伊豆地震、強い揺れ「被害把握できず、パニック状態」　伊東市役所

　１７日深夜、静岡県伊豆で発生した震度５弱の地震。市職員らは緊急に登庁し、各地の被害状況の確認などに追われた。伊豆や伊東では同日夕方から深夜にかけて、震度３から震度１の地震が頻発しており、深夜に襲った強い衝撃に、住民らは不安を隠せなかった。

　伊東市役所の市災害対策室の堀井裕三さんは、揺れの大きさに驚き、飛び起きて市役所に向かった。「１８日午前０時１５分現在では、被害状況は全く把握できていない。こちらもパニック状態で、とりあえず各部長と災害対策要員約２０人が登庁して、被害状況の確認に当たっている状態だ」。

　電気や電話は正常に通じているが、堀井さんは「夜なので外の状況はちょっと分からないのですが…」と話した。

　伊東署によると、激しい縦揺れの後、横揺れが２、３秒続いたという。　男性署員は「かなり大きい揺れだったが、棚が少し動いたぐらいで物が倒れたり署員がけがをする事態にはなっていない」と落ち着いた様子。

　伊東市内では「水道管が破裂した」との通報もあり、現在確認を急いでいる。周辺各署では、主要道路にパトカーを出して警戒と調査にあたっているが、今のところ被害報告は出ていないという。

　伊東市宝町の「伊東グランドホテル」の従業員、高野信男さん（６６）は地震時、フロントにいた。「突然の横揺れで、身を伏せる暇もなかった」という。午後１０時ごろから、すでに小さな揺れが７回ほどあり、館内を見回りしていたため、宿泊していた約３０人の客に大きな被害や混乱はなかった。　

　伊東市湯川の「伊東温泉　かめや楽寛」では、地震の揺れで館内にあるエレベーター２台が止まった。中に閉じこめられた利用客はいなかったが、従業員は「もし中に人がいたら恐ろしい」と声を震わせた。客が宿泊している部屋のテレビが台から落ちたという。

　伊東市松原本町の居酒屋経営、高橋幸雄さんは店から帰宅した直後に揺れに襲われた。高橋さんは「棚から皿は落ちて割れた。仏壇からも祭ってあった供え物が散らばってしまった。家中、割れた落下した物が散乱している。今夜はおっかなくて眠れないよ」とは話し、後かたづけに追われていた。

　一方、伊東市中央町でスナックを経営する小川京子さん（６０）は、「揺れは一瞬のことで、突き上げるような感じだった。長くは揺れなかったので、棚から物が落ちるようなことはなかった。８月の地震に比べたら、それほどでもなかった」と話した。

　当時は、店内には忘年会客５人がいたが、いずれもけがはなく、そのまま営業を続けたという。小川さんは「夕方ごろから何度か小さな地震が来ていたので心配はしていた。これ以上大きな地震が来なければいいけど」と不安そうに話していた。