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特例会見、中国では「次の最高指導者」周知の意図

12月15日21時57分配信 読売新聞

 中国の習近平国家副主席は15日、特例的に天皇陛下と会見し、胡錦濤国家主席(共産党総書記)の最有力後継候補として経歴に箔をつけた。

 「皇室の政治利用」を巡る日本の騒動をよそに、中国は会見の「成功」をアピール、鳩山政権下で対日関係の強化を図る構えだ。

 習氏は15日の会見で、緊張した表情で天皇陛下と握手。長身の習氏は、少し頭を下げて手を差し伸べ、あいさつを交わした。宮内庁によると、習氏は、会見が実現した経緯について直接の言及はしなかったが、「わざわざ機会を作っていただいたことに深く感謝します」と述べた。中国の環境問題なども話題となった。

 中国が会見に強くこだわったのは、次世代リーダーの習氏を「最高指導者級」として処遇するよう求めたからだ。そこには、日本に習氏を印象付ける思惑以上に、中国国内で「次の最高指導者」としての地位を周知させる、内政上の宣伝意図があった。

 中国は、日本の皇室の「政治的価値」を熟知している。銭其チン元外相は回顧録で、1989年の天安門事件後に中国が国際社会で孤立する中、92年の天皇陛下訪中が「対中制裁打破に積極的な効果をもたらした」と振り返り、西側諸国の包囲網を破る突破口となったと総括する。

 習氏の妻で人民解放軍の人気歌手、彭麗媛さんが11月に東京・学習院大で公演した際にも、皇太子さまが私的に会場を訪れて鑑賞し、言葉を交わされたという。中国にとって、天皇陛下との外交は「政治」そのものであり、中国は今回、様々な手を打って準備した。

 中国外務省の姜瑜・副報道局長は15日の定例記者会見で、「現在のところ、習副主席の訪問は非常に順調に進んでおり、日本も周到な手配をしてくれた」と評価した。

 ただ、皇室相手の外交は、一歩間違うと、日本の国民感情を決定的に悪化させるリスクを伴う。98年に訪日した江沢民国家主席(当時)は、天皇陛下主催の宮中晩さん会で日本の軍国主義を非難して激しい反発を招き、その後の日中関係が冷え込む大きな原因となった。今回も慣例を破る特例会見となったことで、習氏に対して悪印象が残る懸念がある。

 鳩山政権は「日中関係の重要性」を理由に、特例的な会見を認めた。中国共産党と鳩山政権との親密度は、今後さらに深まる可能性が高い。ただ、両国の国民同士の冷めた感情を好転させるという、現在の日中関係における大課題の解決という面では、むしろ逆効果となった恐れもある。(東京で、中国総局 関泰晴、国際部 比嘉清太)

最終更新:12月15日21時57分

読売新聞

 

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