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きょうの社説 2009年12月19日
◎日銀がデフレで声明 異常な物価下落に強い危機感
日銀が金融政策決定会合後に「物価下落を許容しない」とした声明を出し、デフレ克服
に向けた政策方針をより明確に打ち出した。歯止めの効かぬ物価下落は、日本経済を蝕(むしば)むがんであり、あらゆる政策を駆使して、これを止めねばならない。日銀が政府と歩調を合わせ、物価下落を止める強い意思を示したのは評価できる。市場に対し、早ければ来年1月の次回会合で、新たな追加金融緩和策を打ち出す可能性を示唆したものと受け止めてよいのではないか。総務省がまとめた10月の全国消費者物価指数は、前年同月比2・2%のマイナスだっ た。8カ月連続の異常とも思える下落であり、食品・衣料がじりじりと値を下げる一方、量販店などでの値引き競争が激烈な家電製品の値崩れもすさまじい。ノート型パソコンが52・4%下落と半値以下になり、デスクトップ型パソコンは35・2%の下落、薄型テレビは33・0%の下落である。円高の進行で輸入価格がさらに低下すれば、デフレ圧力は一層強まるだろう。 日銀の声明は、消費者物価が対前年比でゼロ%以下の状態が続くなら、何らかの手を打 つと宣言したに等しい。日銀は先ごろ、新たな資金供給手段の導入で、10兆円規模の資金を供給し、やや長めの金利低下を促す手法を取り入れたが、効果はいまひとつの印象である。さらなる金融緩和を行うなら、政策金利の引き下げや国債買い切りの増額といった、より踏み込んだ対応が必要になる。 日本に限らず、政府や通貨当局は、インフレへの警戒感が強く、金融緩和には慎重であ る。インフレになると預金が目減りし、特に年金生活者など生活弱者の暮らしを直撃する。そのため経済学の教科書は、インフレ退治により多くのページを費やすのが常である。 しかし、日本でのみ進行するデフレは、インフレ以上にやっかいだ。物価下落が続けば 、企業業績が悪化し、賃金・雇用が減る。社会不安が広がって、消費はさらに減り、税収はますます落ち込む。政府・日銀ともにデフレの悪循環を断ち切るために思い切った手を打つ必要がある。
◎全国体力テスト 運動と生活習慣見直しを
文部科学省による第2回全国体力テストで、石川県は全国上位を維持し、富山県も全国
平均を上回った。全体的に全国学力テストでの学力上位県が体力でも好成績を収める結果となり、体力、学力、生活習慣の関連性があらためて浮き彫りになったといえる。児童生徒の体力は緩やかながら向上しているが、ピークの1985年ごろと比べると依 然低い状況にある。家庭と学校で子供たちの運動と生活習慣を見直して、一層の体力向上へ地道な取り組みを継続してもらいたい。 今回の調査では、運動する子と、しない子の二極化が見られた。石川県の場合は「週に 3日以上運動する」と答えた中2男子の割合が全国で最も高く、「スポーツはするが、運動は得意だとは思っていない」という傾向が際立った。各学校がテーマを決めて体力向上に取り組む「体力アップ1校1プラン」事業をはじめ、各家庭、地域などで子供たちに運動を促す取り組みが、運動の機会を増やし、全国上位の調査結果に反映されていると思われる。 さらにスポーツが好きで得意だと感じることができれば、運動の継続化を図り、一層の 体力向上につながるだろう。子供たちが運動好きに成長するような工夫が大切である。 生活習慣との関係では、バランスのとれた食生活や十分な睡眠時間を取っている子供の 体力・運動能力がおおむね高いと、かねてから指摘されている。運動を支える望ましい生活習慣を定着させるためには、息の長い取り組みが求められる。 富山県の場合は「毎日しっかり朝ごはん」運動を展開し、学校、家庭、地域が連携して 欠食率の改善を図っている。体力、学力をはぐくむには、しっかりとした生活が土台となろう。保護者は子供たちの暮しぶりを再点検して、生活習慣を正すように努めてほしい。 体力テストは、行政刷新会議の事業仕分けで来年度予算の大幅縮減が求められているが 、子供たちの体力向上を図る取り組みの検証は今後も積み重ねる必要がある。
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