|
きょうのコラム「時鐘」 2009年12月19日
「全国民からの要望」と言って民主党の小沢幹事長が鳩山首相に提出した予算要望の中に、小沢氏独自の判断だったものがあったという
「全国民」を名乗る基準はどこだろう。議会制民主主義では51対49でも51の勢力が権力を握る。選挙に勝つことはそれだけ大事なことなのだが、51%で「全国民」と名乗ることは、まずないだろう 民主党に届いた声をそのまま「全国民」に転化させたのは飛躍が過ぎた。「党とは小沢であり、政府とは小沢であり、国民とは小沢なのか」との批判が高まるのも無理はない。天皇会見問題にも通ずることである 64年前の敗戦時に「一億総懺悔(そうざんげ)」と言った首相がいた。軍国主義に流れた歴史を全国民が反省する必要があると言ったわけだが、戦争責任を国民に押しつけるものと猛反発を受けた。「国民」という言葉は時の権力につごうよく使われる 国民に選ばれたとはいえ、政治家は「私ひとり」で責任を取るものだろう。もっとも「最後は私が決める」との首相の言葉を、だれも信じない現実がある。総懺悔するほどでもないが、国民の1人としてこれは悲しい。 |