村田雅志のKlugView グローバル投資のポイント

投資頼みの中国経済の先行きリスクとは?

12月7日、中国共産党・政府が2010年のマクロ経済政策の基本方針を議論する「中央経済工作会議」が閉幕しました。会議では、昨年の金融危機をきっかけに始まった積極的な財政支出と金融緩和が続けられることが決まっています。

中国景気は、景気刺激策の効果もあり、回復傾向が強まっています。しかし、金融緩和策を背景に、株式や不動産の価格上昇が急ピッチで進んでいます。たとえば、上海株価は、すでに年初来8割以上の上昇を記録しています。こうしたことから、市場関係者の間からは、今回の会議で金融緩和策を修正するとの見方も出ていました。

それにもかかわらず、中国政府・当局が、金融緩和の継続を決めたのは、回復傾向にある景気の先行き懸念が強いためと思われます。中国の輸出は、減少幅が縮小傾向にあるものの、10月でも前年比13.8%減と、冴えない状況が続いています。そんな中、中国景気をけん引しているのは、固定資産投資です。10月の都市部固定資産投資は、前年比31.6%増と、中国経済を支えています。

政府・当局としては、固定資産投資の拡大は、痛し痒しのところがあります。固定資産投資が拡大すれば、経済成長率は高まりますが、中長期的には生産能力が高まるので、物価の押し下げ圧力が高まります。特に中国最大の輸出先である米国景気の低迷が長期化する可能性があるだけに、固定資産投資の拡大は、デフレの種をまくことを意味します。

本来であれば、中国政府・当局は、固定資産投資の代わりに個人消費を伸ばすことで、より安定的な経済成長を目指したいところです。しかし、あまり報道されることはありませんが、中国の雇用環境は、厳しいとの指摘が増えています。これでは、個人消費が固定資産投資に代わって景気を下支えすることは難しいでしょう。

政府の宣言をきっかけに、日本ではデフレが話題になっています。比較的高成長を続けていると思われている中国ですが、デフレ懸念が強いことは、日本と同じような気がしています。


村田雅志(むらた・まさし)

●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●

2009年10月の中国の輸出の伸びはどれくらい?

●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●

前年比13.8%減


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村田雅志(むらた・まさし)

FXCMジャパン チーフエコノミスト 兼 営業部長
三和総合研究所、三和銀行にて産業機械アナリスト、UFJ総合研究所にてエコノミストとして活動後、
2004年にGCIアセットマネジメント入社。05年9月にGCIキャピタル・チーフエコノミスト。
09年4月より専修大学客員教授。09年6月より現職。
東京工業大学生命理工学研究科修士課程修了、Columbia University Master of International Affairs修了、政策研究大学院大学博士課程単位取得退学。
著書に「景気予測から始める株式投資入門」、「絶対リターンを目指すオルタナティブ投資」、「一冊まるごと投資商品超入門」、「実質ハイパーインフレが日本を襲う」など

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