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シネマライナー

ミリオンダラー・ベイビー   05/05/28 放送

アカデミー賞が発表になったとき私はさんざん文句を並べ立てた。
「クリントって現場で演出らしい演出してへんねんで、監督賞はアカンやろ」
「ヒラリー・スワンクって2回目やん、そこまでの女優か?」
「モーガン・フリーマン、俳優業より牧場経営の方に熱心らしいやん」
別にディカプリオが好きなわけもないし、スコセッシに賞をあげたかったわけ
でもないが、あまりにハリウッドがクリント一派に傾倒しているのが理解
できなかった。納得がいかなかった。
ところが・・・
この映画を観終わった瞬間、私は深々と頭を下げてしまった。
あのラインナップからすればこの映画しかオスカーは考えられなかった。
とんでもなくイイ。とんでもなく人間の心を深く描ききっている。

3人の主要な登場人物に共通しているのは「目の前の壁」だ。
それにはいろんな原因がある。金銭面だったり、肉体的だったり、
性格だったり、年齢的なものだったり・・・越えたいけど越えられない壁、
人はそこにどう立ち向かってきたのか、どう立ち向かっていくのか、
善意だけでない、悪意も存在する、でも、それをひっくるめての人生なんだ、
・・・この映画は極めて冷静な視点からそれを捉えようとしていく。

彼らはついに壁を越える決意を固めた。さあ、そこからは人生復帰のシナリオ
が始まる。どんどん壁を越えていく面白さ、快感、興奮、そこにイーストウッド
の演出が冴え渡る。単なるボクシング映画と思うなかれ。

ちなみに後半の展開、先日の某映画を観てしまったからか、少し薄っぺらい
気もしたんだが、まあ、どんなことが起こるかは、観てのお楽しみってことで。




オペレッタ狸御殿   05/05/28 放送

映画批評の類にはいくつかの便利な言い回しがあって、よく分からないものを
**ワールドと総評してしまうところがある。それで分かったつもりにして
話を次に進めていくのだ。
で、これを鈴木清順ワールドを言うと簡単なんだが、一言にワールドと
くくってしまう時点で表現者としての私は負けだと思ってしまった。
この映画をなんとかうまく伝えることはできないだろうか?
・・・無理だった。
鈴木清順の頭の中は我々の4歩ほど前を突き進んでいて、それを今あるものや
既知のことで処理しようとしても限界があるのである。
かといって時代が新しすぎるのかと言われるとそうでもない。
おそらく20年後に観ても今と変わらない印象だったりするんだろう。
つまり、この映画は時間軸でどうこうという作品ではなく、空間的な意味で
我々の想像を絶するところがあるのではないだろうか。

その証拠に、この映画はいろんなところに飛んでいく。
スタジオにボ〜ンとセットを組んで、まるでアングラ劇団の舞台中継のように
みせるところがあるかと思えば、クロマキー・バックで撮影し、そこに
金屏風みたいな絵を合成するという、およそ考えられないようなジャンプを
現実のものにしている。笑っていいのか、真面目に受け止めるのが正解なのか。
ただひとつ言えることは、主演女優にチャン・ツィイーしか考えられなかった
ということ。これが日本の女優では異次元空間は成立しない。
カタコトの日本語で台詞をしゃべったあと、何事もなかったかのように
中国語になってしまう彼女、その存在感があらゆる次元の要素をつなぎ止めておく
唯一のアンカーだったのだ。




番外編 エピソード3のおまけDVD   05/05/28 放送

今回のサントラ盤についているDVDはジョン・ウィリアムズのスコアに
あわせてこれまでのエピソードがダイジェストで綴られていくという
マニア垂涎、永久保存版の映像特典だ。
パルパティーンがナビゲーターとなり、時系列でエピソードを語る。
これはエピソード3を観る前の復習としてはちょうどいいサイズ。
物語の詳細までは分からないが、だいたいこんな話やったよなあ、という
ぐらいの記憶は甦ってくる。

ひとつ気に入らないのは中盤あたりから出てくる設定資料のイラスト。
DVD作者のこだわりなんだろうか、コラージュされて、ところどころ
にインサートされるんだが、これは余計だったなあ。