国際医療福祉大 武藤様|メディカルアーキテクツ

国際医療福祉大 武藤様

『girasol』による事前シミュレーションで、DPC移行直後から大幅増収

DPC(診断群分類)はこれからの急性期病院にとって、医療の質とコスト管理のマネジメントツールとして必須なものだといえる。2回目となる今回は、日本医療マネジメント学会の副理事長であり、DPCのスペシャリストである国際医療福祉大学三田病院副院長の武藤正樹氏に『girasol』の導入効果や今後期待することなどを聞いた。

臨床指標のベンチマークやガイドラインの準拠率などを瞬時に確認

── 『girasol』との出会いは?

06年夏ごろに(株)メデイカルアーキテクツの堀さんや田中さんとお会いしたのが最初です。以前から私はDPCデータを使って、さまざまな臨床指標のベンチマークや、数多くある診療ガイドラインの準拠率を瞬時に見たいと思っていましたが、それが『girasol』の登場で可能になりました。そして06年11月11日に講師として参加した、ある出版社主催のセミナーで『girasol』の発表説明が行われたときに、実際に臨床指標のベンチマークを目の前で見せられて、思わず興奮して『11月11日は、日本の医療にとって忘れられない日になるだろう!』と叫んだことを記憶しています。

── 導入による具体的な成果についてお聞かせください

今年7月、グループの4病院がDPC対象病院として実算定を始めました。準備病院の段階から準備委員会を設置して、リハーサルを含め様々な準備をスタートさせましたが、その際、DPCへの移行をスムーズに行うため、『girasol』を使ってシミュレーションを実施しました。連日のように医師やコメディカル、医事科の職員を集めて、疾患ごとのケアプロセスの見直し、検査や画像診断の外来移行や、ジェネリック医薬品への移行シミュレーション、在院日数などを徹底的に検証しました。

── 選定の決め手は?

ほかにもDPCデータ分析ソフトはいくつかありますが、『girasol』のコストパフォーマンスの高さは群を抜いていました。今、病院経営が非常に厳しい時代だけに、価格は非常に大きな要素です。また、効率化を通じていくら儲かる、というお金の話だけではなくオーディット機能をはじめ、各種シミュレーション機能、標準パスへのダウンロード機能、P4Pの指標など、『医療の質』に関わる機能が充実していることも大きなポイントになりました。

入念なシミュレーションで収益大幅増

── 『girasol』の導入効果を実感した場面はありますか?

出来高に比べDPCでは減産になる症例もありますが、事前シミュレーションを通じてコーディングの検証やプロセス見直しなどを行った効果もあって、7月に導入して以来、9月には診療単位は6万3000点から6万5000点と、2000点アップし、出来高とくらべると6.5%の増収となりました。

── 運用体制についてもお聞かせください

当グループでは、ヒラソルによる分析作業推進のためにグループ本部の医事管理部に担当者をおき、DPCに関する分析業務を行っています。そこでは、DPC別病院間ベンチマーク、診療行為明細別ミクロベンチマーク、クリティカルパス作成、クリニカルオーディット(医療の質評価)に関する分析や、パスの見直しでジェネリック医薬品の名称を盛り込むなど極めて煩雑な作業を行っています。

── 最近不適正なコーディング事例がよく指摘されています

私たちは、不適切なコーディングを防止するためにDPC管理委員会を病院に設置していますが、そこで『girasol』を使っての監査を実施しています。そういった意味でのリスク管理にも役立っています。

── 現場へのフィードバックは?

グループ本部の医事管理部に、DPC委員会を設け、問題点などの検討を行いながら調整しています。また現場レベルでは各診療科にDPC推進の担当責任者を設けて、そこに情報を流すような仕組みをとっています。

── 今後期待する機能は

医療材料の問題が非常に大きいので、『医療材料の紐付けができないかな』と考えています。最終的には材料だけでなく人や時間などに関するコストを含む1疾患あたりの原価計算ができるようになればいいですね。もちろん材料だけでなくすべてのコストを含んだものについてもできればよりよいものになると思います。また、DPCでは、尿路感染症(UTI)や血流感染(BSI)などの入院後の続発性感染症が出るとそのコストは完全に持ち出しになってしまう。それを如何に減らすか、という前段で、例えばUTIやBSIの発症頻度について調べようとすると、今は個々のカルテベースでサーベイランス調査するしかありません。しかし、それをDPCデータ上から調査できる機能が付加されれば『girasol』の価値は今以上に高まるでしょう。また、併せて『医療の質』向上にも大きく貢献すると思います。

── 最後に今後の取り組みについてお聞かせください

私たちは、『診療の質の高いところにDPCの高い調整係数を!』という主張を持っていますので、臨床指標や診療ガイドライン準拠率をつかって日本版P4P(Pay for Performance)を構築したいと考えています。そのために必要な診療報酬の仕組みづくりにも『girasol』は大いに役立つでしょう。

国際医療福祉大学三田病院 プロフィール

住所 〒108-8329
東京都港区三田1-4-3
電話 03-3451-8121
病床数 291床
診療科目 内科、精神科(もの忘れ・メンタルクリニック)、小児科、外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科口腔外科
センター方式 乳腺センター、頭頸部腫瘍センター、頭蓋底外科センター、呼吸器センター、消火器センター、女性腫瘍センター、脊椎・脊髄センター、尿路結石破砕治療センター、予防医学センター
診察時間 月曜~土曜日 午前8時30分~11時30分 午後12時30分~4時30分
girasol(ヒラソル)について