アカデミー賞が発表になったとき私はさんざん文句を並べ立てた。
「クリントって現場で演出らしい演出してへんねんで、監督賞はアカンやろ」
「ヒラリー・スワンクって2回目やん、そこまでの女優か?」
「モーガン・フリーマン、俳優業より牧場経営の方に熱心らしいやん」
別にディカプリオが好きなわけもないし、スコセッシに賞をあげたかったわけ
でもないが、あまりにハリウッドがクリント一派に傾倒しているのが理解
できなかった。納得がいかなかった。
ところが・・・
この映画を観終わった瞬間、私は深々と頭を下げてしまった。
あのラインナップからすればこの映画しかオスカーは考えられなかった。
とんでもなくイイ。とんでもなく人間の心を深く描ききっている。
3人の主要な登場人物に共通しているのは「目の前の壁」だ。
それにはいろんな原因がある。金銭面だったり、肉体的だったり、
性格だったり、年齢的なものだったり・・・越えたいけど越えられない壁、
人はそこにどう立ち向かってきたのか、どう立ち向かっていくのか、
善意だけでない、悪意も存在する、でも、それをひっくるめての人生なんだ、
・・・この映画は極めて冷静な視点からそれを捉えようとしていく。
彼らはついに壁を越える決意を固めた。さあ、そこからは人生復帰のシナリオ
が始まる。どんどん壁を越えていく面白さ、快感、興奮、そこにイーストウッド
の演出が冴え渡る。単なるボクシング映画と思うなかれ。
ちなみに後半の展開、先日の某映画を観てしまったからか、少し薄っぺらい
気もしたんだが、まあ、どんなことが起こるかは、観てのお楽しみってことで。
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