ワシントン(CNN) イラク駐留米軍の無人偵察・攻撃機「プレデター」が撮影した監視映像などのデータが、同国のイスラム教シーア派武装勢力に傍受されていたことが、このほど明らかになった。米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じた。
同紙によると、問題が指摘されたのは昨年後半とされる。国防総省当局者もこれを否定していない。さらにアフガニスタンでも無人機のデータが漏れたことがあるとされるが、いずれの場合も武装勢力側が操縦システムなどに侵入した形跡は報告されていない。
米当局者が匿名でCNNに語ったところによると、武装勢力による傍受が米軍の作戦に影響を及ぼしたことはないという。国防当局高官はCNNとのインタビューで、「われわれにとっては古い問題で、すでに対応済みだ」と述べたが、具体的な対応策などには言及しなかった。同高官によれば、無人機のデータは多数の相手に即時送信する必要があり、速度を保つために暗号化処理をしていないケースが多かった。
武装勢力は、ロシア企業「スカイグラバー」が開発した市販ソフトウエアをインターネット上でダウンロードし、これを使ってデータを受信していたとみられる。同社によると、このソフトは本来、テレビ受信やネット接続用の衛星アンテナに入る雑音を取り除く目的で開発されたという。
国防総省の報道官は、問題の報道については一切コメントせず、「米軍の偵察活動については、能力および保安の向上を常に目指している。その過程で問題が見つかれば当然修正する」と述べるにとどまっている。