、既存の鉄道と接続できる「中津付近」(同市北区)▽「福島付近」(同市福島区)▽「中之島付近」(同市北区)▽「西本町付近」(同市中央区)▽「西大橋付近」(同)−で設置を検討し、関空までの所要時間や需要予測、都市鉄道としての機能などを総合的に考慮して決定する。
同局の技術的な実現性調査によると、ホームが地下にあるJR難波駅とつながるルートは現状のまま直通させることが物理的にも空間的にも可能。一方、南海の汐見橋駅は地上にあり、新線と接続するには駅舎などの地下化が必要となる。地上3階にある南海難波駅では地下駅を新設したうえでバイパス線の形で本線と接続する必要があり、周辺に地下街などはあるが空間的に可能と判断された。
現状のまま新線と接続できるJR西日本とは対照的に、南海電鉄の2ルートは事業費がかさむ可能性があるが、検討会で事業主体や事業費の負担割合など枠組みを協議する中で最適ルートを打ち出す方針。検討会座長の斎藤峻彦・近畿大教授は「関空アクセス、都市鉄道としての機能を考えながら実現可能性を探る」と説明している。
【用語説明】
なにわ筋線 JR新大阪駅(大阪市淀川区)を起点にJR西日本の難波駅(同市浪速区)や南海電気鉄道の汐見橋駅(同)などと結ぶことで、JR阪和線や南海本線との接続性を高め、大阪都心部と関西国際空港を30分台でつなぐことを目指す路線(10・2キロ)。平成16年の近畿地方交通審議会答申で「中長期的に望まれる新路線」と位置づけられた。