【北京共同】民主党の国会議員約140人を率いた小沢一郎幹事長の10日の訪中では、小沢氏の存在感が際立つ一方、中国側と同党の新たなパイプづくりが双方の課題として浮かび上がっている。
中国側は、14日に胡錦濤国家主席の最有力後継候補、習近平氏が国家副主席就任後初めて訪日し、民主党などとのパイプづくりに乗り出すが、中国と民主党の関係は、現状では「人脈の量、質とも不足している」(中国社会科学院日本研究所の高洪副所長)とされ、当面は“小沢氏頼み”の状態が続きそうだ。
民主党の対中人脈を見ると、1989年からの日中交流事業などで定期的に訪中し、胡氏や李克強副首相と親交がある小沢氏が別格的な存在。小沢氏以外では、岡田克也外相や海江田万里氏らパイプを持つ議員はごく一部にとどまる。
野党時代の民主党と中国は、靖国神社参拝問題や「米国一辺倒」との批判があった小泉政権をけん制する狙いで接近した側面があった。意見の衝突は努めて回避する「握手外交」(対日研究者)が中心だったといえる。
これに対し、中国と自民党との関係は、日中両政府間のさまざまな問題を克服する中で、自民党内の「親中派」人脈が引き継がれる一方、中国と「対中強硬派」の間にもパイプがあった。
民主党議員が訪中しても胡指導部の現役幹部とばかり会いたがり、中国の若手政治家を軽視する傾向があるのも、人脈のすそ野が広がらない一因だ。「中国には次の世代にも逸材がいるのに、もったいない」(北京の外交筋)との声が出ている。
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