◇ディレクター:工藤宏之◇今回、取材した大高静流さんと初めて出会ったのは、当社の夕方ワイドでの取材の時でした。初めて彼女に会った時の素直な感想は「このキャシャな子が全国2位!?この子にだったら僕でも勝てる・・・」か弱い女子中学生にしか見えなかったのです。しかし、稽古が始まると彼女の表情は一転、自分より身体の大きい先輩力士に頭から突っ込み「ゴツン」。痛々しい音が道場に響き、初めて稽古を見た私は、彼女の身体を心配し、血の気が引くような感覚を覚えました。しかし、そのぶつかる音は何度も響き、稽古は2時間ほど続きました。(カメラマンもその迫力に圧倒されてか、ほぼ回しっぱなしでした。すべてのシーンが意味のあるものに感じたのだとおもいます。)稽古が終わり、なぜそんなに頑張るのか?漠然とした質問に彼女は「優勝してお母さんを喜ばせたい」と答えました。幼い頃にお母さんに褒められたい、喜ばせたいと思った経験は多くの人があると思います。そんな素直な気持ちを母親に寄せる中2(当時14歳)の女の子。彼女だけでなく家族との関係も取材したいと思いました。そして結果はどうであれ、全国大会を終えるまで見届けたいと思いました。