きょうのコラム「時鐘」 2009年12月16日

 人あたりがよくて優しそう。こんな男は結局は女性を不幸にするという。八方美人の「いい人」も、裏を返せば優柔不断でいい加減な人になるからだ

鳩山首相はその「いい人」である。普天間移転を振り出しに戻して不幸になるのは沖縄県民だ。さらに十数年は我慢しろと言っているのに、その残酷さには目をつむる。連立政権だけは丸く収まる

「いい人をやめると楽になる」という曽野綾子さんの本がある。中身は単純なものではないが、タイトルだけを頂いたようなのが小沢民主党幹事長である。「いい人」に思われようとしないから何でも言う。悪く思われるのを看板にしてしまった

小沢さんの自著によると「いい政治」が行われなくなったのは、信念を曲げず反対があろうと堂々と主張を貫く政治家がいなくなったからとある。尊敬する織田信長や大久保利通の名をあげて「彼らはけっして万人から好かれるタイプではない」(小沢主義)とも記している

が、有権者は「いい人」の幻想を追い続ける。いい人ぶる人も、いい人になるのをやめた人も、普通の人にとってはどちらも厄介な人である。