慣らし運転を行う理由 | オイルをエンジンやトランスミッションの細部にまで行き渡らせる。 |
摺動部分にアタリを付ける。 | |
クセを付けない。 | |
慣らし運転の具体的な方法 | 慣らし運転遵守事項 |
具体的な慣らし運転コース |
いかにレクサス車が従来のトヨタ車とは一線を画した品質で作られているとはいえ、工業製品でなおかつ強大なトルクを伴う内燃機関ともなれば、稼働初期においての「慣らし運転」は必要です。
慣らし運転をすることで、10,000kmから20,000kmもしくは3年以上経ったあとの燃費やフィーリングが大幅に変わってきます。
慣らし運転を行う理由
オイルをエンジンやトランスミッションの細部にまで行き渡らせる。
新車の状態でももちろん、エンジンやトランスミッションにオイルは充填されていますが、納車されるまでの間に全ての機構にまで行き渡っているとは限りません。
納車前の高速走行はしないでしょうから、高速運転時に使用されるギアやオイル経路には行き渡っていないかもしれません。
そのような部分にもまんべんなくオイルを無理なく行き渡らせ、必要時に不要なストレスがかからないようにしてやることが大事です。
摺動部分にアタリを付ける。
クルマの主要な摺動部分に「アタリ」をつけることが慣らし運転最も重要な目的です。
クルマにおいて摺動部分(金属と金属が擦り合うところ)はたくさんあります。エンジンではピストンとシリンダー、コンロッドとクランクシャフト、バルブとロッカーアーム、ロッカーアームとカムシャフトが代表的な部分でしょう。 他にもサスペンションのロッドやアームなど動く部分全てが対象になります。 これらの場所は直接触れないような工夫が施されていますが、それだけ強大な力が瞬時にかかってしまう場所です。
工作精度が上がったと言ってもミクロレベルで見れば、それら擦り合わされる金属の表面には微細な凹凸や、場合によってはバリがあります。 凸部と凸部が擦れ合えば摩擦が生じ、瞬間的な摺動に耐えきれず、変形してしまうかもしれません。
このような障害を回避するために、摺動部分に過度な負担をかけずに、じんわり摺動するように「慣らして」やると、瞬間的な力にもある程度耐えられるようになります。 この作業を「アタリを付ける」と言います。
エンジン各所にキレイにアタリを付けるとストレス無く回るようになり燃費やブリッピングしたときの反応なども違ってきます。
クセを付けない。
例えば、街乗りが殆どでエンジンの低い回転数やギヤもローギヤしか使わなかったり、あるいは逆に高速道路走行が主体で、エンジン回転数は2000〜3000rpmしか使わず、ギアもハイギアしか使わなかったりしていると、その頻回使用している部位にのみアタリが付いてしまいます。
同じ使い方をする分にはキレイにまわり不都合はないのですが、例えば前者の街乗り使用にしてしまった場合は、高速道路や峠道など高いエンジン回転数、高いギアを使う場合にアタリが付いていないので回りにくくなりますし、後者の高速使用では街乗りで使いにくいエンジンやギアになってしまいます。
こうした「変なクセ」を付けないことも、慣らし運転を行う大事な理由です。
慣らし運転の具体的な方法
慣らし運転遵守事項
慣らし運転の目的は前項に挙げた通りなので、これらの項目を注意するように以下の点を遵守します。 その上で走行距離に応じて許容エンジン回転数を上げていきます。
走行距離 許容エンジン回転数 注意事項 〜500km 2000rpm エンジンオイル交換、ディファレンシャルギアオイル交換 〜700km 2500rpm 〜900km 3000rpm 〜1,000km 3200rpm エンジンオイルとオイルフィルター交換 〜1,200km 3500rpm 100km/hからの急制動でブレーキパッドに焼き入れ 〜1,400km 4000rpm 〜1,600km 5000rpm 〜1,800km 6000rpm 〜2,000km 6500rpm これで一通りの慣らし運転はおしまい。 〜3,000km 6500rpm ここまでは「急」のつく動作はしない。
- 必ず暖機運転を行う。水温計が動き出すまで。
- 「急」のついた動作は行わない。
- 全てのギア(ISの場合は1〜6速)をなるべくまんべんなく使う。
- なるべくサスペンションストロークが多く、ステアリングも左右に大きく切ることのできる道を選ぶ。
- 高速走行後は直ぐにはエンジンを切らない。
- キックダウンしそうになったらアクセルをゆるめる。
これらの条件を満たすために、少なくとも初期の500kmはある程度のアップダウンがあって渋滞しない一般道路を走ることが重要です。
またキックダウンをしないと言うことは、上り坂などでは速度を落とすことになりますので、少なからず後続車に迷惑をかけますから、後続車が付いた場合には速やかに進路を譲ることができる十分な道幅があるとベターです。
高速道路を一気に走ってしまえば、距離は稼げますが、同じギア、同じエンジン回転数となるので、慣らし運転どころかクセのあるエンジンを作ってしまいます。
具体的な慣らし運転コース
私の場合は季節も季節だったので次のルートを選びました。
日程 行程 1日目 自宅〜川越〜八王子〜横浜〜横須賀〜三崎〜逗子〜鎌倉〜大磯〜小田原〜熱海〜伊東 2日目 下田〜石廊崎〜堂ヶ島〜土肥〜沼津〜田子の浦〜清水〜静岡 3日目 静岡〜田子の浦〜沼津〜箱根〜小田原〜茅ヶ崎〜横浜〜川崎〜木更津〜千葉〜柏〜自宅
途中、静岡のレクサスでオイル交換をしてもらい、帰宅後でちょうど1,000kmになりましたのでオイルとフィルターの交換もしました。
本当は拙宅のロケーションからすると東北方面の方が道も空いているしアクセスも良いのですが、このころ雪の予報だったので、三浦半島と伊豆半島の海岸線をメインに慣らし運転コースを設定しました。
このコースは途中の鎌倉近辺や沼津あたりを除けば割合空いていますし、適度のアップダウンもあり、慣らし運転には適切なルートだったと思います。