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2009-12-15

タイの北朝鮮兵器押収事件

タイの首都バンコクドンムアン空港に十一日着陸したグルジアの貨物機から北朝鮮製の兵器が大量に見つかった事件で、貨物機は武器を専門に運搬するウクライナ企業が運航していた疑いが強まった。タイの裁判所は十四日、拘束された乗員五人の十二日間の拘置延長を決定。当局は兵器密輸に大規模な組織が関与した疑いがあるとみて実態解明を進めている。

 ロシア通信などによると、貨物機は十月にカザフスタンの航空会社からグルジアの航空会社に売却されたが、グルジア当局幹部は十四日、同機を「ウクライナの貨物企業『SPトレーディング』に十一月から貸している」と説明。同社が武器輸送を手掛けていることも明かした。一方、ウクライナ当局者はインタファクス通信に対し「レンタルの事実はない」と話している。

 これまでのタイ当局の調べでは、押収された兵器三十五トンは北朝鮮企業の所有で、石油掘削機器として申告。乗員らは「兵器と知らなかった」と密輸関与を否定しているが、貨物機は過去にウクライナと北朝鮮を三〜四回往復していたことが分かっている。

 関係者によると、貨物機はウクライナからアゼルバイジャンアラブ首長国連邦(UAE)、バンコクを経由して十一日ごろに北朝鮮の平壌に到着し、兵器を搭載した。タイでの給油後はスリランカや中東などを経由してウクライナに戻る予定だったという。

 兵器輸送先については、中東のほかパキスタンなど南アジア、旧ソ連地域などと情報は錯綜(さくそう)。タイ捜査当局は「世界をまたに掛ける“死の商人”が関与した疑いがある」と述べ、関係各国と連携して捜査を進める方針だ。

◆厳しい監視北に圧力

 【ソウル=築山英司】タイで北朝鮮製の武器が押収された事件は、平壌で行われた米朝協議直後に発覚。米国を中心とした国際社会は北朝鮮との対話を進める一方、武器輸出に対しては圧力を強め、制裁の手は緩めない姿勢を示す形となった。

 米議会調査局(CRS)の資料によると、北朝鮮の二〇〇一〜〇四年の武器輸出額は六億ドル(約五百三十億円)で世界十位。近年は十位以内に入っていないが、同国の主要な「外貨獲得手段」の一つとみられている。

 北朝鮮の武器輸出を全面禁止した六月の国連安全保障理事会の制裁決議以降、国際社会は北朝鮮の船舶による武器輸送を次々と摘発。六月はミサイル部品などの積載が疑われた船舶が北朝鮮を出港後、米軍の追跡で引き返した。七月下旬にはアラブ首長国連邦(UAE)当局がイラン向けの船を拿捕(だほ)し、北朝鮮製ロケット弾などを押収。今回、貨物機を使ったのは監視が厳しい船舶輸送を避けたためとの見方もある。

 国連安保理の専門家委員会は先月、北朝鮮が制裁決議を無視して武器取引を続け、偽装工作で制裁逃れを試みているとの中間報告を提出。来年五月に最終報告を提出する予定で、北朝鮮への監視が弱まることはない。

バンコクの空港に着陸した貨物機から北朝鮮製の兵器が大量に見つかった事件で、貨物機の出発地とされるウクライナのポロシェンコ外相は14日、ウクライナは給油地にすぎないと述べ、事件への関与を否定した。インタファクス通信などが報じた。

 外相は「貨物機は10月13日にウクライナの空港に積み荷なしで到着し、今月8日に貨物を積まずに出発した」と説明。同機がどこから到着したかには言及しなかった。

 タイ当局の調べでは、貨物機はアゼルバイジャンアラブ首長国連邦(UAE)、タイ、スリランカを経由しウクライナと北朝鮮を往復する計画だったことが判明している。

 一方タイ当局筋は、貨物機はウクライナを出発した後、10日にバンコクで給油し、北朝鮮で兵器を積み込んだ上、給油のため11日に再びバンコクに立ち寄ったと明らかにした。

 インタファクスによると、乗員4人がタイ当局に拘束されているカザフスタンの政府当局者は15日までに、貨物機は同国の航空会社の間で転売された後、今年10月にグルジアの航空会社に売却されたと説明。貨物機はニュージーランドの企業がチャーターしていたという。

タイの首都バンコクドンムアン空港に着陸した貨物機から大量の北朝鮮製兵器が見つかった問題で、貨物機の乗員5人が14日、同市の刑事裁判所に出廷した。当局によると、5人は取り調べのため、同国内で12日間身柄を拘束される。

問題の貨物機はグルジア国籍で、乗員はカザフスタン人4人とベラルーシ人1人。武器不法所持に問われ、保釈は認められなかった。

有罪判決を受ければ、最大10年の禁固刑を言い渡される可能性がある。

貨物機からはミサイル部品、ロケット弾など重さ35トンの兵器が見つかった。タイ当局が国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に基づいて押収し、国内の軍基地に保管している。

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